【パン屋のまかない】第3話:パン作りと同様に、緊張感をもって向き合う食事(イトキト)

編集スタッフ 奥村 編集スタッフ 奥村

あのパン屋さんの「まかない」を、のぞいてみたい。

いつ行っても、おいしいパンが並び、気持ちのよいサービスがある。

そんな居心地のいいパン屋さんの秘訣は、スタッフさんの日々のごはんにあるのでは?

この連載では、わたし奥村が、気になるパン屋さんのふだんの「まかない」現場におじゃまします。

 

まるでビストロ。フレンチスタイルのサンドイッチが魅力の「イトキト」

今回訪れたのは、東京・大岡山にある「itokito(イトキト)」。

のどかな商店街にしっくりなじむ、白が基調の落ち着いた外観。お客さん2、3組が入ればいっぱいになるほどの小さなお店には、開店前から行列ができる日もあるほどです。

▲バゲットを使ったサンドイッチは、お店のいちおし。

お店の一番の特徴は、店頭にずらりと並んだサンドイッチ。

「自家製ソーセージとレンズ豆とトマトソース」や、「えびとイタリアンルッコラのラビゴットソース」……まるでビストロのメニューにあるようなラインナップは、眺めているだけでもお腹が空いてきます。

「パンは、料理に合わせるものだと思っています。合わせ方次第で、別々に食べたら決して気づかない “掛け算” のおいしさが生まれるんです」と話すのは、店主の勝野真一(かつの しんいち)さん。

▲旬の果物のフルーツサンドや、定番のたまごサンドなど、幅広い層に食べやすい食パンのサンドも用意

その想いをサンドイッチで伝えたいと、ビストロでの料理修行を経て、イトキトを開業。

今や、ここでしか味わえないパンと料理の組み合わせを求めて、毎週サンドイッチを買いに来る常連客もいるそうです。

 

今日のまかない、見せてください!

まかないをのぞきにおじゃました厨房で、待っていたのは大きなお鍋。ふたを開けると、お肉や野菜、オリーブの実など、おいしそうな具材がゴロゴロ。

今日のまかないは、その名も「 “捨て窯” の煮込み」。捨て窯とは、1日の営業が終わった後に、火を消したオーブンのことなのだとか。

勝野さん:
「パン屋のオーブンは大きくて保温性が高いので、具材の入った鍋を入れておくだけで、余熱で食材をじっくり煮込めるんです。

昔のヨーロッパでは、街のパン屋のオーブンに皆が自宅の鍋を持ち寄って、それぞれの料理を煮込んでいたそう。まかないでもそれを利用しようと思って作りました」

ひと晩オーブンで火を通した豚バラ肉は、柔らかで、パンにもよく合うそう。

日によってさまざまな具材を合わせて煮込み、味付けは塩こしょうでシンプルに。でも、アンチョビやオリーブ、ハーブを入れて、味わいに深みを出す工夫も怠りません。

盛り付けたら、仕上げに黒胡椒をガリっとひいて、彩りにパプリカをのせ、香りづけにタイムの葉を添えればできあがり。

アレンジを次々に加えていく勝野さんの手さばきは、「おいしさ」の加減をちゃんと心得ているからこその、軽やかなものでした。

 

まかないは、「緊張感」をともなうもの。

取材中も、終始気さくな笑顔でお話してくださった勝野さん。けれどまかないに対する思いを聞くと、ピリっと厳しい、職人気質な一面も。

勝野さん:
「ビストロに勤めていた頃、まかないは『ふるまう』ものというよりは、勉強として『作らせてもらう』ものでした。

プロとして食の仕事に携わっているからこそ、まかないも、自分以外の人に食べさせる料理として緊張感をもって作る。そのスタンスは今も変わりません」

 

若手スタッフへ、バトンタッチ

そんなイトキトの「まかない」ですが、実は今年に入って、作り手が若手スタッフさんへ変わりました。

「いつもシェフ(勝野さん)の作る料理がおいしかったから、自分も皆においしいと言ってもらえるものを作ろうと思って」と話すのは、新しくまかない担当になった製造スタッフの土門(どもん)さん。

スパイスやハーブの使い方、味付けの選択肢。シェフの味を参考に、今までの自分にはなかったアイデアを試せるから、まかない作りはおもしろいと言います。

▲少し照れくさそうに、まかないの話をしてくれた土門さん

勝野さんがビストロにいた頃、まかないを作るのは、「スーシェフ」と呼ばれる二番手の職人さんだったそう。だから、「まかない」の担当を引き継ぐことには、きっと大切な意味があるのでしょう。

勝野さん:
「今は、僕がまかないを食べる側。作る側にとっての、いわば実験台です。でも、土門くんの作るまかない、おいしいんですよ」

スタッフさんはシャイな方が多いから、普段、まかないに大きな反応を見せることはないそう。けれどそれぞれにお話を聞いてみると、お店の絆が垣間見えた気がしました。

 

まかない現場におじゃまして

ちょっぴり特別な気分で口にしたい、フレンチスタイルのサンドイッチ。なじみの味にほっとする、クリームパンやカレーパン。イトキトには、気分に合わせて楽しみたい、いろんなパンが並びます。

ジャンルの違うそれぞれのパンが、どれもちゃんとおいしいのは、まかない一品にも緊張感をもって臨む、店主さんの姿勢があるからでした。

そしてその姿勢は、「まかない」のバトンを通じて、若手のスタッフさんへ、脈々と引き継がれているようです。

(つづく)

イトキト
住所:東京都大田区北千束1-54-10 佐野ビル1F
TEL:03-3725-7115
定休日:日月
営業時間:(火〜金)10:00~20:00/(土祝)10:00~19:00

【写真】木村文平


もくじ

第1話(9月11日)
毎日頑張るスタッフへ、「ありがとう」の気持ちを込めて(チクテベーカリー)

第2話(9月27日)
スタッフが、客席でお昼をとるわけは?(うぐいすと穀雨)

第3話(10月2日)
パン作りと同様に、緊張感をもって向き合う食事(イトキト)

第4話(10月30日)
おいしいものへの好奇心で、尽きないレシピ(ヨシダベーカリー)

第5話(1月26日)
今日も楽しく働けるように。スタッフの気持ちを繋ぐごはん(マツパン)

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