【冬のやさしい養生】後編:肩コリ対策、肌の乾燥、胃腸疲れのリセット方法。今すぐ実践できる冬の健やかな過ごし方
編集スタッフ 野村
心身ともにシャッキリさせたい1月。だけど、同時に寒さも本格的になり、体調を崩しやすくなる時期です。
冬の冷えや体調不良に悩まされることも多い中、何かひとつでも頼れる知恵やアイデアがあると、大きな味方になってくれそうです。
そこで本特集では、昨年夏の「やさしい養生」特集でもお世話になった、表参道にある「源保堂鍼灸院」の瀬戸 佳子(せと よしこ)さんのもとを訪ねました。
前編では、冬の「冷え性」対策になる食養生について教わりました。後編では、冬の肩コリ、年末年始の疲れのリセット方法など、冬の寒さと上手に付き合うためのお悩み相談に乗っていただきました。
Q:冬になると首や肩のコリがつらいです……。
A:カイロを使って養生してみましょう。
瀬戸さん:
「基本的に冬に感じる体のコリは、冷えと同じで、血流が悪くなっていることが原因である場合が多いです。
パソコン作業など頭脳労働をしていると、脳や目、それを支える首に疲労が蓄積して、血流が悪くなりガチガチに。
特に首周りや肩が凝ると、それは風邪の前兆かもしれません。東洋医学では、冬の寒さからくる風邪を『寒邪(かんじゃ)』と呼んで、人の背後から入ってくると考えます。
なので対策としては、背中側を温めてあげるのが大切なんです。寝る時も、肩や首周り、背中側が冷えると、朝起きたら喉が痛いと感じたり、鼻が詰まっていたりと症状が出てくる人も多いと思います。
首こりが多い人はネックウォーマーやマフラーを意識的に身につけたり、寝る時にも首周りを覆うようなケープなどをつけて寝てみるのがおすすめですね」
△温めるべきツボについて、瀬戸さんの夫で院長である郁保(いくやす)さんに教えていただきました
郁保さん:
「背中側を温める際におすすめのツボがあるんです。首を下に曲げると、首の付け根あたりに骨が出っ張りますよね。そのすぐ下あたりの『大椎(だいつい)』というツボです。
このツボを温めると、体全体が温まりやすくなって、風邪を外に追い出しやすくなります。風邪の引き始めの症状が、2〜3時間で治まることも。
なので皆さんに、このツボあたりにカイロを貼っておくことをおすすめしています。インナーの上からカイロを貼り付けてじんわりあたためてあげると、肩コリも和らぐし、風邪の予防にもつながります。
カイロは冬の常備薬的に使えるものなので、一箱分くらいまとめてお家に用意しておくといいですね」
△「大椎」はだいたいこのあたりです
Q:肌の乾燥やかゆみが気になります。
A:まずは、頭のリラックスをしてみてください。
瀬戸さん:
「肌の乾燥も、血液不足が原因であることが多いです。東洋医学では『血燥(けっそう)』と呼びます。
たとえば、冬になると肌がかゆくなる、保湿クリームを塗っているのに指先のあかぎれやかかとのカサカサが取れない、という方は、この『血燥』の状態の方がほとんどですね。
指先やかかとだけが急にカサカサして悩んでいる方は、ストレスや脳疲労を感じていることが大きな原因と考えられます。ちょっとぼーっとするとか、頭のリラックスをしてあげることで、案外治ることも多いと思いますよ。
リラックスすると少し乾燥が落ち着くと思うので、そのあと体に油分を足すような食事をとるといいですね。
たとえば、アーモンドやクルミ、青魚、煮干しなどは頭の疲れを取ってくれます。ナッツ類やはちみつ、黒胡麻や白胡麻なども肌の潤いや髪の毛の潤い、お通じの潤いといった部分に関係する食材なのでおすすめです」
Q:年末年始の胃腸疲れを癒すには?
