【ラクして続けるお弁当】第3話:組み合わせに悩まない! 頼れるレシピ2品&おかずの法則

編集スタッフ 奥村

「悩まない」おかずのアイデアが知りたい

今年こそ、お弁当作りを続けたい。今回はお弁当歴30年というお弁当コンサルタントの野上優佳子(のがみ ゆかこ)さんに秘けつを聞いています。

第3話は、おかずのアイデア。バランスよく、飽きずに美味しく食べられる構成を毎日考えるのはなかなか難しいもの。そこで今回は、続けやすくて悩まないおかずの組み立て方を聞きました。

はじめに伺ったのは、野上さんが頻繁に作るという鉄板レシピ。一見定番のおかずですが、これさえ覚えれば一週間乗り切れるというくらい汎用性のあるレシピなんです。

 


基本を覚えて、無限にアレンジできる
冷めてもおいしい「生姜焼き」レシピ


材料(2人分)

豚薄切り肉…100g
サラダ油…小さじ2

A
しょうがのすりおろし…小さじ1/4
しょうゆ、みりん…各小さじ2

 

作り方

1.豚肉に塩、こしょうをまぶす

野上さん:
「豚肉を広げて並べ、塩、こしょうを両面に適量まぶします。最初にほんのり下味をつけておくことで、冷めてもしっかり味がしみて仕上がります。

好みで薄力粉を適量まぶすと食べ応えがアップしますよ」

 

2.フライパンで両面を焼き、調味料をからめる

野上さん:
「油適量を熱したフライパンにお肉を広げて並べ、両面に焦げ目がつくまで焼きます。

火が通ったら、混ぜておいたAを加えて汁気が飛ぶまで全体にからめたら、できあがり。

もしも調味料を混ぜるのが面倒な時は、しょうがのすりおろしを豚肉の上にのせ、みりん、しょうゆの順に入れてからめるのでもOK。しょうゆを最後にするのが、焦げ付きにくくするポイントです」

 

お肉はなんでもOK。厚揚げやちくわでもおいしくできます

今回豚ロースの薄切り肉を使ったのは、「形が自在に変えやすいから」と野上さん。

広げてごはんの上に並べれば肉丼に、ぎゅっと丸めて小麦粉をまぶして焼けば一口カツ風に、野菜を巻けば肉巻きに、と汎用性が高いんです。

野上さん:
「鶏肉など他のお肉でもおいしくできますし、お肉がないときは、厚揚げやちくわでもOKです。ボリュームのある味付けなのでちゃんとメインおかずになりますよ」

▲野上さんのおすすめは「厚揚げの肉巻き」。肉がちょっと足りないときでも、手軽にボリュームアップできるそう

野上さん:
「『しょうが』は基本的にどんな食材にも合うので、この味付けをマスターすればいろんな具材に変えてアレンジできるのがいいところ。

例えばしょうゆを塩や味噌、ウスターソースマヨネーズなどに変えれば手軽に味が変えられて、食べ飽きません。

薬味は冷めても香りが残るので、おいしさを感じやすくお弁当向きの食材です。

たとえばしょうがをすりおろしたにんにくや大葉、刻んだみょうがに変えてもおいしいですよ。これひとつで、いろんなアレンジが楽しめます」

 

もう1品ほしいときは! ストックできる「野菜の焼きびたし」が便利

もう1品、野菜のおかずで野上さんのおすすめは「焼きびたし」。

市販のポン酢(またはしょうゆと酢やレモン汁、すだち果汁などを3対1で混ぜたもの)大さじ2を、水大さじ1(好みで調整してください)で薄めてバットに用意し、好みの野菜をさっと炒めてその中へ。タレをからめてしばらくおけばできあがりです。

野上さん:
「どんな野菜にも合うタレなので、わたしはふだんの料理で余った野菜をささっと焼いて、漬けておくようにしています。冷蔵庫で4日ほどはストックできるから、時間のあるときに作っておけば平日のお弁当を乗り切る助けになります。

ポン酢の酸味は野菜の色を鮮やかにするので、お弁当の差し色にもぴったり。

皮と中身で2色の彩りがあるさつまいもや、鮮やかなパプリカ、なすなど緑黄色野菜は特におすすめです」

 

考えなくてもおかずが決まる。「しょっぱい」「甘い」「酸っぱい」の組み合わせ

野上さん:
「おかずの構成に悩んだら、味付けに『しょっぱい』『甘い』『酸っぱい』の3つが入るよう意識してみてください。

ごはんに合うおかずだと大抵『しょっぱい』は満たせていることが多いですね。

それにプラスして、たとえば『甘い』ならかぼちゃやさつまいもの煮物に、シンプルな素焼き。市販の煮豆でもいいですし、甘い卵焼きでも。しょっぱいおかずが多くなりがちな中で、口休めになります。

『酸っぱい』なら、ご紹介したポン酢の『焼きびたし』も便利です。それから、市販のお漬物やピクルスでもいいですね」

野上さん:
「漬物やピクルスがおすすめの理由はもうひとつあって、シャキシャキ、カリカリした食感が楽しめること。

歯ごたえのあるものがひとつ混ざっているだけで、お弁当の食べ応えや満足感、早食い防止にもにつながるんです。

生の大根やかぶをさっと焼いて『焼きびたし』にして加えるのもおすすめ。『酸っぱい』味も補えるので、一石二鳥です」

 

冷蔵庫にある具材だけでも、案外作れるものです

こうして教わっていると、野上さんのお弁当作りはまるで「パズル」のよう。

豚肉がなければ厚揚げで、しょうゆがなければ塩やウスターソースで……と具材や調味料を自在に変えて、いとも簡単にお弁当を作っていきます。

野上さん:
「たとえば、今回のしょうが焼きと焼きびたしをベースに始めてみましょう。次第に今日はこの調味料に変えようとか、冷蔵庫にある具材で応用しようとか、少しずつアレンジは広がっていくものです。すると1週間を無理なく回せるサイクルが掴めてくるので、だんだんラクになりますよ」

おかずの仕組みがわかったところで、最終話はいよいよ詰め方。出来上がったおかずを、悩まずサクサク詰めていくコツを伺います。

(つづく)

【写真】木村文平


もくじ

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野上 優佳子

料理家・弁当コンサルタント。新聞、雑誌、テレビなど多メディアで活動しながら、汎用性と実用性の高いレシピを提案している。プライベートでは社会人から小学生まで2女1男の母。

▼野上さんの著書はこちらから


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