【店長コラム】私たちが洋服をつくろうと思った理由。
店長 佐藤
「道具店」が洋服をつくる?
つい先日、当店のオリジナルブランド『KURASHI&Trips PUBLISHING』からは初となる洋服をリリースしたのですが、私たちの予測を上回る大反響をいただくことができました。
もしかすると、「北欧、暮らしの道具店が洋服もつくるの?」と驚かれた方もいらっしゃったかもしれません。
それは、きっと……
当店が「北欧」で出会った暮らし方や生き方に感化されたことを始まりとして、雑貨や日用品を中心に紹介するお店として長年あり続けてきたからではないかと思います。
今後もそれは変わりませんが、お店のゆるやかな成長と共に私たち自身も歳を重ね、純粋に「装う」ことへの好奇心、切実さや迷いのようなものが以前にも増して深まってゆく経験をしました。
思えば雑貨の分野でのセレクトや開発についても、まったく同じ経路を辿ってきたような気がします。
ひとりの生活者として「こんな道具があったら家事がもっと楽しくなるのに」「これがあれば家が居心地よくなりそう」。
モノを見る目を養うだけではなく、生活者としての動機を何より中心軸に置いてやってきました。
「装う」という分野でも、とても自然に「ひとりの女性」としての、もっと言えばわたし個人としては40代に仲間入りしたばかりのひとりの女性としての、新たな必要や動機が生まれてきたということになります。
私たちにもともと一個人として「装う」ことへの迷いや悩みを解決できる力量が備わっていたとしたら、洋服をつくろう!という動機そのものが湧いてこなかったのではないかとさえ思うのです。
「ひとりの女性」として、一体なにを必要としている?
「なんだか今日は素敵だな」と思ってもらえるような、無理なく自分に似合った格好をしたい。誰しもそんな願望ってあるんじゃないかと思います。
もれなく私たちもそう願う一人です。
でも、その願望に唯一立ちはだかる要素。
それが、本当の意味でセンスのある人には敵わないと思ってしまう遠慮のような気持ちでした。
そんな中でも特別な着こなしテクニックを必要とせず、一枚さらりと羽織るだけでいい感じに見える洋服に出会えたときの喜びは、ほかに代えがたいものがありました。
ほかには、こんな経験も。
————————————————————–
◎もちろん、オシャレしたい。だけれど平日の朝に、あれやこれやと着こなしに時間を使う余裕がない現実をどうしたら……
◎お気に入りの洋服を買っても、すぐ子供に汚されちゃう。気兼ねなく洗濯したいけれど、「Oh No!」家では洗えないじゃないか。アイロンかけるのも面倒だなあ。
◎ならば今の自分は無理せず、このあたりの洋服を着ていよう。ただ、無理がなくても何か楽しくないんだよな、気分が上がらないんだよな。
◎年齢を重ねるたび新たな迷いが生じる。今の自分に似合う洋服を圧力なく提案してくれる店員さんに出会えた日は、天まで昇りそうなくらい嬉しい。
————————————————————–
こんな「装う」ことに対するモヤモヤとした感情・喜びの両方を、数え切れない回数で経験してきたことで行き着いた一筋の答えが、「日常着を、ちょっとよく」というコンセプトでした。
日常的に着られるものにしたいから、お手入れができるだけ楽チンで、できたらノーアイロンで着られる洋服をつくってみたい。
子供と一緒に行動するときも、自分のことを気にせずにいられるくらい動きやすいものを。でも自分が気分よくいられる洋服を。
様々な身長や体型の人に幅広く似合うもので、それを一枚着れば、できたら簡単なアクセサリーを耳元につけるくらいで「キマる」「いつもより、ちょっとだけ自信がもてる」、そういう洋服を。
やっぱり女性は何歳になったって「女性」でありたい。だから機能面だけでなく、ひとさじの女性らしさを加味した洋服づくりを。
こんなふうにして温泉を掘り当てたような勢いで(笑)、自分たちのなかから新たなチャレンジへの動機が次から次へと湧き出てきました。
信頼できる国内の製造メーカーと、ディレクターとの出会い。
(今ではわたしが「姉さん!」と呼んで慕っているブランディングディレクター・福田春美さん)
次から次へと湧き上がる動機を「わかった、わかった。佐藤さん、落ち着いて」と懐深く受け止めてくださった方たちがいます。
その一人が、ブランディングディレクターの福田春美さん。
これまで様々なアパレルブランドの展開にディレクターとして関わり、結果を出してこられたプロフェッショナルです。
まずこの福田さんに思いの丈をぶつけ、私たちと相性がよさそうな国内の信頼できる製造メーカーをご紹介いただきました。
動機とつくりたい洋服のイメージを持つ私とバイヤー、プロの目線からしっかりとアドバイスしてくださる福田さん、そして製造メーカーの担当者さん・デザイナーさんが揃い、ひとつのチームが出来上がりました。
昨年のまだまだ暑かった夏からこのひとつのチームで動いてきたのですが、わたしも疑問に思うことはどんどんぶつけて、細かいディテールの部分についても最後まで議論をさせてもらってきました。
「この人、かなり粘るな」と思われたこともあったかもしれません。
でもそんなプロセスがあったからこそ、思い描いてきたことが一歩前進して現実となり、こうしてコラムを書いている今がとても不思議です。
かゆいところに手が届く。身の丈にフィットした洋服づくりを目指します。
(個人的にはネイビーがお気に入りでした)
香菜子さんとのコラボレーションで生まれたトップスを皮切りに、スタートしたばかりの2017春夏のオリジナル展開。
ここからトップスだけでなく、ボトムスやワンピースなど、オリジナルでつくった洋服を順番にご紹介していく予定です。
「あ!この服ほしい!」と思ってくださるお客さまの心のなかに、「この店、自分のことを分かろうとしてくれてるのかも」という安心感や信頼感が膨らんでいくような、そんなモノづくりを目指していきたいと思います。
このブランドと一緒に無理もせず背伸びもせず今の自分に「似合う」を見つけていこうと思っていただけるところに行き着くまで、全力で走ります。
今後の展開にもどうかご期待ください。
▼好評いただいた「2wayトップス」は再販に向けて動いているところです。
再販時のお知らせを希望される方は以下バナーより「入荷お知らせメール」にご登録ください。
【写真】平本泰淳
(5枚目写真のみ撮影クラシコム)
感想を送る
本日の編集部recommends!
小さな不調のケアに
手間なくハーブを取り入れられる、天然エッセンシャルオイル配合の「バスソルト」を使ってみました【SPONSORED】
【11/26(火)10:00AMまで】ニットフェア開催中です!
ベストやプリーツスカートなど、人気アイテムが対象に。ぜひこの機会をご利用ください♩
お買い物をしてくださった方全員に「クラシ手帳2025」をプレゼント!
今年のデザインは、鮮やかなグリーンカラー。ささやかに元気をくれるカモミールを描きました。
【動画】北欧をひとさじ・秋
照明ひとつでムード高まる。森百合子さんの、おうち時間を豊かにする習慣(後編)