A:まずは、和食を間に挟みましょう。
瀬戸さん:
「ご馳走が続いて胃腸が疲れた、普段は会えなかった人とたくさん会った、など、疲労が溜まった方も多いかと思います。
胃腸疲れを癒すには、ご馳走の間に、ご飯とお味噌汁だけなどの消化のいい食事を挟むのが大切ですね。元気の元は胃腸から湧き出るので、お腹が疲れると体力が落ちるんですよ。
それと、肝臓が疲労感を代謝する機能を持った臓器なので、アルコールやカフェイン、乳製品の甘いものや油っこいものをたくさんとると、代謝がされず、疲労感が溜まってしまうんです。
年末年始のシーズンはそうしたものを結構食べる機会が多いと思うので、洋食を連日続けない、ということだけでも疲労感はだいぶ取れると思いますよ」
瀬戸さん:
「お正月の胃腸疲れは、『冬の土用』の期間までに解消できるのが理想ですね。ちなみに2025年の冬の土用は、1月17日〜2月2日までです。
冬の疲れが、そのまま春の花粉症にもつながってきます。この期間までに、油っこいものなど胃の負担が大きいものはほどほどにして、和食など胃にやさしい食事をなるべく心がけられると安心だと思います。
ちなみに年始だと、お餅をたくさん食べて消化不良になっている方も多いですね。胃もたれを感じている人は、大根おろしと一緒に食べるのもおすすめです。
大根は、七草粥にも入っていますよね。七草粥に入っているものは解毒や消化を促すものが多いので、実は疲れを癒してくれる効果が期待できる食事なんですよ」
瀬戸さん:
「あとは体を休めるために、夜11時より前に寝る日を作るようにしてみてください。
11時以降は、肝臓と胆嚢を休める時間にあたります。どちらの臓器も体内の疲労や毒素、ストレスをデトックスしてくれる臓器なので、その時間にしっかり休むことで、疲れも取れやすいです。
そして自律神経を整えるためにも、朝起きる時間はずらさないようにしてみてください。たくさん寝たい日は夜を早めて、朝は一定にする。そうすると体の疲労感も取れやすいと思いますよ」
Q:鼻風邪をひきやすいです。花粉症もすでに症状が……。
A:お腹をあたためて、キャベツをたくさんとってみて。
瀬戸さん:
「花粉症の症状は、冬の過ごし方が関係していることも。なので花粉症の方は、冬に胃腸を冷やさないようにしてあげるといいですね。
胃腸が冷えると、粘膜が弱って、花粉症の症状も悪化しやすいんです。花粉症のひどい方だと、お正月明けにはもう症状が出始めたなんて方もいらっしゃるかもしれません。
もし、そうした自覚のある人は、葉物野菜をたくさん食べてみてください」
瀬戸さん:
「東洋医学では、緑色のものは肝臓の解毒を助けてくれる作用があると考えます。花粉症やアレルギーなどの症状は、肝臓の解毒機能が不足することによって起きやすくなります。
なので肝臓の状態をできるだけいい状態に保ってあげるのが理想ですね。緑色のものをたくさん食べると、肝臓の代謝がしっかりして、解毒ができるから、アレルギーや花粉症の症状が酷くなりにくいんです。
おすすめの葉物野菜は、キャベツ。どこでも手に入りますし、胃腸もケアしてくれるのでおすすめですよ。
粘膜が弱いなと感じる方は、かぼちゃやにんじんもいいですね。黄色いものは、保湿力を高めて粘膜を強くしてくれると考えるので、鼻や喉が乾燥すると感じる方は、黄色の野菜をとってみてください。
ちなみに前編でお伝えした『腎』を補う食材も、免疫力を養うのでおすすめです」
***
取材後、さっそく教えてもらったツボ付近にカイロを貼って過ごしてみると、それまでひどく感じていた肩周りのコリがほぐれ、全身もじんわりとあたたかく。今のところ大きな不調なく過ごせています。
これなら心地よく過ごせそうと感じられることが、ひとつでもご紹介できていたら嬉しいです。この冬をどうか健やかに過ごしていけますように。
(おわり)
【写真】川村恵理
もくじ
瀬戸佳子
国際中医薬膳師。東京・表参道「源保堂鍼灸院」で、漢方相談を行いながら東洋医学に基づいた食養生のアドバイス、レシピの提案を行う。著書に『季節の不調が必ずラク~になる本』、『1週間で胃腸が必ずよみがえる気血スープ』(ともに文化出版局)、『1週間でからだが変わる いちばんやさしい気血養生』(PHP研究所)など。
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