【梅があれば大丈夫】第2話:手軽で場所いらず!ジップロックで作る梅干しレシピ
編集スタッフ 寿山
梅仕事を続けて76年、大ベテランの藤巻あつこさんに、全3話で梅の魅力を教わります。
第1話では、藤巻さんの実体験をもとに、梅の魅力や活用法を広くお話いただきました。
つづく第2話では、藤巻さんが初心者の方にぜひ薦めたいと話す「ジップロックで作る白梅干し」のレシピを教わります。
場所をとらず、ベランダで干せる
ジップロックの「白梅干し」
「白梅干し」とは、梅を塩漬けして干すだけという、関東地方に古くから伝わる、極めてシンプルな梅干しです。
ジップロックに入りきる1kgという分量は、保管に場所をとらず、ベランダでも干すことができるので、どんなご家庭でも実践しやすい手軽さが魅力。
「梅干しって大変そう」と思っている方に、ぜひおすすめしたいレシピです。
材料
梅(黄熟したもの)…1kg
粗塩…180g
焼酎…1/4カップ
▲用意するのはジップロック(Lサイズ)1枚に、ボウル、霧吹き、ストロー、竹串、歯ブラシ、布巾。
藤巻さん:
「梅はしっかり黄熟したものを選びます。もし未熟のものしか手に入らなかったら、買ってから追熟させましょう。
全体の80%以上が黄熟していれば大丈夫。塩は精製したサラサラのものより、にがりを含んだ『粗塩』がベスト。
わたくしは『赤穂の天塩』を使っておりますが、初心者の方には『瀬戸のほんじお』が梅酢の上がりが良いのでおすすめです」
01:梅を洗う
▲藤巻さんは豚毛の歯ブラシを愛用しているそう
藤巻さん:
「ヘタが下にくるように持って、歯ブラシで上から下へと撫でるように、産毛をやさしく洗い落とします。
梅に傷をつけないよう、力加減に気をつけましょう」
02:ヘタを取って、水気をふく
藤巻さん:
「竹串の先を持って、梅を傷つけないようにヘタをとり、水気を拭きとります。くぼみの水気もしっかり拭きとってください。
布巾は清潔なものを使用してくださいね。カビの原因になりかねませんから」
03:ボウルに梅を入れ、塩をからめる
藤巻さん:
「ボウルに梅を入れて、霧吹きで焼酎を吹きかけ、粗塩を加えて手で混ぜながら塩をよくからめます。
材料は一気に入れずに、2〜3回に分けます。梅に塩がうまくからまなければ、霧吹きで焼酎をさらに吹きかけ、しっかり塩をからめましょう」
04:ジップロックを消毒する
藤巻さん:
「袋の内側全体に、霧吹きで焼酎を吹きかけ、まんべんなく消毒します」
05:ジップロックに梅を移し、残った塩もすべて加える
藤巻さん:
「ジップロックに塩をまぶした梅と残りの粗塩をすべて入れたら、全体を平らにならします。それからストローで空気を抜いて密封してください。
玄関などの目につく場所において、朝は『いってきます』夜は『ただいま』と声をかけながら、1日に2回ほど上下を返すのがおすすめですよ(笑)
暗くて涼しい場所で保存すれば、2〜3日で梅酢が上がってきます」
06:およそ3日間、土用干しする
■土用干し 1日目
塩漬けして梅酢がよく上がり、夏の土用入り(2017年は7/19)が来たら、ジップロックから梅を取り出してザルに並べます。袋に残った梅酢はボウルなどに入れて、1日目だけは殺菌のために梅と一緒に干しましょう。
梅は日中のうちに一度上下を返し、夕方には取り込んで、梅酢が入ったボウルに戻します(ひと晩梅酢につけることで、皮が柔らかく仕上がります)
■土用干し 2日目
再び梅をザルに並べて干します。梅酢は清潔な保存容器に移して、冷暗所で保存しましょう。梅は日中のうちに一度上下を返し、そのままひと晩夜露に当てます。
■土用干し 3日目
梅は日中のうちに一度上下を返し、夕方に軽くつまんでみて、皮から果肉がスッと離れる感触があれば、そのままもうひと晩夜露に当てて、翌朝に取り込めば完成です。
藤巻さん:
「土用干しの途中で雨や曇りになってしまったら、いったん家に取り込み新聞紙などで覆います。新聞紙が湿ったら取り替え、太陽が出たらまた外へ出しましょう。
干し上がった感覚がつかめないうちは、予め塩漬け前に梅1個の重さを測っておき、塩漬け前の約半分ほどの重さになったら、干し上がりと判断します」
▲2年前に漬けた白梅干し
「梅を自分の赤ちゃんだと思って、やさしく扱えばいいのよ」
レシピを教わったところで、梅干し作りのコツを伺ってみました。
藤巻さん:
「そうねぇ、肝心なのは自分の赤ちゃんだと思って梅に接することかしら。いつも気にしてあげて、やさしく扱ってあげるの。
親が目を離しすぎると、子育てもうまくいかないことがあるでしょう。それと同じように、梅も目配や気遣いが大切なのね。
子どもを育てるように、植物を育てるように、心をかけてあげれば、失敗することはない気がいたします」
さてつづく第3話では、そんな藤巻さんの「梅の楽しみ方」を詳しく伺います。
(つづく)
【写真】寺澤太郎
もくじ
藤巻あつこ(料理研究家)
大正10年、東京生まれ。梅に魅せられて76年。その間梅干しを漬けなかった年は一度もないという、梅仕事の第一人者。毎年大量の梅を用いて、梅の研究に勤しむ。梅をつかった料理にも造形が深く、梅干し作り・梅レシピの普及のため、生涯をかける。
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