【大事なものの収納術】第2話:よしいちひろさん(洋服編)「ほどよく雑に、ほどよくすっきりを心がけています」
ライター 片田理恵
うつわ、洋服、本。好きが高じてついたくさん集めてしまうものってありますよね。今回の特集でお届けしているのは、そんな大切なものの持ち方としまい方。数を減らすだけじゃない「私らしい収納」を実践されているみなさんにお話を伺います。
「うつわの収納術」について話してくださった石川博子さんに続き、第二話ではイラストレーターのよしいちひろさんが登場。テーマは「洋服の収納術」です。
おこづかいの割合を一番多く占めるのは、今も昔も洋服
高校生の頃から洋服が大好きで、雑誌『mc Sister』や『Olive』を愛読していたというよしいさん。大人の女性の胸をときめかせる洗練されたかわいらしさ、都会的でロマンティックな作品とそのセンスは、ファッションから多くを学んできたといいます。結婚して母になった今も変わらず、「おこづかいの割合を一番多く占めるのは洋服」だそう。
よしいさん:
「雑誌やSNSを眺めたり、写真を切り抜いてコラージュを作ったり、気になる洋服をスケッチしたり。年齢とともにファッションのテイストや着るブランドは変化したけれど、洋服が好き、楽しみたいという気持ちは今もずっと変わらないですね。
ここ数年は買いすぎ防止策として、欲しいものを見つけたらまずノートに絵を描いて、2週間様子を見ることにしています。描くとそれで気持ちが満足して、買わないでもいいやと思える場合があるんですよね。一点物の古着など、見つけた瞬間に買ってしまうものもやっぱりありますけど、基本的には2週間考えて、それでも欲しいと思うものだけを買うようになりました」
クローゼットを自分らしく使うための収納システム
そんな大切な洋服を収納しているのは、寝室にある造り付けのクローゼット。ふたつに分かれた引き戸タイプで、奥行きはバーにかけた洋服の奥に少し余裕があるくらい。その中に引き出しやラックを組み合わせ、独自の収納システムを作っています。
よしいさん:
「大きさはごく一般的なつくりだと思います。息子の洋服は別の棚に入れているので、この中にはシーズンオフのものも含め、夫と私の二人分を収納。割合は私が7割ほどと多めですね。欲しいものを挙げるとキリがないんですが、たくさんありすぎても把握ができないし、ひとつひとつを大事に着られなくなってしまう。だからここに収まりきる量だけ持とうと決めています」
ニットやカットソーなど、ハンガーにかけずにたたんでしまうものは無印良品で購入したポリプロピレン収納ケースへ。なんとこのケース、大学生の頃から使い続けているものなのだとか。同じものを複数個重ね、箪笥のようにして使っています。取り出しやすいよう、そしてひとつひとつのアイテムが迷子にならないよう、たたんだ洋服は立てて収納。
一度か二度は着たけれど、まだ洗うには早いかも。よしいさんは、そんな「着ている途中」の洋服だけをしまっておくための場所も作っています。それがこのIKEAのワイヤーラック。ここからあふれたら洗濯すると決めてから、ケアも気持ちも楽になったとか。
アウターとシューズの「見える化」で気分アップ!
家で過ごす時間が長くなったのを機に昨年トライしたのが、洋服と靴の「見える化」。
インスタントカメラでアウターとシューズをひとつひとつ撮影し、アウターは不織布のカバーに、シューズは箱に写真をつけて、中身がひと目でわかるようラベリングしました。余白にはブランド名などを書き込んで文字情報もプラス。
作業はおよそ1日がかりだったそうですが、その甲斐あってのこの美しい眺めといったら!
よしいさん:
「こんな大人になりたい、こんな女性になりたいという夢や目標に向かって新しい洋服を買っているので、どれもしっかり着こなせるようになりたいんです。写真をつけたことでアイテムが可視化されて、着そびれてしまうもの、置き去りにされてしまうものがなくなりました」
こちらは玄関のシューズボックス。アウター同様、眺めているだけでおしゃれ心がくすぐられます。容量に余裕がある箱には2足入れるなど、工夫して収納量を増やしているそう。
よしいさん:
「靴の写真は息子が撮ってくれました。私がアウターの作業をしていたら『僕もやりたい!』といって手伝ってくれて。重い腰をあげるまでが大変でしたけど、一念発起してよかったです」
ほどよく雑で、ほどよくすっきりがいい理由
洋服に限らず、よしいさんが収納とインテリア全般に対して心がけていることがあります。それは「ほどよく雑で、ほどよくすっきり」していること。
よしいさん:
「『ほどよく』と思っていれば掃除や片付けに追われないで済むから、私自身がラクだし、リラックスできるんです。暮らしは毎日のことだからそこも大事なポイントですね」
よしいさん:
「バッグやアクセサリーを収納しているチェストは、モノの置き場所をきっちり決めすぎず、次に使う時に自分の気持ちが上がるような仕掛けを意識してしまうようにしています。たとえばスカーフは、IKEAの瓶に入れて見せつつ収納。これならアイテムが迷子にならないし、ラフな感じがインテリアとしてもかわいいかなと思って」
着ている時も、着ていない時も楽しみたい
本当に好きなものだからこそ、着ている時も着ていない時も楽しみたいという気持ちが伝わってくる、よしいさんの収納術。
最近は洋服を着る前に、アイロンをかけるのが日課になっているそう。クローゼットの前に置かれたアイロン台とアイロンはここが定位置で、出したままにすることでアイロンをかけるというハードルが下がり、手が伸びやすくなったといいます。何より「洋服が生き返るのがうれしい!」とか。
続く第3話では、編集者の安達薫さんが登場。その時の自分の心を映すものだという「本・雑誌」の収納について伺います。
(つづく)
【写真】木村文平
もくじ
よしいちひろ
イラストレーター。1979年生まれ。女性たちの憧れや身近な日常をガーリーでファッショナブルな作風で描く。ファッションやメイク、子育てなど、クリエイティビティに満ちたライフスタイルでも注目を集める存在。http://chihiroyoshii.com
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