【つくってみたレポート】「自家製めんつゆ」で、丼をたのしもう。
編集スタッフ 長谷川
文・写真 スタッフ長谷川
理想のめんつゆを求めて。
「Instagramに麺類の写真ばっかりあげてるよね!」と言われたスタッフ長谷川です。夏日にはさっぱりと冷たい麺類が恋しくなってきます。
麺類といえば、みなさん、「めんつゆ」って、どうしていますか。スーパーで買う? お取り寄せ? 市販のめんつゆは、甘め、しょっぱめ、出汁強めなど、味付けが意外とばらばらで面白いですよね。
好みのめんつゆに出会う旅も良いのですが、今日はひとつ、自家製を試してみることにしました。
先日買った、きくち正太さんのマンガ『あたりまえのぜひたく。』で自家製めんつゆを作る話があるのですが、今回はそれに倣ってみます。
乾物屋さんの、ときめき。
きくち家では「乾物は専門店で仕入れるの。だんぜん安いもの。買い置きしといても悪くなんないし」とのこと。
そこで僕も、地元の乾物店を訪れました。一口に乾物と言っても種類も味わいもさまざま。どれを見てもいい出汁がでそうで、鼻の奥においしそうな香りがよみがえってきます…。
ときめきを覚えつつ、お財布とも相談しつつ、「北海道産の日高昆布」「鹿児島県産の鰹枯本節厚削り」「千葉県産のいりこ」をお買い上げ。小さめサイズを選びましたが、これで1300円ほど。これからも乾物は専門店で買おう。
めんつゆは、びっくりするほどカンタンにつくれた!
こちらが材料。しょうゆはぜひとも「うすくち」「こいくち」の2種類を用意してください。理由はのちほど。
おおぶりの鍋に水3リットルを注ぎ、昆布、かつお節、いりこ、干ししいたけを入れたら強火にかけます。沸騰したら弱中火くらいまで落として、アクを時折すくいつつ、煮込むこと1時間ほど。
クラシコムのオフィスにあるキッチンで作っていたのですが、通りがかる人々が「良いにおい!」と出汁の香りに誘われておりました。
── 『あたりまえのぜひたく。』きくち正太、幻冬舎、p,30
さて、しょうゆを2種類用意する理由ですが、夏と冬でしょうゆの分量を変えて、気候にあわせて味を整えられるから。日持ちも考え、少し辛目に仕上げるそうです。きくち正太さんの「そっちのほうが大人だ」のひと言がいいですね。
今回はこいくちを3、うすくちを2にしてみました。
しょうゆとみりんの調味液を一度沸かしたものを注ぎ入れます。
ねぎの青い部分をかぶせて、味が馴染むまで10分ほど煮ます。ねぎを入れた途端、よく知る香りがひときわ…マンガの中でも書かれているのですが、のれんをくぐって入った瞬間の、あの「お蕎麦屋さん」の香りです!
出汁がらをザルで濾し、あら熱をとって保存容器につめかえれば、自家製めんつゆのできあがり。仕上がりは約2リットル、冷蔵保存で2週間は楽しめるそうですよ。
おいしくできたら、器にも凝りたくなって。
めんつゆの味を楽しむべく、シンプルなかけそばにしてみました。出汁を吸ってふくらんだ干ししいたけも入れちゃいましょう。
手をかけて作ったものなので、見た目からもおいしさを感じたい。そこで、高祥吾さん作の九谷焼の丼に盛ってみたら、いっそう「本物感」が増して、うれしくなってきました。同じく高祥吾さんの隅切り長小皿に薬味を盛りつけて添えてもいいですね。
一口すすって…ううーん、参った! イチコロです。甘さは控えめで、キレの良い口当たりのあとに、出汁としょうゆのおいしさがいっぱいに広がるんです。
あぁ、親子丼とか、フルタヨウコさんに教わった「なすと鶏のそうめん」とかも試してみたい!
「うちの味」があるって、たのしい。
他のスタッフに味見をしてもらったら「すっごいおいしい!」「おいしいけど、ちょっと濃いくらい」などなど…。濃いと感じたのは中部や関西地方出身のスタッフでした。
なるほど、それなら、うすくちしょうゆを多めにして作るか、お湯で少し割ってもいいわけですね。料理に合わせて濃さを調節しながら、ちょうどよい味わいを見つけるのも楽しそうです。
“ちょいとした手間で これがうちの味ですよって胸が張れるとしたら こんなぜいたくなことはない”
── 『あたりまえのぜひたく。』きくち正太、幻冬舎、p,14
今回試してみて、きくち正太さんのこの言葉がしっくりきました。うちの味のめんつゆを、お気に入りの器で、たのしむ。家族や友達にも、たのしんでもらう。ほんのひと手間でその時間は、どこにもない「うちだけの時間」になるんだなぁ。
作り方のくわしい手順は『あたりまえのぜひたく。』をどうぞ。このマンガを連載している「幻冬舎plus」には、試し読み版として自家製めんつゆを使ったカレーそばの作り方も載っています。
きくち正太さんの料理の数々はこちらで紹介されています。
あたりまえのぜひたく。 きくち正太 幻冬舎 2015-04 |
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