【わが家のびん詰めvol.1 辛いはおいしい】第3話:切ってかけるだけ、あえるだけ。それでおいしいのがびん詰めです

ライター 片田理恵

「あたらしい日常料理ふじわら」の藤原奈緒さんが新しく考案したびん詰め「しょうがと花椒のオイル」の作り方と食べ方を、全3話でお届けしています。お気に入りのびん詰めがひとつあれば、調理も食事ももっと楽しみになる。最終回の3話では、かけるだけ、あえるだけの簡単な食べ方をさまざまにご紹介。このオイルの“使える度”をたっぷりお見せしちゃいます。

 

食材にかけるだけで料理になる。そんな調味料を作りたい

藤原さん:
「私たちのつくる調味料のテーマは『切っただけ、ゆでただけ、炒めただけの食材にかけるだけで料理として成立する』ということです。いろいろな料理に合わせて使えるものほど作り甲斐があるし、ご家庭で何度も使っていただけるのではないかと思うから。

今回は、
・加熱しておいしくなる(日持ちがして扱いやすいため)
・日本全国で手に入る
・使い方がシンプルで汎用性が高い

という3点を考えて、しょうがを使おうと決めました。馴染み深くてよく知っているはずの素材にも、まだあまり知られていない顔がある。それをお伝えできたらうれしいですね」

しょうがと花椒オイルの誕生をそんなふうに語ってくださった藤原さん。普段から「あたらしい日常料理ふじわら」の厨房には、たくさんのスパイスやびん詰めが並んでいるといいます。それが思いつきや衝動が生むきっかけになることも多いそう。

藤原さん:
「試作をしようと思っていた時にちょうど、私がよく作って常備している“花椒オイル”が目に入ったんです。それで、ここにしょうがを足してみようと思いつきました。カリカリのしょうががアクセントになって、とってもいい調味料になるんじゃないかなと思って。イメージ通りのものができたので『やった!』という気持ちです」

 


オイルをプラスするだけでこんなにおいしい

所要時間5分のお手軽ウマ辛レシピ



醤油とオイルを一緒にかけるだけ
かつおのたたき

旬のかつおはねっとりと濃厚なうまみが魅力。しょうがと花椒オイルのさわやかな辛さをプラスすることで、さっぱりといくらでも食べられます。

材料(2人分)
・かつおのたたき…適宜
・香味野菜(みょうが、スプラウトなどお好みで)…適宜
・しょうがと花椒のオイル…適宜

(STEP1)
かつおを7~8㎜くらいの厚さに切り、皿に盛る

(STEP2)
香味野菜を散らして、しょうゆと「しょうがと花椒のオイル」をかける

 


炒めて最後に加えるだけ
きゅうりの塩しょうが炒め

強火でサッと炒めたきゅうりはホクホクした食感が新鮮。しょうがのカリカリとも相性抜群で、なんともおいしい箸休めができました。

材料(2人分)
・きゅうり…2本
・塩…適宜
・しょうがと花椒のオイル…大さじ1

(STEP1)
きゅうり2本を乱切りにする

(STEP2)
フライパンに油を大さじ1強ひいて、キュウリを強火で一気に炒める。表面が透明がかって緑が濃くなったら、塩をふたつまみほど加え、しょうがと花椒オイルを大さじ1加えてできあがり

 


醤油と酢と混ぜてあえるだけ
たこと夏野菜のサラダ

彩り、食感、味わい、香り。それぞれに個性的な食材同士が、オイルでこんなにまとまるなんて。来客時にぜひ試したい、リッチで美しい前菜です。

材料(2〜4人分)
・たこ…100g
・トマト…小1個
・アボガド…1個
・パクチー…3本

(ドレッシング)
・しょうゆ…大さじ1
・米酢…大さじ1/2
・しょうがと花椒のオイル…大さじ1/2

(STEP1)
たこ、トマト、アボガドを同じくらいの大きさに切る。パクチーはざく切りにし、あえて皿に盛る

(STEP2)
しょうゆ、米酢、しょうが花椒オイルを容器に合わせ、かけて食べる

 

瓶詰めの数だけ「おいしい」と「楽しい」が増えていく

藤原さんが作るびん詰めは、家庭料理へのあたたかな思いに満ちています。日に三度の食事を手作りするのは大変なこと。それがわかっているからこそ、少しでも簡単に、少しでも手早く、おいしいものが食べられるようにと考えぬいて生まれたのがびん詰めだったそう。小さいお子さんのいる家庭でも、びん詰めになっていれば、大人は辛い味付けが楽しめますよね。

この「しょうがと花椒のオイル」も藤原さんのこれまでの調味料同様、シンプルで使いやすい、とびきりの仕上がりになりました。今回紹介したメニュー以外でおすすめの使い方をと伺うと、こんなにたくさんの「おいしい」を挙げてくださったので、最後にご紹介します。

・切っただけのトマトやきゅうり、豆腐、刺身にかける
焼いたなすやピーマン、かりっと焼いた油揚げにかける。炒めものの仕上げに
・混ぜごはん、チャーハン、塩やナンプラーで味をつけた焼きそば、ビーフン、ラーメンにかける
・ゆで豚、ゆで鶏、水餃子、焼き餃子、蒸した魚、焼いた魚にかける
・お鍋やつけ麺のたれに加える、スープにかける

どれもとってもおいしそうで、ぜひ試してみたいものばかり。いつもの料理に加えるだけでこんなに料理の楽しみにが広がるなんて、やっぱり瓶詰めって偉大です。

 

(終わり)

【写真】佐々木孝憲

 


もくじ

 

藤原奈緒

料理家。JR東小金井駅の高架下〈アトリエテンポ〉で、「あたらしい日常料理ふじわら」を営む。家庭の食事をより美味しく、より手軽にをテーマに、独自に作り上げた「ふじわらのおいしいびん詰め」も人気。nichijyoryori.com

 

ライター 片田理恵

編集者、ライター。大学卒業後、出版社勤務と出産と移住を経てフリー。執筆媒体は「nice things」「ナチュママ」「リンネル」「はるまち」「DOTPLACE」「あてら」など。クラシコムではリトルプレス「オトナのおしゃべりノオト」も担当。

 


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