バイヤー　石谷

一つのことをコツコツと、根気良く続けることができる人に憧れます。

というのも私は、興味があることに対しての行動力には自信があるものの、「継続する」ということにめっぽう弱いのです。

新しい選択肢はいつだってキラキラ輝いて見えるし、面白そう。だからその選択を取ってみたくなる。

でももし、続けたり、貫いたりした場合のほうが、実は本当は「良い選択」なのだとしたら？

そんなことが、たまに頭をよぎるのです。

 

「これって、無駄かも」の壁

私の場合続けられない理由に、「これって、無駄かも」と感じる瞬間があると、モチベーションがガクッと下がってしまうことが大きく関わっているような気がしています。

例えば、

「そろそろ体を引き締めたい！よし、ジムに行こう」
↓
ジムが終わるとお腹がすいてくるので、夜、遅い時間に夕食をがっつり食べちゃう。
↓
「これって意味ある？ 無駄かも……」

ざっとこんな感じです。（笑）

やり方をちょっと変えれば、上手くいくのかもしれない。無駄なことなんてない。

そう思いたいものですが、一度下がったモチベーションを元に戻すのは一苦労。そんな時「新しい選択」はより一層輝いて見えます。

『ジムに行って走るのが駄目なら、テニスなんてやってみるのはどう？ もうちょっと頑張れるかもよ。(←頭の中の誘惑)』といったように……。

 

できることなら、新しい選択だけを色眼鏡で見るのは止めて、「続ける」と「新しい選択に舵をきる」を、バランスよく取り入れたいもの。

だけどそれって、なかなか難しいのですよね。

 

 「壁」の向こう側

ところが最近、そんな私を、「これって、無駄かも……」の先に連れて行ってくれた体験がありました。

それは先日、弟の結婚式のため関西に帰ったときのこと。

すぐに東京に戻る予定でしたが、帰り間際になんだかちょっと観光したい気持ちが湧いてきて。思いつきで「奈良」へ行ったのです。

そのまま観光するには荷物が多すぎたので、到着するなりコインロッカーを探すことに。

でもやっぱり、観光地。なかなか空きは見つかりません。

足はすでにもうクタクタ。

ゴロゴロと荷物を引きずりながらようやく空きを見つけたと思ったら、今度は小銭がない。

その瞬間どっと疲れがきて、「欲張りすぎちゃった。観光はやっぱりやめておくべきだったかも」なんて気持ちに。

ネットで下調べしたから、何度も写真は見ているし、そこに行けばどんな景色があるのかは想像ができる。

「ひょっとして、今こんなに労力をかけて行くのは無駄…… かも？」

思わず舵を切って、”東京に戻ってゆっくり休む” という選択を取ってしまいそうなところでしたが、予約した新幹線はずっとずっと先の時間。

観念して重〜い腰をあげて両替をし、荷物を預け、大仏で有名な「東大寺」行きのバスに乗り込みました。

 

しばらくすると、なんだか騒がしい車内。

窓の外に、目を向けました。

鹿です。

下調べして、何度も写真で見ていたはずなのに。歩道に鹿がいる、という光景は想像以上に衝撃的でした。

▲ 微動だにしないこ。

▲ 何を待っているのか、わかりやすいこ。

▲ ラブラブなこ。

▲ 暑いのか、陰に隠れて頭だけぴょっこり出しているこ。

なんと愛らしいのでしょう。

奈良で出会った鹿たちは、のんびりと(時に激しく鹿せんべいを狙って)、歓迎し続けてくれました。

あの時、舵を切らずにここまで来て本当に良かった。

だって私は、鹿という動物がこんなにも表情豊かな生き物だなんて知らなかったから。進み続けてみるのも、良いものですね。

小さなことかもしれませんが、根気レベルが少しずつ上がっていくのを感じた一日なのでした。

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