【せいろのある食卓】後編:せいろで一度に2品完成! 旬を味わうリッチな夕ごはん
ライター 片田理恵
じんわり染みて、ふっくら仕上がる。本格おかずもせいろにおまかせ
せいろを使って手軽においしく食卓を整える特集を前後編でお送りしています。お話を伺うのは料理研究家・野口真紀さん。お母さんでもある野口さんのいつもの食卓として、前編では5分でできる朝ごはんの支度について教えていただきました。
続く後編では、野口家のみなさんが大好きだという秋冬の蒸しおかず2品をご紹介。せいろを二段重ねて蒸し上げることで、熱々を一度に完成させることができます。お酒にもごはんにもよく合う味付け、来客時のおもてなしにもぴったりの華やかさ。手料理に自信をくれる逸品です。
(この記事は2019年11月に制作し、以降公開しております。改めてこのタイミングで多くの方にお読みいただければ嬉しいです。)
大サイズのせいろと蒸し板があれば、大皿料理も簡単です
さまざまなサイズや素材があるせいろは、どれを選ぶかでつい迷ってしまいがち。20年前に野口さんが初めて購入したのは30cmほどの大きなサイズのものだったといいます。理由はもちろん「皿ごと蒸せて便利だから」。せいろは消耗品と話すだけあってその後何度も買い換えているそうですが、いつも大皿を入れることのできる大きいサイズは所有しているとのこと。
また、せいろを使う際に気をつけたい鍋との相性は「蒸し板」が解消してくれるということも教えていただきました。鍋よりもせいろの方が大きい場合でも安全に、せいろを焦がすこともなく安定して調理ができるので安心。
今回の取材では野口さんも、23cmのDANSKに、33cmのせいろを乗せて調理されていましたよ。蒸し板自体も数センチ刻みでサイズの種類があるので、手持ちの鍋とせいろのサイズを測ってから購入するのがおすすめです(目安は蒸し板中央の円の直径が鍋の直径よりも小さいこと)。
秋の根菜、冬の牡蠣。季節を味わう蒸し料理でカンパイ!
家族や友人とゆっくり過ごす週末の夕ごはん。せいろの演出を効かせれば、目にもおいしい食卓を手軽に整えることができます。お酒は白ワインでも、シャンパンでも。
※使用したせいろは横浜中華街で購入した「照宝」の直径33cmのもの。あらかじめ鍋に多めの水を入れて湯を沸かし、沸騰している状態でせいろを乗せること。水がなくなって空焚き状態になってしまうのを防ぐため、別に熱湯を用意しておき、すぐ注ぎ足せるようにしておくとよい。
※使用する器はあまり深さがない平皿がベター。ただし水分が出ることもあるのでフチのあるものを選ぶとよい。
Recipe. 01
さつまいも、れんこん、豚ばら肉の蒸しもの
材料(4人分)
・豚ばら肉(かたまり)…200g
・さつまいも…10cm
・れんこん…10cm
・パクチー…適量
〈つけダレ〉
・テンメンジャン…大さじ2
・トウバンジャン…大さじ2
・にんにく(すりおろし)…1片
・しょうが(すりおろし)…1片
・しょうゆ…大さじ1
・ごま油…小さじ2
※テンメンジャン、トウバンジャンがない場合は、味噌、みりん、砂糖、日本酒、一味唐辛子を混ぜて代用できる。
作り方
〈1〉ボウルにつけダレの材料をすべて入れ、よく混ぜ合わせる。
〈2〉豚ばら肉を約5mmの厚さにスライスして1に入れ、手でしっかり揉み込んでからそのまま10分ほど置いておく。
〈3〉さつまいもとれんこんを5mm程度の厚さに切り、2の豚ばら肉と交互になるように器に並べる。強火で15分蒸す。
〈4〉鍋からせいろを外し、仕上げにパクチーをのせる。
Recipe. 02
牡蠣の紹興酒蒸し
材料(4人分)
・牡蠣(むき身)…200g
・長ねぎ…1/2本
・しょうが…1片
・クコの実…適量
・紹興酒…適量
・ごま油…適量
※クコの実は紹興酒に浸けてふやかしておく。紹興酒がない場合は日本酒で代用できる。
作り方
〈1〉牡蠣に塩をふって軽くもみ、汚れを落として洗い流す。長ねぎとしょうがを細切りにする。
〈2〉キッチンペーパーなどで水気をふき取った牡蠣を器に並べ、その上に長ねぎとしょうが、ふやかしておいたクコの実を散らし、紹興酒をふりかける。
〈3〉強火で5分ほど蒸す(豚ばら肉の蒸しものを加熱し始めてから10分後に牡蠣を上段に追加すると2品同時に完成)。
〈4〉鍋からせいろを外し、仕上げにごま油と好みで醤油(分量外)をかける。
なるべく汚さない。しっかり乾かす。せいろとおいしく暮らすために
ほんのりと紹興酒が香るふっくら絶品蒸し牡蠣に、甘辛い豚肉が野菜の甘さによく絡むばら肉と根菜の蒸しもの。中華風の本格おかず2品が、なんと30分もかからずに完成しました。器を取り出さずにせいろごと食卓にのせるというところも、なんとも新鮮かつ魅力的!
皿蒸しをしているのでせいろ自体は汚れておらず、使用後はさっと水洗いすればOK。その後、水気が完全に飛ぶまでしっかりと乾かすことが重要です。せいろを快適に使いこなすために必要なのは、実はそれだけ! 改めてその優秀さに驚きました。
特集「せいろのある食卓」、いかがでしたか? 食卓を整えることは完成した料理だけを指すのではありません。食材の買い出し、調理、テーブルセッティング、道具や食器の片付けとメンテナンス。それらすべての一連の流れが「食卓を整える」ことだと思います。
だからこそ、せいろは私たちのおいしい味方。少しずつつきあいを重ねて仲よくなれたら、食卓を囲む笑顔ももっと増えていくかもしれませんよ。
(おわり)
【写真】佐々木孝憲
もくじ
野口真紀
料理雑誌の編集者を経て料理研究家に。17歳の女の子と9歳の男の子のママでもあり、子育てと仕事を両立させる毎日を送る。『野口さんちの365日のおかず』(KADOKAWA)、『きょうのごはん』(主婦と生活社)など、著書多数。近著に『わたしの好きなトマト料理』(誠文堂新光社)がある。
ライター 片田理恵
編集者、ライター。大学卒業後、出版社勤務と出産と移住を経てフリー。執筆媒体は「nice things」「ナチュママ」「リンネル」「はるまち」「DOTPLACE」「あてら」など。クラシコムではリトルプレス「オトナのおしゃべりノオト」も担当。
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