【整えるふたり】後編: 図書館司書への憧れも、経理も、ぜんぶ繋がってたと分かって(山根 × 兵働)
ライター 長谷川賢人
ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は……実はそれほど多くありません。
でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。
今回は、当店で取り扱う商品の仕入れを担当する「MDグループ」のスタッフ山根と、経理や総務、労務、財務といった仕事でクラシコムを支える「アドミニストレーショングループ」のスタッフ兵働が登場。
直接的な関わりはそれほど多くありませんが、お互いにグループや組織が円滑にまわるように、じっくり考えて仕事に臨んでいるという一面も。そんな“整えるふたり”、クラシコムで働いていくなかで、自身に「変わったこと、変わらないこと」はあるのでしょうか?
後編は山根が主に聞き手となって、兵働に色々と質問してみました。
前編を読む
実は、開拓者的なポジションです
山根:
アドミニストレーショングループって、本当にさまざまな職務を担ってくれていると思うんですが、兵働さんはどういった仕事がメインなんですか?
兵働:
入社した時からのメインは経理です。それ以外も労務関係や、ITツールのアカウント発行みたいな情報システム系の仕事だったり、社内システムの入れ替え作業だったり。2022年の11月から「内部監査室」という部署もできて、社内にあるリスク要因をチェックする仕事もあったり……最近は「自分が何者なのか」を話すのが難しいです(笑)。
山根:
新しいことも含めて、開拓者的なポジションによくいるってことなんですかね?
兵働:
そうかもしれません。経理でも月次のルーティン業務から一歩離れて、経費精算や稟議の仕組みから変えようと動いてもいます。もともと、先輩社員に人事や経理のプロフェッショナルがいたので、そこからこぼれ落ちた仕事を拾うことから始めたんです。入社して最初にした仕事って、みんなで使うプリンターの導入でしたから。
山根:
そうなんですね!知らずしらずのうちに、僕も兵働さんの仕事に助けられているんだ。
最初になりたかったのは図書館司書
山根:
経理の仕事を始めたのは、何かきっかけがあったんですか?数学が得意だった、とか。
兵働:
全然そういうのではなくて、もともと図書館司書になりたかったんです。ちっちゃな頃から本好きで、図書館という場所の雰囲気もすごく好きだったし。それで「いつか学校の子どもたちが来るような図書室の人」になりたくなりました。子どもたちが学びたいと興味を持った時に良い情報を手渡して助けになれたらいいなぁ、と。
大学の教育学部で図書館学を修めたのですが、教育にも私自身の興味が強くなったので、大学職員の試験を受けたけれど縁がなかったんです。大学卒業後は教育関係の広告や出版の会社に入りました。そこで、たまたま配属されたのが経理です。とはいえ、簿記も何も経験がなくて、まずは勉強していくところから私の経理人生は始まりました。
山根:
図書館司書から経理だと、ぜんぜん方向性が違いますね。たいへんだ。
兵働:
その後に、英語検定の財団法人に経理で転職したのですが、結婚して、子どもを2人出産しました。子どもが夜なかなか寝てくれず、ゾンビのようになりながら電車で1時間くらい通勤したりして、毎日ふらふらな感じで……そんな時に部署の異動があって、もっと現場に寄った予算管理系の仕事に毛色が変わったんです。
いわゆる「管理会計」として、経理がまとめた数字を経営陣が判断しやすいように整えたり、蓄積されたデータを経営層の役に立つように加工したり……と、それまでルーティン業務が主だった経理職からすると、自分たちで能動的に動くようになって新鮮でした。自分が扱っていた数字が、こうやって繋がって誰かのためになるんだ、という驚きもありました。
山根:
今のお話って、「図書館で子供たちに聞かれたことに、必要に応じて情報を的確に渡したい」という最初の「やりたいこと」に、あり方が似ている気がします。
兵働:
そうですね。システムの導入なんかも面白くて、新しく手に入れた武器をみんなが使って、効率よく仕事が進んでいるのを見ると、アドレナリンが出るタイプでした(笑)。クラシコムでも近しい仕事をしているわけですから、私のターニングポイントかもしれません。
あるべき場所に整理して、使いやすくするのが好き
山根:
クラシコムに転職したのは、どんなきっかけが?
