【スタッフコラム】ちょっと良いりんごジュース

編集スタッフ 齋藤

寒い寒いと言いつつも、寒い季節が結構好きで、空気のきれいさやつんと冷たくて透明感のある匂いなんかを鼻の奥に感じると「あぁ冬っていいなぁ」と思います。肩をぎゅっと上にあげてそそくさと足早に通りすぎる人たちの様子も、なんだか人間らしく、愛嬌があるように感じてしまう。

そんな今の季節に、新しく2つ楽しみが増えました。

一つ目は、朝、空を眺めてぼうっとすること。とても普通のことなのですが、それをベッドに潜ったままするのが、今の私の楽しみなのです。

私の部屋はベッドが壁に横付けされていて、そこに窓がついています。朝方、腕だけ伸ばしてほんの数十センチだけカーテンを開ける。その途端にひやりとした空気が一気にベッドに降り注ぎます。もちろん寒いから布団に顎まで潜り込むのですが、それがまるで清潔な水で顔を洗っているみたいで、なんとも気持ち良いのです。

その後、5分くらい空をただ眺めます。このところ東京は雨模様で、薄べったい灰色の空ばかりでした。曇り空は「どんよりとした天気」なんていう風に形容されますが、ぼうっと眺めたり瞼の裏でその存在を確かめたりしていると、曇りといっても空は光で満ちているのだと感じられます。ただ、光が鈍くてやわらか。上品なペールグレーの空は存在感こそ儚いですが、ニットやワンピースとして仕立てたらきっと素敵になるだろうと思わせてくれる、私の大好きな色です。

そして二つ目の楽しみが、ちょっと良いりんごジュースを飲むこと。

「ちょっと良い」がポイントです。中には1000円近くするものもありますが、私にはそういうものは肩が凝ってしまう気がして、400円程度で買える瓶入りのものを購入しています。でも、十分おいしい。喉をすぎた後の空気の匂いが、しゃくしゃくとりんごを食べた後みたいなんです。ベタベタに甘くなく、ほのかに酸味もある。その素朴さが、飾っていない朝の体にすごく合う。

真っ赤に熟れたりんごを見るたびに、朝食でりんごを食べたいなぁとは思っていたのですが、朝から皮を向く元気がなく、けれど甘さだけが強烈なジュースはなんだか疲れてしまうような気がします。

そんな時に出会えたりんごジュースのおかげで、朝によろこびが増えました。

冬の光と、冷たい空気と、ちょっと良いりんごジュース。

自分なりの楽しみを見つけられたから、もっと、冬を好きになりそうです。

▲冬のいちごの匂いもすごく好きです


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