【おしゃれな人】第3話:最近、色ものや子供服にもトライしています(「call」スタッフ・小畑滋子さん)

編集スタッフ 奥村

ファッションブランド、minä perhonen(ミナ ペルホネン)が営むショップ「call」で働く、82歳の小畑滋子(おばた しげこ)さん。今回は全3話で、おしゃれの話を伺っています。

20代の頃から変わらずに好きだという、ボーダーとジーンズの装いを見せて頂いた第2話。けれどお話を聞いていると、そんなおしゃれのスタンスが、この頃少し変わりつつあるようなのです。

 

80代になった今、色ものが気になりはじめました

▲オレンジ色のカーディガンは「MARNI」、パンツは「ブルネロ クチネリ」、パンプスは20年以上履いている「シャネル」

小畑さん:
「このカーディガン、お買い物をしていたらふと目がいって、着てみたくなりました。今まで落ち着いた色の服ばかり選んでいたから、こんな鮮やかなオレンジ色を着るのははじめて。試着室で袖を通したら、なんだか気持ちが明るくなったんです。

後ろの裾が少し長くなっていて、袖周りのあしらいも個性的でね。飽きのこないシンプルな服が好きだったいままでなら、選ばなかったデザインです」

長年パンツ派だったという小畑さん。思い切ってスカートを買ったのも、最近のことだといいます。

小畑さん:
「ミナ ペルホネンで、素敵なテキスタイルのロングスカートを見かけて……これならわたしでも着られそう、と挑戦してみたくなったんです。

そうやって変化してきたのは、最近になって『あと何年着られるか』を考えないお買い物もいいわ、と思うようになったからかもしれません。だって、いま着たいものを買うことが、やっぱり楽しいですものね。

callで同世代のおしゃれ好きな友人と知り合えたから、今は一緒にお買い物や旅行に行ったりもするんですよ。誘われて、行ったことのなかったお店も開拓したりね。ここで知り合えた方からは、新しい刺激をいただいています」

 

最近、子ども服にもトライしてみたんです

▲「MARNI」の子供服売り場で購入したというピンクのTシャツ

カーディガンに合わせたピンク色のTシャツも、最近のちょっと新鮮なお買い物だったとか。じつはこれ、子供服(!)だそうなんです。

小畑さん:
「キッズサイズのお洋服売り場を見ていたら、デザインが素敵だなと目に止まってね。子ども服とはいえ、わたしにも合いそうなサイズだわと試着してみたら、ぴったりだったんです。

こんなポップなデザインも、今まではあまり着てこなかったけれど、胸元のポケットのデザインが可愛らしくて気に入っています。

わたし、お買い物をしていて気になった服は、すぐに着てみたくなっちゃうんです。試着って面倒な時もあるけれど、着てみれば納得してお買い物ができるでしょう。それに、気になったらなんでも袖が通せちゃうって、楽しいじゃないですか。こんな素敵な子ども服にも出合えるんですもの。

これは確か、12歳向けのサイズだったかしら……? いつも着てみて考えるので、じつはサイズ表記はあまり見ずに買ってしまうんですよ」

 

まだまだ、着てみたいお洋服が尽きないの

取材前のやりとりで「昔から、シンプルで落ち着いた服が好き」とお話していた小畑さん。だから当日にお会いしたとき、鮮やかなオレンジのお洋服に身を包んだ姿は、少し意外で、うれしい驚きでした。

小畑さんのおしゃれは、80代の今、まだまだ更新されていく途中なのかもしれません。

小畑さん:
「これからも着てみたいお洋服がたくさんあって、尽きません。お休みの日にも時間があると、お洋服を見についつい街へ出かけてしまうんです。

今いちばん憧れているのは、イタリアの『ブルネロ クチネリ』というブランド。シンプルで洗練されていて、本当に素敵……でも、お高いの。なかなか手が出ないけれど、眺めているのも楽しいんですよ。

あとは、肩周りにボリュームがある、少しクラシカルなデザインのお洋服にも興味が出てきました。若い頃は気後れしてしまっていたけれど、歳をとった今ならしっくりくる気がしています」

 

「おしゃれが好き」な気持ちって、生きるパワーなのかもしれない

歳を重ねるにつれ、似合うもの、似合わないものがだんだんにわかってくると、おしゃれの可能性は広げるよりも「絞っていく」ものになると、わたし奥村は考えていました。

でも、本当はいくつになっても、素敵な服を見てわくわくしていたい。お買い物が楽しいって、ずっと思っていたい。おしゃれは歳を重ねるからこそ、もっともっと広げていけると思いたかったんだと、小畑さんにお会いして気づきました。

昔もいまも、これからも、着てみたい服が尽きないのよ。キラキラした笑顔でそう話していた小畑さんを見ていたら思いました。おしゃれが好きという気持ちって、生きるパワーそのものなんだって。

(おわり)

【写真】上原未嗣


もくじ

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小畑 滋子

東京・青山にあるminä perhonen(ミナ ペルホネン)のショップ「call(コール)」ショップスタッフ。現在は主にヴィンテージ売り場で、洋服や雑貨の販売、接客の仕事に携わる。

***

【call】
東京都港区南青山5-6-23(SPIRAL 5F)
TEL:03-6825-3733
営業:11:00〜20:00(カフェはL.O.19:30)
HP:http://www.mp-call.jp/
Instagram:@call.jp


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