【のり巻き研究所】第3話:余りがち、飽きがちな常備菜。のり巻きにリメイクしませんか?
ライター 小野民
家で気軽にのり巻きを作りたいという願望を叶えるべく、「ごはん同盟」のシライジュンイチさん、しらいのりこさんと、巻き簾いらずののり巻きの作り方を全3話でお届けしています。
基本の「巻き方」のレクチャーの1話、お持たせにもぴったりな2種のレシピをご紹介した2話に続き、今回は、取材スタッフが持ち込んだ「常備菜」をのり巻きにできるのか?を探ります。
アイデア続々、おかずリメイクの世界
1〜2話での体験を通じて、のり巻きの懐の深さに気づかされた私たち。
それならば……と、ふだん冷蔵庫に余らせがちなおかずも、のり巻きに変身させられるのでは!?と思い立ってしまいました。
そこで持参したのが、4つのタッパー。左から、二本柳の冷蔵庫に余ってた、きのこのオイル煮、キャロットラペ。そして、私が持ってきたひじきのごま和え、キーマカレーです。
▲「お任せあれ!」と頼もしいお二人
おそるおそる「常備菜リメイクのり巻き」という企画を持ちかけた私たちですが、ごはん同盟ののりこさん、ジュンイチさんは涼しい顔。
ジュンイチさん:
「ごはんと合いそうなものなら、たいていは大丈夫だから! やってみましょう!」
果たして、おいしいのり巻きに変身できるのでしょうか?
これはワインがほしくなる!
生ハムで巻いちゃう洋風巻き
まずは、「きのこのオイル煮」と「キャロットラペ」から。どちらもオリーブオイルと塩が味付けのベースとなっています。それらを味見したしらいさんの見立ては、「ワインに合う味」。ならばその方向性に振り切ろうと、のりの代わりになんと生ハム(!)を使うことに。
のりこさん:
「よりワインに合うよう、酢飯に粉チーズを混ぜてみましょう!
これは薄い生ハムなので、2枚重ねにして、のりを巻くのと同じ要領で巻いていきますよ」
「生ハムの場合、のりのようにくっつくわけではないので、最後はラップで巻いてかたちを整えておきます。
ラップをしたまま包丁でカットするときれいに切れますよ」
食べてみると、これはしっかり洋風の味。酢飯に混ぜた粉チーズも予想外の相性です!
ワインに合いそうなのはもちろん、イタリアンの前菜のように食べることもできそうな上品さです。生ハムの塩気ときのこやキャロットラペのオリーブオイルの味もマッチしていました。
▲見事な変身ぶりに、私たち思わず拍手!
のりこさん:
「酢飯を作るのにワインビネガーを使ったり、季節の柑橘を混ぜたりしてもさっぱりしておいしいですよ。ワインビネガーは甘めなので、そのときは砂糖は少なめにしてみてください」
王道の組み合わせ!
余ったキーマカレーで「裏巻き」にトライ
お次は、多めに作って余らせがちなキーマカレー。のり巻きにリメイクできたら子どももパクパク食べてくれそうですが……。
のりこさん:
「カレー味は鉄板ですね。キーマカレーのり巻きはやったこともあります。今回は、タコライス風にしてみましょうか。
せっかくだからご飯もカレー粉とターメリックで黄色く色付けして、裏巻きにします」
ご飯が外側になる「裏巻き」も、手順はかんたん。
普通に巻くときは左右と手前に余白を残しますが、裏巻きは余白をつくらずご飯をのり全面にしき詰めます。そこへ大きめに切ったラップをかけて、くるっとひっくり返します。
ひっくり返した後の状態がこちら。裏巻きの場合、のりの上に直接具材をならべていくんです。
しらいさんが「タコライス風」と組み合わせてくれたのは、千切りしたレタスとスライスチーズ。
ラップを適度にひっぱりながら、ぎゅっと巻いていきます。
一番のコツはご飯・のり・具の位置関係を間違えないこと。要領はのり巻きと一緒です。
ひき肉のぽろぽろとした食感と、シャキッとしたレタス、スライスチーズ、それぞれの食感を楽しめます。ラップサンドを食べているような食べ心地で、ここまでくると、もはやのり巻きの範疇を超えている気がしてきました。
いろんな具を入れられることを考えると、お弁当にも良さそうですね。
▲「これは鉄板だね〜」と、しらいさんたち。本当においしかったです!
ひじきのごま和えに梅をプラス
パクパクいける、さっぱり細巻き
最後は、私が持参したひじきのごま炒め。もともとご飯のお供なので、一番のり巻きにしやすい具材です。
ジュンイチさん:
「ひじきはそのまま巻いちゃってもいい気がします。梅、卵焼き、たくわん、何にでも合うだろうしなぁ……。
今日は細巻きをやっていないので、梅と合わせて細巻きはどうでしょうか」
細巻きの場合は、のり1/2枚を横向きに置き、手前2/3くらいにご飯を置きます。
さらに上下に写真のような山を作り、具を置く真ん中をくぼませるのがポイント。
くぼみに具をしき詰めて、縦ではなく「横から」、具やご飯を押さえながら巻いていけば細巻きの完成です。
甘じょっぱいひじきと梅の酸味がほどよくて、どんどん手が伸びてしまいました。細巻きで一口サイズなのも嬉しいところ。納豆やきゅうりなど、1種類の具のときは細巻きがおすすめです。
のり巻きはきっかけ。「組み合わせの妙」を楽しめたら
今回つくった3種類ののり巻きがこちら!およそ残りものだったとは思えない彩り美しいのり巻き。
ごはん同盟のお2人と、ああだこうだと合いそうな食材談義をする時間もとても楽しく感じました。「ご飯は、だいたい何でも受け入れてくれるから」と、頼もしく頷いてくれることに、のり巻きのポテンシャルを改めて感じました。
▲「大成功!」のポーズをみんなで決めてみました
これまで、難しそう、面倒くさそうで避けてきたのり巻きですが、この日を境に我が家では週一でのり巻きを巻くようになりました。あるときは納豆の細巻き、またあるときはカニカマやきゅうりといった冷蔵庫にあるもので作っています。
「のり巻きはハレの日のごはん」とのりこさんが教えてくれたように、たしかにそこにあるものを巻くだけで、ちょっと嬉しい気持ちになるのが不思議です。
好みの具を選んで作るのり巻きは、例えちょっと不恰好でも愛しいもの。作って嬉しい、食べておいしいのり巻きの魅力を、これからも探求したくなりました。
(おわり)
もくじ
ごはん同盟
ご飯好きの、ご飯好きによる、ご飯好きのための、炊飯系フードユニット。試作係(調理担当)のしらいのりこ、試食係(企画・執筆担当)のシライジュンイチ夫婦による。ご飯にまつわるレシピ紹介やイベントなど多数。著書に、『忙しい朝でもすぐできる ごはん同盟のほぼごはん弁当』、『パラパラじゃなくていい!最高のチャーハン50』(共に家の光協会)など。
ライター 小野民
編集者、ライター。大学卒業後、出版社にて農山村を行脚する営業ののち、編集業務に携わる。2012年よりフリーランスになり、主に地方・農業・食などの分野で、雑誌や書籍の編集・執筆を行う。現在、夫、子、猫4匹と山梨県在住。
【写真】木村文平
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