【体いたわる、おうち参鶏湯】第3話:参鶏湯にもぴったり。秋に食べたい副菜とデザート
ライター 小野民
秋の始まり。夏を乗り切った体は疲れ気味で、どうしても食欲も落ちがちです。そんなときにおうちで体を整えられたらという想いから、「HOME KITCHEN PHERMACY」を主宰し、参鶏湯研究家の脇もとこさんのもとを訪ねています。
スーパーで買える食材で作る手軽な参鶏湯の作り方を紹介した第2話に続いて、今回は参鶏湯の付け合わせにぴったりな副菜とデザートのレシピをお届けします。
秋は体の中も乾燥しがち? 食べるうるおい補給のススメ
▲キッチンには、薬膳レシピに必要な食材がずらり。鉄分補給にぴったりのなつめは煮出してお茶に、さんざしは腸内環境を整えたいときにつまんで……と取り入れています。
夏が終わり秋になると、少しずつ空気が乾燥してきて、お肌も乾き気味になってくる気がします。それは、なにも表面に限らず、体の中も乾燥がちになっているのだそう。
脇さん:
「秋には、乾燥対策に “うるおう食べもの” を積極的に食べたいですね。薬膳では白い食材がうるおいを与えてくれると言われていて、その代表格は白きくらげやゆり根。身近なものでは、りんご、なし、れんこん、山芋、白ごまもいいですね。
良質な油分を含んだナッツ類も内臓を潤わせてくれるのでおすすめです」
今回はとろっとした参鶏湯の副菜ということもあって、シャキッとした食感のれんこんのナムルを。参鶏湯を煮込む横で、ささっと作れるレシピです。
れんこんで潤い補給
しゃきしゃき野菜のナムル
材料(2人分)
れんこん…10cm
クレソン…1束
豆もやし…1/2袋
すりごま …大さじ2
ごま油 …小さじ2
塩…大さじ1弱
砂糖…ひとつまみ
※クレソンは豆苗やほうれん草などお好みの青菜でも。
作り方
(下準備)
・皮をむいて薄い半月切りか輪切りにしたれんこんを、5分くらい水に浸けておく。
・豆もやしのひげ根を取っておく。
【1】ボウルにすりごま、ごま油、塩、砂糖を入れて混ぜ合わせる。
【2】鍋に湯を沸かし、塩と酢(分量外)を加え、水気を切ったれんこんを加えて透明になるまで茹でる。豆もやしは豆がやわらかくなるまで茹で、クレソンはさっと茹でて3cm長さに切る。
【3】れんこんは水を切って熱いまま、豆もやしとクレソンは水を通して冷ましてから、【1】に和える。
脇さん:
「クレソンは血の巡りをよくし、もやしは水の巡りをよくする食材です。たんぱく質も摂りたいので、今回は豆もやしを選びました。
歯ごたえのあるナムルは、参鶏湯の副菜の定番です。旬の野菜でいろんな組み合わせを楽しんでください」
ごまの風味をほんのりまとった、野菜の味をしっかり感じるナムルは、参鶏湯を食べるときの箸休めにもぴったりでした。
旬と楽しい食感を詰め込んで
白きくらげとなしのデザート
材料(作りやすい分量)
白きくらげ…乾燥10g
なし…1/4個
いちじく…1個
ブルーベリー…適量
シナモン…1本
しょうがスライス…2枚
ミント…適量
氷砂糖…7粒
水…500ml
※白きくらげがないときは寒天を使い、氷砂糖の代わりははちみつ(大さじ3)がおすすめ。
作り方
(下準備)
・白きくらげは水に浸けて20分くらい戻す。
・なしはいちょう切り、イチジクは8等分にする。
【1】戻した白きくらげは、根本の硬いいしづきの部分を取り除き、小さく手でちぎりながら鍋に入れる。
【2】【1】になし、シナモン、しょうがスライス、氷砂糖、水を入れて火にかけ、 沸騰したら弱火にして20分煮る。
【3】粗熱が取れたら、いちじく、ブルーベリー、ミントを加えて冷蔵庫で冷やす。少し時間をおいて味を染み込ませるとよい。
脇さん:
「今回は、白きくらげやなしといった “潤い” に欠かせない食材を使いましたが、白きくらげが手に入らない場合は、糸寒天などを使うと近い食感です。寒天には整腸作用がありますよ。氷砂糖の代わりにはちみつを使っても、潤い効果があります。
旬の食材には、その時期に必要なものを補ってくれるものが多いんです。スパイスと季節の果物を煮込んだコンポートは、素材を変えていろいろなバリエーションが楽しめると思います」
くたびれたときに頼れる、いたわりレシピがあったなら。
脇さん:
「参鶏湯は体全体を元気にしてくれる料理なのですが、生薬を使わなくても身近な食材で体をいたわる料理が作れることを知ってもらいたいです。
これからの季節は風邪をひきやすい季節なので、はちみつ大根や杏仁豆腐が咳止めにいいと言われています。体を温めたいときは、紅茶にシナモン、ショウガ、黒糖を入れて飲むといいんですよ。食材の役割を知って組み合わせるのは楽しいものです。
体の声を聞いて、日々の料理で少しでも体を整えていきたいなと思います。でも、ストレスをためないで、ちゃんと眠るのが一番のくすりなんですよ」
参鶏湯を入り口に、おいしく食べながら体を整える薬膳の知恵とレシピを知った全3話。難しそうと思っていた憧れの参鶏湯も、身近な食材のレシピなら普段の食事のように気張らず作れます。
手を動かして作った料理にはきっといわたりの要素が入っているはず。そのときどきの自分や家族の状態によって、献立を考えられたら素敵です。
私が参鶏湯を作るのはきっと、ヘトヘトでごはんを作る気力が湧いてこない日。ほっとできる家ごはんを食べたいけど、作れるのは私だけなら、簡単だけど栄養たっぷりな料理のなんと嬉しいことでしょう。
心も体もほかほかと温まる参鶏湯は、困ったときに頼れる存在になってくれそうです。
(おわり)
【写真】佐々木孝憲
もくじ
脇もとこ
参鶏湯研究家、スタイリスト、参鶏湯スパイスセット開発&販売など、活動は多岐にわたる。薬に頼らず身近な食材で体調を整えられるように、という意味も込めた「HOME KITCHEN PHARMACY」というプロジェクトを掲げ、発酵食品や薬膳のワークショップを展開。https://homekitchenpharmacy.stores.jp/
ライター 小野民
編集者、ライター。大学卒業後、出版社にて農山村を行脚する営業ののち、編集業務に携わる。2012年よりフリーランスになり、主に地方・農業・食などの分野で、雑誌や書籍の編集・執筆を行う。現在、夫、子、猫4匹と山梨県在住。
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