【おとなの金髪】第3話:小物で仕上げる「カジュアルだけど品がいい」おしゃれとは?
ライター 木下美和
ファッションと同じように、いくつになっても髪型のおしゃれも楽しみたい! 大人になれば、遅かれ早かれ訪れる髪色・髪質の変化とともに自分らしく楽しむには?
この特集は、40代後半で金髪へとイメージチェンジをした「Letterpress Letters/Canteen」(レタープレスレターズ/カンティーン)の店主・細山田亜弥(ほそやまだ あや)さんに、大人世代の髪型とおしゃれの関係性についてお話を伺っています。
1話では細山田さんの金髪にしたきっかけとライフスタイルの変化、2話では明るい髪色にしてからの普段着のおしゃれについて伺いました。
今回は、細山田さんのコーディネートに欠かせない小物づかいを見せてもらいます。
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カジュアルコーデを大人顔に
会社員を辞めてからは、オンもオフもデニム中心のカジュアルなコーディネートが多いという細山田さん。さらに金髪にしてからはあざやかな色の服や小物も楽しむようになったそう。なかでも差し色として首元にスカーフをさっと1枚掛けるのは、お出かけ時の定番です。
細山田さん:
「ハイブランドにはあまり興味がないんだけど、〈エルメス〉のスカーフは好きで、フランスにいた頃から少しずつ集めています。発色がきれいで、このシルク生地は長く使い続けても全然へたれない。1枚あるとグッとおしゃれ感が増します。同じ格好でも合わせるスカーフ次第で印象を変えられるのも魅力です。
それに、スカーフって薄手のようで、実は首元にあると意外とあたたかいんですよ。秋冬は出かけるときに1枚持っておくと重宝しますよ」
▲アクセサリーもお出かけ着のアクセントに活躍。クリスタルの球体が個性的なネックレスは〈バカラ〉。ブルーの天然石ビーズのネックレスはジュエリーデザイナー・清水ヨウコさんが作る〈ビーズバランス〉のもの。
お出かけコーデは、エレガンスのさじ加減を大切に
▲色とシルエットの美しさに一目惚れして購入した〈セルジオ・ロッシ〉のパンプス。
ラフにもなりすぎず、かっちりもしすぎず。カジュアルと中に加える絶妙なエレガンスのさじ加減には、足元のバランスも重要なようです。
細山田さん:
「お店がある日はスニーカーだけど、出かけるときはあえてヒールのある靴を履きます。デニムでもカジュアルダウンしすぎず、きちんと見えるので。サラリーマン時代のパンプスはベーシックな黒ばかりだったけど、金髪にしてからここ数年はシルエットや色がきれいな靴も履くようになりました」
▲フランス出張時に購入した〈ロートル・シューズ〉のブーティは、秋冬に大活躍の一足。
上半身・下半身それぞれにエレガントな小物でスパイスを効かせて、自分らしいバランスのカジュアルコーディネートを楽しんでいる細山田さん。さすが長年履き慣れているだけあり、ヒール靴を履いたときの背筋がすっと伸びた美しい立ち姿も印象的でした。
頼もしい旅の相棒
▲〈グローブ・トロッター〉のキャリーケース。
普段づかいのバッグと同じようにクローゼットのそばに常備しているのが、キャリケース。これまでの旅を物語るような使い込まれた跡が、なんともいえない格好よさ!
細山田さん:
「このキャリーケースは、サラリーマンの頃からもう15年くらい使い続けています。実は、パリにも「Letterpress Letters」のスタジオがあるので、会社を辞めてからも定期的にパリに行くんです。軽くて丈夫だし、流行り廃りのないデザインがいいですよね」
今よりも、「これから」に目を向ける
髪型やおしゃれについてたっぷりと話を伺ったインタビュー終盤、「よかったら活版の作業も見て行ってくださいね!」と、細山田さんがカフェと並行してディレクターを務める活版印刷のスタジオへと案内してくれました。
隣接する別棟の地下にあるスタジオへと階段を降りると、まるで秘密基地のような空間が! 何種類ものヴィンテージの活字フォントや印刷機が置かれています。
▲カフェのすぐ裏手にある建物の地下にある活版印刷スタジオ。細山田さんの夫は料理やライフスタイル系の雑誌・書籍を数多く手がける「細山田デザイン事務所」を主宰する、アートディレクターの細山田光宣さん。
細山田さん:
「スタジオにある活版の機械や道具は、夫が若い頃から海外で集めてきたもの。その影響で、私もすっかり活版の魅力にはまってしまいました。どのフォントで、どんな言葉を、どんな色や配置にしようかって考えるのが楽しいんですよ〜。実は、来年あたりにカフェの上の階にも、活版のギャラリーをつくろうと計画中なんです!」
そう話す表情からは、今の仕事を心から楽しんでいる気持ちがひしひしと伝わってきます。
***
はからずも40代後半に金髪へのイメチェンに退職・独立と、大きな転機が重なった細山田さん。今回の取材を通して印象的だったのは、おしゃれも生活も、「現状維持」ではなく、「これから」に目を向けて、新しい自分自身にワクワクしている姿でした。
前髪をつくってみる、インナーカラーを入れてみる。そんな小さな髪型の変化も、新しい自分に出会えるきっかけになるのかもしれません。
【写真】田所瑞穂
もくじ
細山田 亜弥
活版印刷スタジオ兼カフェ「Letterpress Letters/Canteen」店主。外資系化粧品会社に勤務しながら、「ル・コルドン・ブルー」に入学しグラン・ディプロムを取得。その後2018年に現在のお店をオープン。カフェではキッシュなどの日替わりランチをはじめ、クッキーや焼き菓子などを販売。また、スタジオでは活版印刷のワークショップ(予約制)を定期的に行っている。
https://www.letterpressletters.com
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