【特集|その働きかたが知りたい】神楽坂・かもめブックス 第3話:ここで本と出会ってもらうために。

編集スタッフ 田中

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4日間にわたって、特集「その『働きかた』が知りたい」かもめブックス編をお届けしています。街の本屋さんになる決意をした柳下さんとその仲間の本屋さんづくりのお話、どうぞ楽しんでご覧ください。

(書き手:スタッフ田中、撮影:小野田陽一)


 

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かもめブックスで本と
出会ってもらうために。

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3日目は、柳下さん達の力が結集した、かもめブックスの店内をご紹介します。その陳列の様子や、カフェ、ギャラリー部分など見どころ満載です!今日も最後まで楽しんでお読みくださいね。

「雑誌」のようなお店づくり

“巻頭特集”のコーナーを作る

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-編集チーム・田中(以下、田中):
お店に入ってすぐに目にとびこんでくるのが、雑誌の命ともいえる表紙がずらっと並んだ棚や、目をひくPOP。とっても楽しい本の見せ方への思いを聞かせてください。

柳下さん(以下敬称略):
「ふらっと立ち寄ったとき『今日はこの本に出会った』と毎回違う発見をしてもらいたいと思い、雑誌のように巻頭特集があるような陳列にしています。

もちろん、お客様の注文も受け付けて普通の本屋さんと同じように利用できます。しかし新刊を全部並べることはできないので、僕らの強みは物量ではない部分で出そうと考えました」

 

テーマごとに陳列する

小さなテーマごとに分かれていた棚。「明日、旅に出たくなる」と題した一段には、書店員さんの目で選ばれた”旅”について書かれたものが、並んでいました。沢木耕太郎や小田実などの海外放浪ものから、女の子が好きな雑貨屋やカフェをめぐる旅まで幅広いセレクトです。

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kamomebooks_4day_024(撮影:クラシコムスタッフ)

ここは「働く本棚」。選者を定期的に変えていくようですが、職業の異なる6人に「どんな本と出会ってきたのか?」を問いかける棚です。その人の人柄なども垣間見えるような場所でした。

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ギャラリー、カフェ、本屋、
3つのお店がある場所。

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店内のつくりには、ある仕掛けがありました。手前のカフェや本屋には日常の風景を、奥の本棚やギャラリーに進むにつれて非日常を感じられるようになっているんです。

一番奥のひっそりとした静かな場所・ギャラリースペースは、ほんの少しの時間でリフレッシュできるような、日常から少し切り離された雰囲気が漂っていました。

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大阪のondo tosaboriと、ここ神楽坂のondo kagurazakaの2拠点があることで、関西の作家が東京でも展示のチャンスが巡るように、又その逆も期待できるような企画を徐々に立ち上げていく予定だとか。

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ショップマネジャーの井上さんがどうしても置きたかったカフェ。WEEKENDERS COFFEE All Rightでは、光がさんさんと降り注ぐ窓際でゆっくりとコーヒーが楽しめます。柳下さん自らお店に立つこともあります。

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-田中:
本屋、カフェ、ギャラリーの3つの要素が入ったかもめブックスは、普段本をあまり読まない人もスッと入ってこれるようなお店になっていますね。

柳下:
「そうですね。本屋に来たつもりが、ギャラリーを見て気分転換になったり、カフェで休憩する予定が一冊の本と出会うきっかけになったり。お客様の目的はどこにあってもいい、来てもらって各々の場所が互いに補完しあえるようになればいいと思っています」

そう考える柳下さんの「場」のイメージには、まさに私たちのお店とも共感できる部分がありました。

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本と出会い、本を開いて
たくさんの「かもめ」を飛ばしてほしい。

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-田中:
店名のことで質問です。なぜ、鴎来堂とかもめブックスの両方に「かもめ(鴎)」がついているんでしょうか?

柳下:
「これは俳人・三橋敏雄さんの「かもめ来よ天金の書をひらくたび」という句に由来します。

天金というのは製本用語で、本が埃をかぶらないように上の部分を金色に塗ってあること。本を開くと、まるでかもめが羽をひろげたように見えませんか」

kamomebooks_4day_025(撮影:クラシコムスタッフ)

金飾をほどこした、大切な本を開くとかもめが飛んでくる。本を読むことへの、高揚感が伝わってくるこの一句が大好きな柳下さんは、店名は「かもめブックス」に決めていたそう。

柳下:
「WEBショップは目的の本がすぐに探せるのがいいですよね。対して僕らのお店のメリットは手に取って形、デザインに触れられること。おとといは買う気にならなかったけど、今日はこの一冊がどうしても気になるな〜なんていうときに欲しくなるんだと思うんです。

だから何度も来てもらって、どんどん棚から出して、めくって、お店の中でかもめをたくさん飛ばしてほしい」

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街の本屋さんとなって、2月で開業3ヶ月目を迎えるかもめブックス。柳下さんの頭のなかには「コミックス売り場を作りたい」などと、これからの展望もあるようでした。これからどんな「場」になっていくのかが本当に楽しみですね!

 

街の本屋さんでの働きかた、
フィットしていますか?

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-田中:
本を取り巻く現実や、柳下さんたちの本への思い、又かもめブックスの事がとてもよく分かりました。最後になりますが、今の柳下さんは「街の本屋さん」で働いていることをどう感じていますか?

柳下:
「そうですね、したいことができてきたなと思います。僕はいま30代後半ですが、鴎来堂での経験や人生の時間を重ねて、できる範囲が広がり、又一緒に仕事する人々もそうやって範囲を広げてきたことで、協力してかもめブックスをつくることができました。

こうしてインプットしたことはアウトプットにも働いていて、かもめブックスをつくったことで、鴎来堂や他のことで次に取りかかりたい仕事が見えてきました」

働く時間は人生のなかでも大きな時間を占めます。だったら、その時間は楽しくあったほうがいい。そう笑って話す柳下さんは、やっぱり熱い気持ちを持ったチャーミングなマスコットキャラクターでした。

きっとわくわくするような出来事が、またこの場から生まれそうですね。

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3日間にわたって、かもめブックスという本屋さんで働く柳下さんやショップのみなさんの思いを聞いてきましたが、いかがでしたか。

わたし個人の考えですが、近頃見かける本屋さんは、ユニークでおしゃれ、流行の最先端のようなイメージがあったんです。

しかし、柳下さんやショップマネジャーの井上さんと話していて、本への熱い気持ちと目の前の壁にむかって自分たちなりに冷静に進む姿に、いい意味で裏切られ、胸を打たれました。

最終日は、かもめブックスの書店員のみなさんに選んでいただいたオススメ本の紹介です!

楽しいレビュー付きですので、ぜひお楽しみに。

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もくじ


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