【気分のいい大掃除】第2話:いつもの場所に感謝の気持ちを込めて、少しだけしっかり掃除を(井田ちかこさん)
編集スタッフ 岡本
やらなくちゃと思いつつ、毎年なかなか手をつけられずにいる年末の大掃除。できればわが家のやるべき掃除を見極めて、部屋も気分もスッキリして新年を迎えたいところです。
そこですてきなあの人に、大掃除についてお話を伺ってきました。皆さんに共通していたのは、きれいになると嬉しくなる、そんな自分にとっての掃除のツボをよく知っていること。
第1話でご紹介した田中ナオミさんに続き、第2話では、井田ちかこさんの大掃除についてお届けします。
第1話から読む
家族と私のために整えたい、玄関と台所
自宅でソーイング教室「laetoli(ラエトリ)」を営んでいる井田さんは、夫と二人の子どもと暮らす4人家族です。
こだわりの雑貨が並んだ部屋に、手作りのお菓子など自分なりに暮らしを楽しみつつ、上手な力の抜き方を知っている気がして、掃除についてもお話を聞いてみたいと思っていました。
でもどうやら、掃除は苦手分野なのだそう。
井田さん:
「掃除は得意じゃないので、年末の大掃除もこの日にまとめてやるぞ! という感じではないんです。
とはいえ、散らかっていたり汚れているのは落ち着かないなと思っていて。なので、いつも使っているところを感謝の気持ちを込めて、少しだけしっかり掃除をするようにしています」
井田さん:
「特にきれいにしておきたいのは、玄関と台所でしょうか。
玄関は家族が帰ってくる場所であり、出ていく場所でもあるから、気持ちよく過ごしてほしいなと思っています。ちりとりでゴミを掃いてたたきを水拭きする程度ですけど、床材が明るい色なので掃除をする前と後で差が分かりやすくてスッキリしますね。
台所は私が立っている時間が長いうえに、家族みんなで食べる料理を作る場所。清潔さを保っていたいし、見た目もきれいだと気分がいいので、毎日掃除しています。
シンクはざっと汚れを流したら、簡単に水滴を拭く。これを朝食と夕食後にそれぞれ行うのが習慣です。コンロ周りは、セスキのスプレーをシュシュっとしてから汚れを拭いて終わり。
このときに好んで使っているのは、布巾です。
井田さん:
「使い捨てのペーパーを使った方がそのまま捨てられてきっとラクですよね。
でも布巾を酸素系の漂白剤に漬けて、白に戻す作業が好きなので私は布巾派なんです。
汚れてもまたきれいにして、と繰り返しているとだんだん布がくったりしてくる。一枚の布を使い切る感じが性に合っているのだと思います。
掃除は苦手なんだけれど、こういう気分が上がる作業を見つけられると掃除をするときの心持ちも変わってきますよね」
ヘラと布巾があれば、たちまち掃除上手に
日頃使っている道具についても聞いてみると、ヘラが便利ですよと教えてくれました。
井田さん:
「五徳の隙間や窓枠の端っこを掃除するときは、ヘラを使っています。
落としたい汚れに布巾をあてて、その上からヘラでこすると、普通に拭くだけでは届かない細かいところに布が入り込んでくれるんです。
隅っこの汚れを落とすと、見た目のきれいさが段違いになると聞いて、ここ最近真似しています」
▲井田さんのよく使う掃除道具。右上から時計回りに、セスキスプレー、布巾とヘラ、フロアワイプ、アクリルたわし。
ヘラはホームセンターで購入したもの。普段はここまでやらずに、隅っこ掃除をやるぞと気分が乗ったときだけ取り掛かるのだそう。
このヘラと布巾の合わせ技できれいにしてみたい場所がわが家にもちらほら。ぜひ試したいアイデアでした。
掃除中は、音楽でやる気をサポート
苦手な掃除への気持ちを後押ししてくれるのが、音楽。どんな曲を選んでいるか聞いてみると、スマートスピーカーのアレクサに「やる気の出る音楽をかけて」とリクエストして、選曲はお任せするのだそう。自分では選ばない曲が流れてきてなんだか楽しそうです。
掃除が終わったあとは、お香や香木に火を灯すパロサントなど、香りのアイテムを楽しむのがルーティン。
井田さん:
「雑貨屋さんで見つけたパロサントは、短い時間で部屋いっぱいに木の香りが漂うので、掃除の後の一区切りにちょうどいいなと思っています。
好きな香りに満たされると空気も気持ちも清められるような気がするんです」
「温めるだけ」のご飯で、ラクする準備があれば
井田さん:
「今日は頑張って掃除をしたな〜という日は、他の家事でラクをして無理をしすぎないようにできたらいいですよね。
温めるだけのハンバーグや焼くだけ餃子など、即できるメインがあれば、あとは汁物を用意するだけでいいのでだいぶ気がラク。
家族も喜んで食べてくれるのがありがたいです」
井田さん:
「たしかに掃除は苦手なんだけれど、やらないわけにはいきませんよね。
家族のためでもあるけれど、みんなが心地よく過ごしているのを見ると嬉しいから、結局は自分のための掃除かな。
私自身がきれいになると嬉しいと思う場所を、自分に合う方法で掃除をしていければ、これからも無理なく続けていける気がします」
家族みんなの心地よい空間を作るために、まずは自分自身が気分よくできる方法を模索してみる。掃除の話を聞いていたら、井田さんらしい暮らしの軸が垣間見えた気がしました。
続く第3話は、フードスタイリストの城素穂さんが登場します。お楽しみに。
(つづく)
【写真】木村文平
もくじ
井田ちかこ
学生時代に洋服作りの基礎・染色や織りを学び、会社員として働きながら洋裁学校に通う日々を過ごす。その後北欧の織りに魅せられて北欧織りの先生に師事し、2年間学ぶ。出産を経て、日々の暮らしの中のささやかなものづくりを提案しながら、一緒に愉しめるソーイング教室「laetoli(ラエトリ)」を2016年より主宰している。インスタグラムは@and_laetoli
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