【壁の余白にポスターを】第3話:家がもっと好きになる。ポスターをバランスよく飾ってインテリアのアクセントに
編集スタッフ 岡本
「アートは難しいもの」という思いから縁遠い存在だったこれまで。
けれど、ずっと気になっていた壁の余白に1枚のアートポスターを迎えてみたら、その自由度の高さから「これなら気軽に楽しめるかも」とますます興味が湧いています。
そこで、アートポスターの魅力についてお届けしているこちらの特集。第1話ではアートポスターとの出合いを、第2話で自宅のインテリアにぴったりの1枚を選ぶポイントをご紹介しました。
第3話ではアートポスターを飾るときのコツについて。これまでに引き続き、東京・参宮橋にあるアートポスター専門店「KNAPFORD POSTER MARKETの井上恭太さんにお話を聞きましたよ。
井上さん:
「どこに、どうやって飾るかによってポスターの印象は変わるもの。
まずは壁に立てかけてシミュレーションをしてみると、ここじゃなかったかもという失敗を防げるはずです。直感で選んだ一枚をより映える場所に飾ってポスターのある暮らしを楽しんでもらえたらと思います」
第1話
「アートポスターとの出合い」第2話
「インテリアに合う1枚はどう選ぶ?」
実はとっても重要。
ポスターを引き立たせる「額縁選び」
今回の取材で一番驚いたポイントが、この額縁選び。どんな額縁に入れるかによって、ポスターそのものの印象ががらりと変わるのだそうです。
井上さん:
「額縁選びで一番こだわりたいのは、色と素材です。
モノトーンの作品であれば黒い額縁を合わせてスタイリッシュに、北欧の風景写真であればナチュラルな木製を合わせてやさしい雰囲気に。
他にもキリッと見せたいのであれば白、ポップな印象にするならシルバーなど、ポスターのデザインに合わせて決めていきます。
という目安はあるものの、やはり決め手になるのはご自身の感覚なんですよね。
例えば、『木製の額縁』と言っても木の種類や木目の出方でまったく見え方が違いますし、モノトーンの作品だからと言って白か黒の二択かと言われるとそんなことはありません」
井上さん:
「まずは額縁を含めて、どういうポスターに惹かれるのか、ご自身の感覚を育てるのが近道になるかもしれませんね。
アートポスターを扱っているインテリアショップや画像検索サイトのピンタレストなどを使って、ポスターだけでなく額縁にも注目して見てみると、色々な組み合わせがあって面白いですよ」
井上さん:
「少しだけ上級テクニックとして注目したいのが、枠の奥行き。
奥行きのある額縁は影が出るのが特徴で、大人っぽく味わい深さを演出してくれる効果があります。
余白が多くシンプルな作品は奥行きのある額縁との相性がよく、お互いを引き立てあってくれる場合が多いです」
サイズに迷ったら。
ちょうどよい存在感の「70×50cm」を選んで
▲実際に70×50サイズのポスターを壁にかけた様子。ポスターのサイドにも適度な壁の余白があります。
井上さん:
「A4サイズの小さいものから壁一面ほどもある大きなものまで、アートポスターはサイズもさまざまです。
そのなかでも最初の1枚目にちょうどいいのは、70×50cm。
ポスター自体がこの大きさでもいいですし、少し小さめの作品を70×50cmの額縁に納めて余白を楽しむ形もいいですね。
ほどよい存在感がありつつも主張が強すぎないので、気負わず飾ることができますよ。
このサイズだとポスターをかけたとき周りに空間が生まれて、周囲の家具や小物ともバランスが取りやすいんです」
▲井上さんの後ろにかかっているのは 1416×967(mm)の大きなポスター。店内でも一際存在感を放っていました。
井上さん:
「とはいえ、個人的にはコンパクトな壁に大きなポスターを貼るのも楽しいなあと感じています。
そういった飾り方をすると壁紙を張り替えたくらいのインパクトがあり、海外インテリアのような雰囲気に。
リビングダイニングの他にも、廊下やキッチンなどポスターを飾るポイントはそこかしこにあります。その場所にあったベストな飾り方を模索するのも面白さのひとつですよ」
いくつか並べて飾るときは、
「フックの高さ」を揃えればバランスよく。
自宅にポスターが届いていざ壁につけようとしたとき、なぜか緊張したのを覚えています。
どれくらいの高さがいいのか、左右の余白のバランスは? など、意外と苦戦するポイントだったのです。
井上さん:
「目線の高さにポスターの中心がくるように飾ると、適度に視界に入るので最適だと思います。壁掛けに使うJフックは、壁の素材や耐荷重を確認してから取り付けましょう。
そして、フックは少し高めにつけるのがポイント。
フック自体が低い位置だと額縁についている紐での調整ができなくなってしまうためです」
▲フックを高めにつけることで、紐をゆるめたりきつくしたりすれば、高さの微調整ができます。
井上さん:
「複数枚を並べて飾るときは、まずポスター同士の間隔が均等になるように壁に立てかけながらチェック。
そして左右の間隔に注意しながらフックの高さを揃えて壁に打ち付けると、バランスよく飾ることができます。
ポスターの中心や上部を揃えるよりもフックの高さを揃える方が難易度が低いので、いくつか並べて飾るときは試してみてくださいね」
▲大きさの違う4枚のポスターを並べて飾った様子。ポスターの上部を揃えるのではなく、フックの位置を揃えています。
きっと、わが家にぴったり! は見つかる
すてきなインテリアに憧れて、わが家なりに試行錯誤を重ねてきたこれまで。
白い壁の印象がつよく物足りない気がして家具や小物を増やした方がいいのかなと思っていたけれど、新たにアートポスターという選択肢が増えて、今まで以上にインテリアを考える時間がワクワクするものになりました。
だんだんと肌寒くなり、おうち時間の増える季節に向けて、わが家にぴったり! と思える一枚との出合いをぜひ楽しんでみてくださいね。
(おわり)
【写真】上原未嗣、井上恭太(9枚目)
もくじ
井上 恭太
東京・参宮橋にある輸入ポスター専門店『KNAPFORD POSTER MARKET(ナップフォード・ポスター・マーケット)』のオーナー。20代前半から約20年ほど劇団にて俳優として活動後、兄弟でポスター専門店を始める。弟・慶太さんがバイヤーを、兄・恭太さんがショップマネジメントを担当している。HPはこちらhttps://knapford.com/ Instagramはこちらhttps://www.instagram.com/knapfordpostermarket/
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