【自分へのご褒美に】永く愛せるバッグや憧れの北欧雑貨など>>

【スタッフコラム】忘れられない人。

【スタッフコラム】忘れられない人。

編集スタッフ 壽山

IMG_6521_2

「この人に会えて、本当によかった」

そう心から思える出会いは、一体どれだけあるのでしょう。

先日、私が二十歳の頃から親しくしていたご夫妻の、ご主人が他界されました。

享年93歳。ご自宅で家族に看取られながらの最期は、悲しいというより、避けられない別れのひとつ。

そうは言っても、なかなか寂しさは拭いきれないもの。このところ、ふとした瞬間、その方の言葉が心に湧いてきます。思い返すと、大切なことを幾つも教わりました。

 

一服のお茶で、人をもてなす。

FullSizeRender (1)

出会いは二十歳で通いはじめた茶道教室。その方は、茶道の先生のご主人でした。

教室が終わった後、ご主人がいつも淹れてくれた1杯の珈琲の味に、人をもてなすことの真意を教わった気がしています。

紅茶党の母を持つ私は、恥ずかしいことに成人しても珈琲が飲めずにいました。

ご主人がカップを温め、豆を挽き、湯の量を計って、「おいしくなあれ」とまじないでも唱えるようにドリップしてくれた1杯で、その美味しさを知ったのです。

IMG_0866 (1)_1

いつ訪ねても、ご主人はとびきり美味しい珈琲を淹れてくれました(よく冷えたガラス瓶から注がれた、コップ1杯の水でさえ妙に美味しく感じたから不思議です)。

一服のお茶に、こんなにも力をもらった経験は、後にも先にもないかもしれません。

きっと訪ねてくれた人への感謝を胸に、心を尽くして淹れてくれていたのでしょう。

そのことに気付いてからは、私も来客があるときは、その方に受けたもてなしを思い起こしながら、お茶を淹れています。

 

自然を愛し、日々を慈しむ暮らし

FullSizeRender (2)

ときには、教室が始まる時間より早くに到着してしまうこともありました。そんなときは決まって書斎へと通されて、

「ジャズがいい? クラシックがいい?」

と、ご主人に美しい音楽を聴かせもらいました(大きなスピーカーから流れる大音量の名曲は、コンサートさながらでした)。

音楽を楽しむときは、いつも同じ椅子に腰掛けて、窓ごしに庭を見つめていたご主人。大きな窓から自然を慈しむその姿は、忘れたくない景色のひとつです。

 

今ある「生」に感謝。毎日を大切に過ごす

IMG_0844

ご主人は大正生まれで、戦時中は特攻隊員として徴兵された経験のある方です。

戦地に飛び立つ前日に終戦を迎え、帰国。「妻が待っていたから、帰ってこれたのかもしれない」と、戦争前後の話をしてくれたことがありました。

一度は終わりを覚悟した人生だからこそ、毎日を大切に生きていらっしゃたように思います。

IMG_0420_1

週末ごとに3世代の家族で食卓を囲み、ワインと共に息子さんが腕をふるった夕食を楽しむ。私もその輪に入り、あたたかい食事をご馳走してもらうこともありました。

食後は庭に出て、見頃の花や庭木の様子を楽しそうに解説してくれることも。その話に耳を傾け、穏やかな夜に身を委ねるひとときは、とても幸せなものでした。

帰り際には、必ず握手を交わすのがその方の習わし。その力いっぱいの握手や、手の温もりも、心に刻んでおこうと思います。

FullSizeRender (3)

私は物心ついたときには、母方の祖父も、父方の祖父もすでに他界していました。そのせいか “祖父” という存在に、長い間あこがれを抱いていたように思います。

今思うと、彼は私の中では紛れもなく “祖父” だったのでしょう。生前はおこがましく、そんな事は口にできず、少し後悔しています。

だから、いつか娘がもっと成長したら、枕元でこの物語を話してあげよう。

「あなたには、素敵なひいお祖父さまがいたのよ」と……。

IMG_9821

感想を送る

本日の編集部recommends!

冬のファッションアイテム
ときめく編み地のカーディガンや1足でこなれるサイドゴアブーツなど、今欲しいアイテムが揃っています。

クリスマスギフト
ご褒美からプチプラまで、バイヤーの目的別おすすめをご案内

【MAX40%OFF】ウィンターセール開催中!
数量限りとなりますのでお早めにチェックしてみてくださいね。

【動画】あそびに行きたい家
歳を重ねて、インテリアが自分に近づいていくように