【春野菜をなんどでも】第1話:下茹でいらずで簡単に!「菜の花」を使ったパスタと煮びたし

ライター 藤沢あかり

街路樹や軒先、道端で。少しずつ春の色が広がりはじめました。

春は、野菜売り場にも。この時期だけのお楽しみの菜の花に、やわらかくみずみずしい春キャベツや新玉ねぎ、スナップエンドウやさやえんどうは陽気な緑色で食卓を彩ります。

春のよろこびを、食卓にも取り入れてみるのはどうでしょう。そうは言っても、時間と追いかけっこするように過ぎていく平日の夕飯どき。手軽で下ごしらえいらずがうれしいですよね。

 

教えてくれるのは、「きょうの140字ごはん」の寿木けいさん。

レシピを教えてくれるのは、ツイッターアカウント「きょうの140字ごはん」を主宰する寿木(すずき)けいさんです。

寿木さんが提案している料理はどれも、複雑な工程や下準備はほとんどなし。140字におさまる短いフレーズのようなレシピは、さっと読むだけで調理手順がイメージできるほどなのに、「これどんな味なんだろう?」「食べてみたい!」と想像力がかき立てられます。

▲ただいま、から30分でできる “持続可能” でシンプルな家ごはんを集めた『いつものごはんは、きほんの10品あればいい』(小学館)。最新刊は、エッセイ集『閨と厨(ねやとくりや)』(CCCメディアハウス)。

今回は、「同じ春野菜をつかった2品が、献立としても成り立つように」とお願いし、味つけや食感もバランス良く仕上げていただきました。この2品があれば今夜の献立にしてもらうのはもちろん、バラバラにつくっても大丈夫。どれも思い立ったらさっと始められるものばかりなので、あと一品どうしよう、というときにもお役立ちです。

第一回目は、今まさに旬真っ盛りを迎えている、菜の花を使った2品をお届けします。

※分量は目安です。味見をしながら、人数や好みによって調整してみてください。

 


くたくたに煮てパスタのソースに
菜の花とひじきのペペロンチーノ


 

材料(約2人分)

パスタ(フジッリ)…2人前なら120gくらい
菜の花…1把
ひじき(水煮)…1パック
しらす…適量
オリーブオイル…適量
にんにく…2片
パルメザンチーズ…適量

つくり方

[1]菜の花はたっぷりの水にひたしながらよく洗う。根元の固いところだけ除き、粗いみじん切りにする。

[2]フライパンに多めのオリーブオイル、軽くつぶしたにんにくを入れ、程よく色づき香りが立ってくるまで熱する。 

[3]刻んだ菜の花とひじきを入れ、塩こしょうをして、ざっと炒め合わせる。ふたをして、弱めの中火でときどき様子をみながら蒸し焼きに。この間に、パスタ用のお湯をわかしておく。

▲にんにくは、この段階で取り除いてもOK。

 寿木さん:
「菜の花から水分がたくさん出てくるので、放置するような感覚で大丈夫。ときどき焦げないように混ぜながら、くたくたになるまで火を入れてください。水分が足りなければ、パスタを茹でている鍋から塩水を少しくわえます」

[4]菜の花がくたくたになったら、しらすを入れる。

[5]湯切りしたパスタを合わせてよく絡め、皿に盛る。パルメザンチーズをたっぷりすりおろして完成。

 寿木さん:
「パスタは、具材がよく絡むフジッリがおすすめです。ショートパスタなら子どものおぼつかないフォーク使いでも食べやすく重宝しています。菜の花の時期が過ぎたら、春菊やニラでもおいしいです。

子どもも食べられるよう、うちでは鷹の爪は入れませんが、お好みでくわえてくださいね」

 


下ゆでなしで、ほろ苦さも楽しんで
菜の花と豚バラ肉の煮びたし


 

材料(約2人分)

菜の花…1/2把
豚バラ薄切り肉…100g
だし汁…400ml
片栗粉…適量
塩、醤油…各少々

つくり方

[1]鍋にだし汁を入れ、ひと煮立ちさせる。(今回は、手軽なだしパックを使用)

[2]菜の花はざく切りに、豚肉は一口大に切る。

[3]豚肉に塩コショウをふり、少し置いたら片栗粉をまぶす。肉どうしをはがしながら、花びらのようにバラバラにし、片栗粉を全体にまとわせるのがポイント。

[4]沸騰しただし汁に、塩と醤油を少々入れ、飲めるていどの濃さに味を整える。

[5]豚肉をバラすように振り入れ、豚肉の色が変わったら菜の花の茎を先に入れる。再沸騰したらやわらかい葉の部分を入れ、ふたをして火を止める。あとは余熱で火を通す。

▲「煮汁が少なく見えますが、ひたひたになるくらいでじゅうぶんです」

寿木さん:
「菜の花は下茹でせずに直接入れて大丈夫です。片栗粉をはたくひと手間で、豚肉がつるんとした舌触りになり、だし汁もよく絡みます。豚肉のうまみが菜の花に重なり、食べやすいと思います。うちの子どももおかわりしていました」

菜の花とひじきのペペロンチーノは、パスタだけでなく、パンにのせてもおいしいとのことで、うちでもやってみました。

にんにくと塩を効かせたシンプルな味は冷めてもおいしく、持ち寄りのピクニックにもぴったり。バゲットに各自好きなだけのせながら食べたのですが、みんなに好評でした。

次週は、「スナップえんどう」を使った2品をご紹介します。

【写真】馬場わかな


もくじ

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寿木けい(すずき・けい)

家庭料理人/文筆家。富山県出身。今日のごはんを綴ったツイッター「きょうの140字ごはん」はフォロワー数11万人を超える。レシピ提供のほか食や生活についての執筆も手がける。趣味は読書と仏像めぐり。好物は牡蠣とマティーニ。著書に『いつものごはんは、きほんの10品あればいい』(小学館)、『閨と厨』(CCCメディアハウス)など。

ライター 藤沢あかり

編集者、ライター。大学卒業後、文房具や雑貨の商品企画を経て、雑貨・インテリア誌の編集者に。出産を機にフリーとなり、現在はインテリアや雑貨、子育てや食など暮らしまわりの記事やインタビューを中心に編集・執筆を手がける。


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