【タイムトラベラーなふたり】前編:取りつくろうことなく、暮らしを支える洋服をつくっていきたいから(廣瀬 × 緑川)

ライター 長谷川賢人

ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は……実はそれほど多くありません。

でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。

今回は、当店のサイトづくりやショップのシステムなどを形づくる「テクノロジーグループ」の廣瀬と、オリジナル商品をつくる「PB開発グループ」でも主にアパレルを担当する緑川が登場。

エンジニアとアパレルという、一見すると重なりが無さそうなふたり。でも、話していくうちに「誰かとものをつくる」ために大切にしていることや、そのために準備していることなど、意外な共通点が見えてきました。

その一つが、目の前の仕事を「今」だけではなく、「過去」から学び、常に「未来」とつなげながら考えること。そんな“タイムトラベラーなふたり”ですが、クラシコムで働いていくなかで、あらためて自身に「変わったこと、変わらないこと」もあるのでしょうか?

前編は廣瀬が主に聞き手となって、緑川に色々と質問してみました。

 

暑い夏でも、いつも冬のことを考えています

廣瀬:
いま、緑川さんって、どんな仕事がメインですか?

緑川:
商品プランナーとしてオリジナル商品の企画を担当しています。いくつかチームがあるなかで、私はアパレルがメインですね。いま、ちょうど8月発売の商品ページをストア編集グループが作ってくれているところですが、私たちは来年の春夏商品の企画を立てています。

ちょうど来年の5月売りの商品企画を始めたところで、9月になれば、来年の秋冬企画のラインナップを決め始めていると思います。

廣瀬:
それこそ季節で言ったら真逆のことで、しかも1年先を考えないといけないんですね。お腹いっぱいの時に、夕飯の買い物へ行っても「何も思い浮かばない!」みたいなことってありますけど、暑い時期に「冬の寒い時に着るもの」を考えるのは……難しそうです。

緑川:
そうですね。暑い時期に冬物コートの試着をすることもよくありますよ。冬の自分たちやお客様に思いを巡らせながら、「次の秋冬にはどんな気分になってるかな?」と想像したり。

商品を販売した後も、お客様のリアクションは気になりますから、届いた感想はもちろん、ブログやSNSでのコメントにも目を凝らしています。いつも「次の商品へ活かすにはどうするべきか」をつなげて考えていますね。

廣瀬:
そのあたりは、僕たちエンジニアがシステムを作るときにもよく似ています。将来を予測しながら構築はするけれど、全てが予測できるわけではありません。時に失敗もしながら「あの時、こうしておけばよかった!」という経験を積み重ねて、次につなげていく。

そう思うと、緑川さんと僕の仕事は、未来や先々のことを常に考えて動いている点では、近しいところがあるのかもしれないですね。

緑川:
うんうん。それこそ「予測してもしきれない」ことだと、コロナ禍のときは身に沁みました。お出かけムードの洋服を1年前から準備していたけれど、外出自粛になってしまって。でも、ものとしては完成しているんです。

その時は商品ページを制作するストア編集グループと相談して、お家でも心地よく着られる提案や、それが伝わる写真を追加してもらったり。予測が外れても、いろんなチームが協力して、工夫をしながら「軌道修正する力」がクラシコムにはあるんだなぁ、と強く感じた瞬間でしたね。

 

洋服が作られることへの感動が、転職のきっかけに

廣瀬:
やっぱり昔からファッションが好きだったんですか。

緑川:
そうですね。もともとは母親が裁縫好きで、手作りの洋服を着させてもらったり、幼い頃からミシンや手芸ものが身近にある中で育ちました。

大学へ進んだときに「自分でも洋服を作りたいな」と思って、企画から製作、展示までするファッションショーを催すサークルに入ったんです。そこで初めて、自分のために着る服ではなく、人に見せるために作る洋服の難しさと楽しさを知りました。それはとても大きな興奮となって私の中で響いて、進路もアパレルメーカー志望に変えたんです。

あるアパレルメーカーで「生産管理」という仕事に就くことができました。生産管理はデザイナーさんが考えた洋服を、形にして販売できるところまでコントロールする仕事ですね。

廣瀬:
製作の進行管理や、それこそ工場の選定などもするのですか?

緑川:
やっていましたよ! そのうちに「この工場さんはワンピースが得意だから頼もう」「こちらの生地のほうが作りたいデザインに向いているはず」みたいに、デザイナーでない私も洋服づくりに携われている感覚が湧いてきて、喜びを感じながら仕事ができていました。

廣瀬:
念願叶ったようにも見えるのですが、クラシコムに転職しようと思ったきっかけは?

緑川:
前職で、糸や生地の展示会へ顔を出す機会があったんです。ずらりと並ぶそれらを前に「あぁ、洋服って本当に一本の糸からできているんだ」と感動しました。糸を染めたり作ったりする人、デザインを考える人、それを縫製する人……と、たくさんの人の手によって紡がれ、洋服が店頭に並んでいることに壮大なストーリーを感じるようになって。

今までも洋服がとても好きだったけれど、よりその世界が好きになったとき、自分の仕事も「生産管理」だけでなく、もっと初めの企画からお客様に届けるところまで、全部見てみたくなったんです。そんなときにクラシコムで募集が出ていて、応募してみました。

 

暮らしの経験を一つずつ集めて、形にしています

廣瀬:
クラシコムの洋服づくりで、他と比べてみても特徴的だと思うことはありますか?

