【フィットする暮らし】第2話:ろみさんの「基本」につながる3つのこと。

編集スタッフ 田中

romi_m-0246写真 鍵岡龍門

 

自分らしく心地いい暮らしをつくっておられる方を取材し、お客さまにお届けするシリーズ「フィットする暮らしのつくり方」。Vol.11は、菓子研究家・いがらしろみさんにお話を伺っています。

明るく、朗らかなろみさんの毎日をつくるのは、お菓子を志すきっかけにもなった考え方が根底にありました。

それはきっと、ろみさんの「基本」のようなものなのではないか…そして”楽しく生きるヒント”のようにも私は感じたのです。

今日はろみさんがお菓子を追求していこうとする前、中高生時代に「私はこういうのが好き」にたどり着くまでと、そこから始まるお話です。

 


第2話:ろみさんの「基本」につながる3つのこと


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本当にこれが好きなの?自分の意思をもつ。

romi_m-0441▲当時から器など雑貨が好きだったそう。これは後に出会ったイギリス・Midwinterのカップ&ソーサー。

ろみさんは中高生時代、雑誌『オリーブ』(現在は休刊)が大好きだったそう。かわいい雑貨にお小遣いをつかってしまい、洋服に夢中な友人たちに驚かれることもあったとか。

いがらしろみさん:
「当時は自分の好きなことに出会えなくて、不満ばかりだったように思います。『本当にこれが好きなの?周りに流されているだけじゃないかな?』と疑問をもっていました。

学校の外に楽しい世界を求めて、お菓子づくりや雑貨などにのめりこんでいきましたね」

第1話で私がかつて感じたもやもやした気持ちを、どうやらろみさんも経験済みだったようですね。

ろみさんは高校生になると、お菓子教室に通いつめ、さらにアルバイトにも情熱を注ぎます。

当時あるシンガーソングライターの熱烈なファンだったそうで、その方のファンクラブの会報誌や関連グッズの製作に企画から携わるお手伝いをしていたのだとか。そこでの体験が、ろみさんの基本のうち、2つめになっているように思います。

 

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「これ、いいでしょう!」と分かち合うこと

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ファンクラブのアルバイトを続けるうち、ろみさんの願いが叶います。そのシンガーのある曲が大ヒットしたのです。

そこでろみさんが経験したのが、自分がいいと思ったモノ・コトを、他人と共有できるということでした。

いがらしろみさん:
「私のなかで初めての成功体験だったんです。よく考えると私の成功ではなく、その歌手の方の成功なんですが(笑)、いいと思ったことが受け入れられた!と嬉しかったんですね。

それはお菓子づくりにもつながっていて、『ね、これいいでしょう!』って皆に広めたい気持ちがすべてのスタート地点にあると思います」

私がろみさんの本と出会って好きなものが増えていったように、どんなときに心が高揚するのか、どんな気持ちだと仕事がスムーズにはかどるのか、ろみさんは行動の原動力になるような”きっかけの気持ち”を持っているのだと思いました。

 

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立ち止まって、考える。

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小さな頃からお菓子が好きだったろみさん、学生時代のアルバイト先はフランス菓子店でした。主に接客の仕事で、お客様と話したり、ケーキをおすすめしたりするのが楽しく、そのうち興味は厨房でのお菓子づくりへ移っていったそうです。

前述の音楽事務所でシンガーの方を見て「好きな音楽を仕事にできて、とても楽しそうだ」と感じていたそうで「自分の場合はなんだろう?」と考えたときに浮かんだのはお菓子づくりだったと言います。

ろみさんは短大卒業後に、アルバイト先のケーキ屋さんにパティシエ見習いとして入社しました。

いがらしろみさん:
「パティシエの仕事は、想像以上に力仕事が多かったです。大きな小麦粉の袋やバターの塊を運んだり、粉を練ったり。

徐々に仕事を覚えてやりがいもありましたが、女性の私がずっと続けられるだろうか?と不安もよぎりました。そのとき、私が私のために力を注ぎたいことはなんだろう?って考えはじめたんです」

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心のエンジンがかかったら、さあ進んでいこう!と仕事も暮らしも邁進していきそうな元気を持っているろみさんですが、一度冷静になって自分をみつめて考えていたんですね。これがろみさんの基本、3つめだと私は感じました。

その後、ほどなくして菓子店を退職し、単身で向かったのはフランス。お菓子のことをもっと勉強するために、それ以後数度にわたってフランスに滞在しています。

いがらしろみさん:
「お菓子に関わっていたい、その中で『私が力を注ぎたいのはどこだろう?』って探し続けているんだと思います。帰国したあと、フランス料理・菓子の専門学校に事務スタッフとして勤めながらも、フードイベントに参加したり、自ら本の企画を売り込んでみたり。

WECKというガラス瓶のメーカーにいた知人に、あるイベント用にその瓶につめる中身を作ってほしいと言われ、ジャムにたどり着きました。その後も、楽しい発見があれば『え?そんなのあるの?それでそれで?』って追求して。中学生のときからずっと続いていますね」

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第2話は、ろみさんの朗らかな毎日をつくる素となったエピソードをお届けしました。

ろみさんの経歴をパッとみると、あれよあれよという間に、いろんなことが実現しているように見えます。けれど、そこには常にろみさん自身が、自分に向けて質問し、感じて、考える、ということをしていたのだとわかりました。

はっきりと表に出ていないだけで、誰でもそうなんじゃないかと思います。せわしなく過ぎていく日常でも、心の中で日々自問自答し、感じて、考えて…を繰り返している。

そう分かったら、私にもできるかもと思えてきて、すぐ未来の、明日の自分が笑顔でいるような気がしました。

(つづく)


もくじ

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いがらしろみ(菓子研究家)

小さな頃からお菓子づくりが好きで、短大卒業後、フランス菓子店製造部に就職。その後パリに留学。ル・コルドン・ブルーでフランス菓子を学ぶ。帰国後、ル・コルドン・ブルー東京校事務局に勤務。2002年より菓子研究家・romi-unieとして活動をスタート、2004年に鎌倉にジャムの専門店「Romi-Unie Confiture」を開店。2008年に学芸大学に焼き菓子とジャムの店「Maison romi-unie」を開店し、お菓子教室も開催。ほかに、カップケーキ専門店「Fairycake fair」のプロデュース、商品開発や、アドバイザーなども務める。新著「いがらしろみのレシピノート」(2016年4月20日 NHK出版)が発売予定。

▽いがらしろみさんの著書

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romi-unie books第1弾のレシピブック。ビスケットをテーマに、バターガレットやレモンクッキー、ショートブレッドなど全44種類のレシピを収録。(自主制作のため販売はwebshopか一部取り扱い店のみ。HP:http://www.romi-unie.jp/)

 


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