【つづけるお弁当】後編:詰め方しだいで、こんなに変わる? たくまさんの、3つのお弁当レクチャー
編集スタッフ 糸井
今年のあたらしい習慣に、お弁当づくりが加わった方もいるかもしれません。
そんな方にも、これからお弁当を作る方へのヒントにも。この特集では毎日のお弁当づくりを、気を張りすぎず、作り続けるためのコツを聞いています。伺ったのは、10年以上お弁当を作り続ける料理家・たくまたまえさんです。
前編では、おかずの決め方のコツや彩りづくりについて伺いました。
後編は、おかずの詰め方について。マンネリを感じたときには、献立を変えなくても、お弁当箱の種類・詰め方を変えるだけでグッと新鮮さを味わえるそうです。
おかずのレパートリーを増やさなくても
たくまさん:
「我が家のお弁当づくりのルーティーンは、まずお米を炊くところから。お米を研いで、お気に入りの鍋で炊き始めたら、ひとまずスツールに腰掛けてお茶休憩。今日のおかずは何にしようかな〜と、冷蔵庫を覗きはじめるんです」
たくまさん:
「毎日のお弁当づくりを頑張り続けるのは、大変なときも多いもの。
おかずをレベルアップしたい気分になっても、いきなりレパートリーを増やすのは一苦労。そんなときは簡単に、容器や詰め方を工夫するだけでも、結構ブラッシュアップできるんです。
今日は実際にその様子をお見せできたらと思います」
▲真ん中、左、右の順にご紹介いたします。
たくまさん:
「今回のおかずは、からあげ、ゆでたまご、ほうれん草の胡麻和え。この3品を使います。
基本的には、ごはんの詰め方を変えるくらいなのですが、これだけで、なんだか見た目もワクっとしますよ」
シンプルかつ同じおかずなのに、見た目はまるで異なる3つのお弁当。ひと目で心が踊ります。早速、3パターンの詰め方を見せてもらいました。
基本のおかずの詰め方
たくまさん:
「1つ目は、いつものお弁当箱を使った、定番の詰め方です。
ご飯を入れ、メインのからあげをいくつか詰めたら、青菜、最後にゆでたまごを。ゆでたまごはつるっと動きやすいから最後に入れるのですが、これがたまご焼きの場合は、最初に入れて、他のおかずの支えに使うと詰めやすいです。
蓋は、お米の湯気が上がらなくなり、冷めたあとで閉めます。湯気が経っている段階で蓋をすると水滴が蓋に溜まり、お弁当が傷みやすいので気をつけましょう」
唐揚げは、天むす風にアレンジ
▲ゆでたまごの下にさらりと敷いた大葉のグリーン。これだけで彩りが一層豊かに
たくまさん:
「唐揚げを使って、天むす風のおにぎりにすることも。同じおかずでも、見た目・食感が一気に変わりますよ」
▲半分に切った唐揚げを、ごはんにのせて、
▲包み込むようにキュッと握ります。
▲のりをサイドに巻いたら完成!
竹皮で、一味変わったお弁当をこさえて
3つ目は、なんだかお侍さんが携えていそうな竹皮を使ったお弁当です。
たくまさん:
「道の駅などでたまに見かける竹皮も、普段からよく使うお弁当グッズです。使う前は、15分ほど水に浸しておきましょう。こうすると皮が柔らかくなり、包みやすくなります。
詰め方は、とても簡単。竹皮の半分にまずごはんを載せて、上部におかずを添えるだけなんですよ」
▲水をはったボウルに竹皮を入れ、コップなどで重しをしましょう
たくまさん:
「包み方のコツは、おかずを詰めている側の竹皮の両端を指ですこし、内側に入れ込みながら、残りの竹皮をかぶせること。こうすることで、具材が飛び出しにくくなります」
▲指でクイッと内側に入れ込みながら、竹皮をかぶせて蓋をします。
▲かぶせた竹皮の両サイドは、全体を包み込むように後ろに回して、
▲形を整えつつ、ギュッと入れ込みます。
▲紐をかけて完成。
ある日の朝、家を出るときに持たされたお弁当がこんなお弁当だったら……お昼が来るまでたのしみで、食べた後も1日たのしい心でいられそうです。
3つとも、お弁当の蓋を開けた瞬間に、「わぁ」っと黄色い声が浮かんできそう。そう思うと、笑顔になってしまいます。
お弁当づくりの、助っ人アイテム
▲こちらのアイテムは、たくまさんのオンラインショップ(URLは文末プロフィールに掲載)でも販売中。
最後に、お弁当作りに重宝しているグッズをお聞きしました。
たくまさん:
「左のステンレスの取皿は、お弁当に詰める前のおかずを載せておくのに重宝しています。
透明なカップは、南蛮漬けやマリネのように水分があるものに。小舟には漬物を載せて。たまに使うと気分転換にもなりますしね。
あとは、お弁当づくりで使った揚げ油を固めるのに、業務用の油処理剤をボトルに入れて使いやすくしています。これも欠かせないですね」
「お弁当できたよ」を続ける日に
肩肘張らず、なのに魅力的。たくまさんのお弁当はどれもそんな雰囲気をまとい、見ていると私も真似してつくってみたい気持ちがじんわり湧いてきました。その一歩が踏み出しやすいように、というやさしさも、同時にたくまさんから感じた時間でした。
自分へのお弁当でも、誰かへのお弁当でも、これなら、お弁当作りをまた頑張れそうな気がしてきました。
【写真】メグミ
もくじ
たくま たまえ
地元産の野菜や果物を中心に、旬の食材を使った保存食のレシピ提案が人気。主な著書に、保存食のレシピをまとめた『たまちゃんの保存食 新版』(株式会社マイナビ)、夫のお弁当作りをまとめた『たまちゃんの夫弁当』(主婦と生活社)がある。現在、オンラインショップ(tama’s store)で保存食や暮らしの道具を不定期に販売中。 Instagram:@tama.tamaben。
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