緑川:
「なぜ、それを作りたいのか」という動機がとにかく大切で、問われますね。クラシコムでは「商品プランナー」として、お客様が身につけたらどのように暮らしが変わるか、どういった時に着たくなるのかを常に想像します。だから、私自身の生活で得た気づきや経験が元になることも多いんです。

例えば、私が企画したのが「ストレッチ素材の3wayセットアップ」は、息子の卒園式や入学式で着る服を買ったときの体験がヒントになりました。私はパンツスーツが欲しかったんですが、販売員の方から「この先も下のお子さんの式で必要になるなら、パンツだと体形が変わっていることもあるので、ワンピースがおすすめですよ」と。

そうかぁ、と思いつつ、それでもパンツを買ったんですが……たしかにそれきり着ていなくて(笑)。それで、体型の変化があっても着られて、ハレの日もケの日も頼れる服に仕立てたいと考えて作りました」

緑川:
それでいて、ジャージみたいなストレッチ素材で洗濯機にかけられるのも、靴を履いた子どもを抱っこすることが多いからです。セパレートにすることで、日常使いがしやすくて、授乳がすぐできるのもポイントです。

そんなふうに経験を一つずつ集めながら形にしています。

廣瀬:
最近、よく考えているテーマみたいなものって、ありますか?

緑川:
「私にはいろんな顔がある」ですかね。母親としての自分、家族とすごす自分、ママ友と会う時の自分、友達と遊ぶ自分……と、それぞれで顔が違うというか。自分らしく好きな格好のまま行きたくても居心地が悪かったり、かと言って周りに合わせたい気持ちもあったり。

「自分らしさを保ちつつ、周りにも合わせられる洋服がほしい」とチーム内で話してみたら、みんなにもその感覚はあるみたい。これから作るものに活かしたいですね。

 

みんなも、私自身にも、取りつくろわないことが大切

廣瀬:
そんなふうにチーム内で相談することも多いですか? 緑川さんがコミュニケーションで心がけていることを、聞いてみたいです。

緑川:
「取りつくろわないこと」ですかね。その場をまるく納めようとしたり、人に合わせて話し方を変えたりすることって、仕事の現場でよくあるものじゃないですか。でも、クラシコムではそれが求められていませんし、商品を生み出す側になってみると、製作にも良いことをもたらさないと感じるんです。

自分のしたいこと、お客様に感じてもらえたら嬉しい気持ちに、嘘がないように誠実でいたいです。それは周りのスタッフに対するときも、同じように思っています。

廣瀬:
僕も近しいことは思っていて。言い方を変えると「手を抜かない」というか。目の前に技術的な選択肢があるとき、「面倒だから一旦済ませておく」というやり方もあるにはあるんです。でも、一つずつ考えて理由を伝えれば、周りも聞き入れてくれる環境がクラシコムにはせっかくあるのだから、そこで手を抜いたりごまかしたりするのは違うだろうと。

緑川:
わかります。あとは「忙しいです!」とか「今、大変なんです!」みたいなことを取りつくろうことなく伝えやすいのも良いですね。みんなそれを聞いたうえで、どう対応するかを考えていく。だから、自分自身に対しても取りつくろう必要がないんです。

廣瀬:
いいですね。これからクラシコムで、もっとやってみたいことって、ありますか?

緑川:
洋服のサンプルができた時に「自分にはとっても似合うのに、社内のスタッフに着てもらったらいまいちだった」ということがあります。その理由が知りたくて、骨格診断やパーソナルカラーを学んでみたら、人それぞれに合いやすい形や色があることがわかってきました。それは年齢や体型とは関係のないものなんですね。

お客様におすすめするときにも、個々の特徴に合わせたコーディネートの提案ができるようになったら面白そうです。あとは、リアルイベントとして「試着会」みたいなこともできたら嬉しい。「北欧、暮らしの道具店」はネット通販ですから、事前に試せないのはどうしても心のハードルです。実現できれば、お客様のお買い物もきっと楽になるはず。

廣瀬:
面白いですね。通販サイトによっては、足の形やサイズを記憶してくれて、合いやすい靴をおすすめしてくれる機能がありますが、そういうふうにサイズや色も選べたり。

緑川:
そうそう。身長や好みのサイズ感を入力していくと、「着た時に足首が見えます」とか。今も「スタッフの着用レビュー」などでイメージを伝えられたらとは思っていて。それこそ着用レビューもデータがたまっているから、合いやすいコーディネートもわかりそう。

廣瀬:
そういうこと、システムとしても叶えたいです! 一緒にできること、まだまだいっぱいありそうですね。

 

(つづく)

【写真】川村恵理
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