【ケの日のこと】長年の悩みだったご飯の保存。「おひつ生活」はじめてみました

「家族と一年誌『家族』」編集長 中村暁野


第39話:おひつ生活再び


 

8歳の娘は小さい頃から、そりゃあそりゃあお米が好きでした。

確かそれは2歳にならないくらいの頃、外出時に家族みんなで食べようと握っていったおにぎり6個を、すべて食べ尽くされたこともありました。一番好きなおにぎりは塩むすびで、できれば海苔もつけてほしくないらしい。

学校にはお弁当とおやつを持っていくのですが、そんな娘なので、おやつにもちょいちょいおにぎりを持たせます(もちろん、何もつけない塩むすび)。日々娘と、それから夫、2人分のお弁当を作るので、我が家のお米の消費量はなかなかのものです。

お米を炊くのに使うのは、南部鉄器のごはん釜。釜で炊いたご飯はとっても美味しいし、何より炊飯器を使うよりもずっと楽なのです。あっという間に炊けて、お手入れは丸洗いしてコンロにかけて水分を飛ばすだけ。コンセントを差したり抜いたりしなくていいし、場所もとらないし、おっちょこちょいなわたしが落としても割れない(土鍋も魅力的なのですが、割ってしまいそうで手を出せないのです)。もう10年以上使い続けている、まさに我が家の「ケの日」の縁の下の力持ち的存在です。

そんなわけでお米を炊くことに関しては一切迷いがないわたしなのですが、炊いたご飯の保存方法については、長らく迷いがあったのです。一度では食べきれない分、朝炊いたら夜に、夜炊いたら翌日のお弁当に、と一膳ごとにラップに包んだり。毎度ラップを使うのもなあとご飯保存用のプラスチック容器を購入して冷凍したり。ですがやっぱり炊きたてご飯の美味しさとはかけ離れてしまう、アノご飯たちをもうちょっと美味しく食べれたらなあと。最近、夫が食べるはずだったお弁当を自分で食べてみたところ、ますますそんな思いが募り……意を決し、ひっぱり出してきたのが、「おひつ」です。

かれこれ7年ほど前にさわらで作られたおひつをもらいました。

木でできたおひつにご飯を入れると、お米の水分をほどよく吸収してくれて、時間がたってももっちり。冷めても美味しい。おまけに佇まいも美しい。おひつって素晴らしい!と心底感動したのです。ですが、天然木で無塗装なので、ちゃんとお手入れしないと黒ずむ事もある。それを手間に感じてしまい、いつの間にやら棚に仕舞いこまれたままになっていたのであります。

そんなこんなで意を決し、おひつを使い始めてみました。帰宅した娘は見るなり、しゃもじですくってお米を食べ始めました。それにつられて2歳の息子もモッシャモッシャと食べ始め……しゃもじのまま「美味し〜い!」と食べ続ける2人を見ていたら、お米ひとつでこんなに喜んでもらえるならば、お手入れの一手間くらいなんのその!という気分になってきました。

というわけで、ちょっとの傷みや黒ずみなんかにへこたれない。そんな心意気でおひつ生活再び始めようと思います。

 

【写真】中村暁野

中村暁野(なかむら あきの)

家族と一年誌『家族』編集長。Popoyansのnon名義で音楽活動も行う。8歳の長女、2歳の長男を育てる二児の母。2017年3月に一家で神奈川県と山梨県の山間の町へ移住した。『家族』2号が1/14に刊行。現在販売中。http://kazoku-magazine.com

 


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