【特集|わたしのコンディションづくり】第5話:コンディションづくりが思いがけず生んだ、人とのつながり。
編集スタッフ 田中
5日間の連載で、スタイリスト・四分一亜紀さんのコンディションづくりをお届けしています。心の在り方、食べ物、習慣、身につけるもの、など、いい仕事や楽しい毎日につながる日々を取材しました。
コンディションづくりが生んだ、
周囲とのいいつながり。
これまでの四日間で、四分一さんがいいスタイリングをしたり、気持ちよい体調を維持するコンディションづくりを見てきました。
それが思いがけず、仕事やプライベートで出会った方々とのすてきな繋がりの輪を生んでいると思いました。
「共感できるものごとに関わっていらっしゃる方は、応援したくなってしまう」という四分一さん。その正直で誠実な姿勢は、きっと暮らしにも仕事にもいい循環になっているのではないでしょうか。
人とのつながりが生んだもの
あんざい果樹園との出合いでできたZINE。
▲あんざい果樹園のりんごジュース。
東京生まれ、東京育ちの四分一さんは、家で植物を育てたりすることは好きだったけれど、大自然からは遠い暮らしだったそうです。
2005年の夏、友人の誘いで訪れた福島県の果樹園。食事と宿泊場所は提供してもらい、訪問者たちは果樹園の仕事を手伝う。身体を動かし、汗をかいて、自然の成り立ちをその目で見る。
その素晴らしい体験に動かされて、四分一さんはZINE*を制作しました。
▲vol.3まで発行。(現在は発売していません)
ずっと暮らしているわけではないから、自然の怖さも農業の厳しさも知らないことだらけ。それでも今までの暮らしになかったものがここにあった、その感動を誰かに伝えたくて作ったそうです。
東京のカフェで写真展とリトルプレスを販売するイベントも企画。このZINE作りは趣味の範囲から延長したような、暮らしと仕事がリンクしている経験だったのではないでしょうか。
▲ポラロイドで撮影した果樹園での思い出。(撮影・四分一亜紀)
その後、2011年3月の東日本大震災を経て、果樹園を経営するご夫婦は福島で果物をつくり続け、息子夫婦は新天地・北海道で「たべるとくらしの研究所」という名のお店を営んでおられます。
朝食には、今もあんざい果樹園の果物が登場し、ご両親、息子夫婦ともに友情は継続中。このお話のときには小柄な四分一さんの身体から発するパワーを、ぐんぐん感じました。
*ZINE…流通経路は一般的な書店に置かれるものと違い、少部数で好きな分野に特化して制作されているもの。個人で作る場合が多い。
老舗和菓子屋さんの広報誌。
「食べることが好きだから、食まわりの仕事も増えてきてるのかも」という四分一さん。
そのひとつ、滋賀県の老舗和菓子屋「たねや」さんとのお仕事は、2013年から同じメンバーで毎回撮影に臨むそうです。裏表紙のお菓子のしつらいが四分一さんの担当です。
▲シンプルなバウムクーヘンから、静寂と共にどっしりとした甘さを感じるシーン。写真は表紙:川内倫子さん、裏表紙:大沼ショージさん。
広報誌は地元・近江の「自然と人」をテーマに、たねやのお菓子が生まれる地の営みを伝えています。この取材に同行することもあり、回数を重ねるにつれて近江の素晴らしさを体験しているようでした。
再認識させられたコンディションの大切さ。
5日間にわたって、スタイリスト・四分一亜紀さんのコンディションづくりをお届けしました。
毎日仕事に家事に、育児に奮闘しているときでも、弱気になったり、少し体調が優れないときもありますよね。自信が揺らいでしまうことだってありそうです。
そんなとき、良いコンディションでいることの大切さを知りますよね。
四分一さんのコンディションづくりには、四分一さんらしさが漂っていました。
なんとなく、ケモノのような嗅覚といおうか、直感や新鮮な感覚を心とからだで感じられるように、コンディションを整えているのだと私の目に写りました。
とりわけ「食べるもの」を大切に考えて、身体にしみわたる命のありがたみを感じている姿が目に焼き付いています。
そのコンディションづくりには、当然といえば当然ですが「好きなコト」がちりばめられていました。”コンディションづくり”なんて、ストイックなイメージもありますが、四分一さんらしい真摯な姿勢が周囲にもいい循環を生んでいて、自然とできているコンディション維持だったんです。
「良薬、口に苦し」とはいいますが、習慣にするには心地よいものを、自分でコツコツ探すことが大切なのですね。
今わたしの日々には、これまでに見聞きしたたくさんの方の習慣が混ざっています。きっと、そういうことなんだろうと足取り軽く四分一さんの家を後にした私たちでした。
この特集が、日々を楽しむためのコンディションづくりに少しでも貢献していたら嬉しいです!最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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