編集スタッフ 栗村

この週末、お気に入りの街を離れ、職場の近くに引っ越しをしました。

新しく住む家が決まったのは、ちょうど今から3週間前。これまで住んでいた場所には、なかなか来られなくなるからと、余裕のある時に大好きだった店巡りをしようと思っていました。けれど、バタバタと過ごしていたら結局叶わず。あっという間に引っ越し当日を迎えてしまいました。

今日が引っ越しだなんて実感が湧かないなぁと思いながら、時計を見ると10時。いつも行くベーグル屋が開く時間だなぁ。最後に行きたいけど、さすがに無理かなぁ。でも引っ越し屋が来るまで、少しだけ時間があるか……もしかして行ける？　行っちゃう？　と、まだ片付けきれていない部屋を残して、大好きなベーグル屋に最後のあいさつに向かうことにしたんです。

外に出ると空が高くて、気持ちのいい秋空が広がっていました。

家の前の長い坂を登りながら、もうこの道を通ってベーグルを買いに行くのも最後か〜。そう言えばあの中華屋、気になっていたけど結局行かなかったなぁ。あっスーパーで柿が安くなってる！さすがに買っては行けないよな……なんて、ちょっぴり寂しく思っていると、あっという間にお店に到着。

おはようございます。とあいさつをして店主の顔を見ると、なぜだか今日引っ越しするんですと、すぐに言い出せなくなってしまいました。しばらくいつもと同じようにベーグルを選ぶふり。なんて言おうかなと考えていると（でもやっぱり目の前のむちむちのベーグルに興奮しながら）気がつくとトレーいっぱいにベーグルが。

いよいよ会計のタイミング。言ったら悲しくなる、でも伝えないと、と思ったら、なんの前置きもなく一言目で、今日引っ越しなんです。と言ってしまいました。あまりに突然の報告に、店主もえっ！　と驚いて、どういうことですか。と聞き返してしまうほど。

それからレジを打っている束の間に、ちょっと離れた街に引っ越すこと、こうやって朝にふらりと来られなってしまうこと、でもまた必ず来ること、何より今日がいい天気でよかったことを話しました。

最後にありがとうございましたと言ってお店を出ると、やっぱり寂しい。けれど、また来ますという約束のおかげで、この街に来る理由ができたのが、ちょっぴり嬉しくもありました。

早速こんどの週末に行ってしまおうかなぁ、なんて考えながら、急ぎ足で家に向かうのでした。

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