【ランニングはじめ】前編:これならできる!「1回30分」からの、気楽な一歩のふみ出し方
編集スタッフ 石川
いつだって、軽やかな体と心で暮らしていきたい。そのためには、日々きちんと運動をしなくては……。そんな自分が課した義務感から、これまで何度かはじめようと試みてきた「ランニング」。
「普段運動してなくても、きっとできるだろう」。
そんな風に高をくくって始めてはみるけれど、思うように動かない自分の体にすぐ根をあげて、結局三日坊主になるのがお決まりのパターンでした。
今度こそ、ランニングとちゃんと仲良くなりたい。そしてできれば、暮らしの一部になってくれたら。
そこで今回は、ランニングをいちからプロに教えてもらいました。お話を聞いたのは、ランニングアドバイザーの真鍋未央(まなべ みお)さん。
運動からすっかり遠ざかってしまった人にも無理のない「ランニングのはじめかた」を、全2話でお届けします。
真鍋さん:
「ランニングと聞くと、どうしてもキツいイメージを持つ方も多いと思います。ですが一番大切なのは、無理してがんばりすぎないこと。
『今日は走りたくないな』と感じる日は、お散歩程度のウォーキングだけにとどめるのもOK。気構えすぎず、そのときの気持ちに正直に従うのがベストです」
まず目指したい目標は「1回30分」
真鍋さん:
「初心者がまず目指したい目標は、とにかく30分間動き続けるということ。その間は、歩いても走ってもOKです。
目標の距離や、目的地を決めても良いのですが、やはりそこにたどり着くまでにどうしてもうんざりしがち。それが原因でランニングが嫌いになってしまうケースも多いと思います。
その点『1回30分』と時間で区切るようにすれば、気楽に受け止めやすくなるはず。短時間だからこそ、暮らしのスケジュールの中にも自然と取り入れやすいですよ」
真鍋さん:
「オススメは『5分歩く→5分走る』というサイクルを繰り返す方法。これを1セットとして3回行うと、ちょうど30分です。
慣れてきたら、走る時間を長くするなど自分の心地よいサイクルに調整してみてください。また、スケジュールの感覚がつかめ始めたら、1回30分を1回40分、50分……と伸ばしていくのも手。
ちなみに、アップダウンの激しいルートは、初心者は避けたほうがベターです。公園やランニングコースで走るのが難しい場合は、自宅の周囲のコンクリートの道でもOKですよ」
初心者こそ、ウェアやシューズを味方に
そう聞くと俄然やる気が出てきたものの、実はランニング用のウェアやシューズを持っていない私。やはりきちんとしたものを、一式揃えたほうが良いのでしょうか?
真鍋さん:
「初心者だからと言って、普通のTシャツやスニーカーで走ると、熱がこもったり、足に負担になったりすることもあります。
やはり、心地よく走るにはランニング用のものを身につけるのがおすすめ。機能性を持った必要最低限のものを揃えるだけでも、軽やかな走りの味方になってくれますよ」
はじめに揃えたい
「トップス、タイツ、シューズ」
▲右上から時計回りに、トップス、シューズ、タイツ、ショートパンツ
真鍋さん:
「ウェア選びのポイントは、通気性の良さ。熱や湿気がこもるものは、長く走るには不向きです。それさえ気をつければ、スポーツブランド以外のものでもOK。
専用のタイツを着用すると、筋肉の動きをサポートする機能が備わっているので、はくだけで走りやすくなりおすすめです。
スマートフォンなどを入れられるポケット付きのものもあるので、身軽に走れるのもいいところです。
タイツだけだと抵抗がある人は、ショートパンツを上から重ねてはいて大丈夫です」
真鍋さん:
「一番重要なのが、シューズ選び。見た目が好みのものを選んで構いませんが、あわせて機能性もチェックしておくのが大切です。
ポイントは、クッション性。ソールやかかと周りにしっかり厚みのあるものを選んでください。『反発力』を謳っているモデルは上級者向けなので注意しましょう。
サイズは、足をかかと側にぴったりつけたときに、つま先側に指1本分余るものを。同じブランド、サイズでも、モデルによって全く大きさが違うということもよくあるので、可能であればお店で店員さんに選んでもらうと間違いがありません」
あると便利!「薄手パーカー」
真鍋さん:
「半袖1枚では少し肌寒いときのため、薄手のパーカーをプラスアルファで持っておくと重宝します。
私が普段愛用しているのは、手に持っても重さを感じないくらい薄くて軽いもの。走っていても重さが気にならないのがいいところです。撥水性もあるので、小雨であればこれを1枚羽織って走りに行くこともあります」
普段の生活から体づくりができる?
覚えておきたい「下準備」
意気揚々に走り始めたのも束の間。想像よりずっと動けない自分に、ちょっとがっかりすることがこれまで何度もありました。
真鍋さん:
「普段あまり運動をしていない方は、いきなりランニングを始める前に、まずは体の下準備をしておくと良いですよ。
『走れる体』をつくっておけば、走っている最中も苦しくなく、走り終わったあとも疲れにくくなるので、『ランニング=キツい』という負のイメージからも抜け出せます。
走る前にまずは正しい立ち方と、歩き方を練習してみましょう。スキマ時間に少しずつやってみるだけでも、走りやすさが断然変わってきます」
「正しい立ち方」を身につけよう
ポイント
・体の縦のラインと横のラインが十字に交わるように。
・腰が前に出たり、後ろに落ちたりしないように。「腰の周りにラップがぐるっと巻かれている」イメージで。
・「トイレを我慢している」ときのような感覚で、お尻をキュッと締める。
真鍋さん:
「実はランニングに1番大切なのは、姿勢。
しっかりと胸を張って走ると、腕がしっかり振れ、呼吸が通りやすくなります。息も上がりづらくなるので、想像以上にラクに走れることに気づけると思いますよ」
▲お尻の横に手を当ててみて、 “ えくぼ ” のようにへこんでいれば正しく立てている証拠。
走りにもひびく「正しい歩き方」
ポイント
基本は<正しい立ち方>のまま自然に歩けばOK。特に意識するのは、次の2つ。
・「腰の周りをぐるっとラップされているイメージ」のまま歩くこと。
・ 肩が内側に入らないようにすること。頭が前に出てしまわないよう、注意。
真鍋さん:
「街を歩いている間、横断歩道を待っている間など、ふと気づいたときに、少し姿勢に意識を向けるだけでもOKです。
デスクワーク中の気づいたタイミングで椅子をデスクにぐっと近づけて深く腰かけたり、背中にタオルを挟んだりと、座っている間に姿勢を意識してみるのも良い習慣です」
*****
挫折するたび「もともと体力のない私には、やっぱりできないのか……」と、自分からはなんだか遠い存在に思えてしまっていた、ランニング。
けれどお話を聞いているうちに、自分にも今度こそはじめられそうな気がしてきました。いやそれどころか、今すぐ走りはじめたくてウズウズしてきています。
続く後編では、走りの正しいフォームや、ランニンングを続けるコツを教えてもらいます。
(つづく)
※公園や公共施設でランニングを行う際のマスクやフェイスカバーの着用等につきましては、実際の施設のルールに従ってください。
【写真】鍵岡龍門
もくじ
真鍋未央
福岡県出身。学生時代は中・長距離の陸上選手として活躍し、卒業後は資生堂ランニングクラブに所属、マラソンに転向。現在はランニングアドバイザーとして、自身のランニングイベント「miobiRun」を定期的に開催するなど、初心者ランナーの裾野を広げている。
著書に『キレイになるランニング』(青春出版社)、『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』(池田書店)。Instagram: @mio_manabe
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