兵働:
もともとお客さんとして、キッチンアイテムや雑貨を買っていたんです。気まぐれで、整理収納アドバイザーの資格を取ったりもして、自分の好きな暮らし方も考えていました。
でも、息子が小学校へ上がるとき、勤めていた会社から学童の送り迎えが間に合わなくなってしまって。やりくりできなくもなかったのですが、もっと仕事も子育てもできる環境があるかも、とモヤモヤしたときにクラシコムの求人を目にしました。
経理職の募集でしたが、それを超えて「会社全体のことをより良くしていくお仕事です」という紹介にも好感を持ちました。
山根:
僕が仕入れたトングも買っていただいたそうで、ありがとうございます(笑)。
兵働:
いえいえ、便利に使わせてもらっています。
山根:
転職してみて、何か発見だったり、覚えている印象的なことはありましたか?
兵働:
クラシコムの転職面接で、人事の筒井さんとおしゃべりする機会があったんです。私の来歴を聞いてくれた筒井さんが「兵働さんは、あるべき場所にあるべきものが整理されていて、使いやすい状態にするのがお好きなんですね」と言ってくれました。
「あっ、私の興味は、その言葉で全部つながっているんだ」と。自分としては、今までバラバラの人生を歩んできたとばかり思ってきました。
山根:
図書館司書、整理収納アドバイザー、経理や管理会計……なるほど、確かに。
兵働:
嬉しかったです。自分の中にあるマインドが、いろんなお仕事で生かせていけたらいいな、と感じていましたから。
いつも「人」を中心に考える
山根:
新しいシステムの導入もそうですが、新しいことを始める時に怖さってありませんか?
兵働:
どんな反応が来るか、ドキドキしています。でも、準備もたくさんしていますし、チームメンバーも色んな意見をいっぱいくれるので、「一人でどうにかしなきゃ」みたいな気持ちはあまりなくて。新しいことを始める「最初の一歩」が踏み出しやすい空気もあって、楽しく乗り越えられていると思います。
山根:
いいですね。僕も「最初の一歩」が軽いというのは本当に共感するところです。
兵働:
ですよね!それに、山根さんが「混沌のなかに秩序を見出したい」という思いを持つように、私も新しいことを切り拓いている時の方がアドレナリンが出るんです。試行錯誤してる状態って、すごく楽しいので。
そうそう、以前にもMDチームと請求書を処理する仕組みを作ったとき、山根さんが積極的に意見を言ってくれたじゃないですか。そういうやり取りは理解が深まるから嬉しいし、私もそれで現場がもっと良くなったら嬉しいですし。
山根:
覚えてます!いろいろと提案を含めて伝えたら、兵働さんから「大好物です!」って返信が来て。普段の僕なら新しいことを言い過ぎても迷惑がかかるかな、とセーブするくらいなんですけど、兵働さんにその必要はなさそうですね。今日から全力投球しようかな(笑)。
兵働:
私としても、山根さんたちのような現場の人たちが、より良く仕事ができるようなシステムを導入したいと思っているので、意見は嬉しいんです。一方で、守らなければならない法律との狭間に立つことも多いです。
たとえば、請求書処理のシステムであれば「下請法で決まっていることですから」と法律を盾に導入を押し通せるかもしれないけれど、そうはしたくなくて。なんというか……いつも「人」を中心に考えているんです。
山根:
兵働さんたちがその調整を頑張ってくださっているのは、日々すごく伝わってきます。
兵働:
「みなさんが新しいシステムに対して、どんなふうに感じるか」といったことはチームでも時間をかけて議論しています。そのうえで導入のメリットをわかってもらいたいなぁ、と。
山根:
僕も近いです。売上管理などで数字を扱っていくことにはドライな向き合い方をする一方で、それを活用してコミュニケーションする時は、納得のいく答えを見つけるために数字を用いていく、というように「人」が中心になっているというか。
兵働:
「気持ちを持った数字」という感じですよね。こうやって言葉にしないと、なかなか伝わりにくいところかも。
希望が身近にあることで
山根:
クラシコムに転職してみて、兵働さんの中で「変わったこと」は、ありますか?
兵働:
ちょっと壮大な言い方になってしまうのですが、クラシコムに入ってからの方が、世の中に対して希望を感じるようになりました。
山根:
……僕も言われて、そうかも、と思いました。うまく言葉が出てこないんですけど。
兵働:
うん、うん。それまでのお仕事も楽しくやってきていたけれど、クラシコムのスタッフって、みんながみんな、真剣じゃないですか!
そんなふうに仕事をする人が周りに居て、自分もそうやって働けたらいいなと感じるし、見ていても胸がときめいたり、元気をもらえたりします。全体会議でも日々気づいたことから内省して、業務に生かしていこうと話してくれる人が多かったりして。
みんなが頭をフル回転させてお仕事に向かう姿が、きらきらして見えるんです。クラシコムはビジョンに「自由」「平和」「希望」を掲げていますけれど、あぁ、これも「希望」の一つなんだ、と思っていますね。
【写真】川村恵理
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