【花と暮らすを、始めたい】第4話:花を、明日も楽しむために知っておきたいこと

編集スタッフ 糸井

暮らしに花を取り入れたくても、なかなか出ないはじめの一歩。

今年の春は、そんな習慣を変えてみようと思います。

教えていただくのは、都内の花屋に務める熊木健二さん。最終話では、花を活けるときの簡単なコツ、花を長く愛でるための基本を教えてもらうことに。

花を買って帰ったとしても、活けるときに悩むこともたくさん。花器に対して、茎はどのくらい切ればいいのか、複数活けるときは、ちょっとずつ長さをかえたほうがいいのか……。

実際に、1話目で熊木さんにおすすめいただいた「少量でサマになる」花器を使って、実践してみました。

 お花の活け方・お手入れのコツ

茎の長さは花瓶から5~10cm出すと◎

熊木さん:
「お花の体型と、手持ちの花瓶のサイズをみながら、茎を切っていきます。でも、どのくらい切ればいいか迷いますよね。

身長170cmの人がSサイズを着るとつんつるてんになるように、花瓶も、お花にとっては洋服のようなもの。このお花にはこのくらいの着丈が似合うんじゃないかな〜とイメージしながらカットしてみてください。

具体的には、花瓶の口ぎりぎりに花が出ているよりも、5〜10cm出してあげましょう。花バサミがなければ、キッチンバサミで問題ありませんよ」

熊木さん:
「複数輪を活ける場合の茎の長さも、基本的にすべて切りそろえて大丈夫。でも、たとえばポピーのように、同じ種類の花でもひとつひとつ茎がカーブしていたりするものは、長さを変えて、それぞれのラインの表情を出してあげるといいですね。ぜひ試してみてください」

熊木さん:
「ちなみに、持ち帰ってくるまでに時間が経った場合は、水あげ方法のひとつ『水切り』をしてあげると、吸い上げがよくなります。『水切り』とは、水中のなかで茎をつけながら切ることです。

空中で切ってしまうと、茎の道管(栄養や水が通るところ)に空気が入りこみ、その気泡が水の行き来をにぶくさせるんです。とくに、草花などで茎が細いものや、ダリアのような茎が空洞になっているものは水切りをおすすめします。

買って帰ったあともまだしっかりと水が上がっている花であれば、水切りでなくても大丈夫。茎の切り口を新しくして、すぐに水を吸わせてあげましょう」

 

異なる2種類は、グルーピングで活ける!

熊木さん:
「2種類の花を活けるときは、グルーピングといって、1つの花器のなかで活け分けるようにしてみてください。とても簡単に、素敵に飾れますよ。両手でそれぞれをキュッと選り分けて、そのまま手をそっと離してみてください」

 

水換えのタイミングは、「ついで換え」がおすすめ

熊木さん:
「生花の日持ちは、およそ1週間といわれています。

ベストな水換えの頻度は、1日に1回。ですが、忙しいと『昨日、水換えできなかったなぁ』という日、僕もあるんです。張り詰めすぎないで、できるだけ思い出したときに変えてあげてくださいね。

水換えのタイミングは、洗濯中や、お風呂あがりなど、なにかのついでだとフットワークも軽くなります。

その際、余力があれば花器も洗うと◎。台所のスポンジで、中性洗剤を使ってOKです。花器によっては、水筒を洗うような細長いスポンジで、洗えますよ。

水や花器が汚れると、バクテリアが育ってきて花の茎の先端部分が茶色くなってきます。すると水の吸い上げが悪くなって、お花がクタッとしちゃうんです」

熊木さん:
「もうひとつ。ぜひ水換えのたびに、茎を少し切ってあげてください。1mmでも効果バツグン。切り口が新しくなったお花は、水の吸い上げがグンとよくなるんです。

花屋さんによって違ってはくるのですが、切り方は斜め切りでも、平行に切っても。だけど薔薇だけは、斜めに切った方が水が行き渡りやすく、花の開きがよくなってきます」

 

部屋に花がある日は。

部屋に花がある日。仕事おわりや寝る前にふと眺めたり、写真を撮りためて花日記のように愛でたり。そうしてお花を楽しみ終わったあとは、洗った花器たちをお気に入りスペースに戻して、またお花を買いに行く。

そんな風に、今年の春はお花のある日が増えますように。さて、次はいつお花屋さんに行きましょう。

(おわり)

当店取り扱いの花器はこちら

【写真】上原未嗣

もくじ

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熊木健二

園芸店のような部屋で暮らしている、根っからの植物男子。新卒から花屋で働き、現在は都内に3店舗構える花屋「ex. flower shop & laboratory」に在籍。Instagramでは、花や植物の写真とともに、植物との暮らしを紹介。
Instagramは@kuma_kenから。


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