【来年の私をラクにする大掃除】第1話:料理がしやすく、無駄にしない! 「調味料・食材ストック」の4ステップ片付け術

編集スタッフ 岡本

「やってよかった」瞬間が続く掃除って?

今年ももうあと数日で終わり。来年はどんな一年になるだろうと想像しつつ、まだ手をつけていない「大掃除」の3文字が頭をよぎると、なんとなく後ろ髪を引かれます。

ただ漠然と部屋を片付けようとすると、果てしない道のりに思えてしまう。

なので今年は、「やってよかった! 」と感じる瞬間が、掃除をした後もずっと続く場所に限定して、取り組んでみることにしました。

だから今年の大掃除で手をつけるのは、キッチンと洗面所だけ。

狭い空間に細々したものが集中しているキッチンと、家族みんなが使う公共スペースである洗面所は、特にキレイを保つのが難しい場所だと感じていたからです。

これまで感じていたモヤモヤを解決しつつ、「やってよかった! 」の効果を感じ続けられる掃除術や仕組みを、片付けのプロに教えてもらいましたよ。

お話を伺ったのは、ライフオーガナイザーの下村志保美さんです。

 

自分だけのゴールを作ると掃除がラクに?

下村さん:
「『やってよかった! 』が続く掃除を叶えるために、まずやってみてほしいことがあります。

それは自分だけのゴールを決めること。

『きれいにすること』をゴールにしてしまうと、『また今度でいいか。それほど困ってないし』と、つい片付けない理由を見つけて、中途半端に終わってしまうことが多いんです。

だから一歩踏み込んで、きれいになった部屋でどう過ごしたいのか、具体的に考えてみましょう。

子どもの友だちが気軽に遊びに来れるようにしたい、探し物をなくす時間を減らしたいなど、なんでもOKです。

こうして具体的なゴールを決めておくと、捨てるか迷ったときやどこに収納したらいいか分からないときなど、悩む場面でスムーズに決められるはず。

最短距離で大掃除のゴールへ向かいましょう」

▲家事のモヤモヤの原因のひとつ:どこに何があるかわからないこと。このバスケットは麺類の保存場所としていたはずなのに、いつの間にかなんでも入れになっていました。

▲家事のモヤモヤの原因ふたつめ:買ったことを忘れて余剰在庫を抱えてしまうこと。乾物や缶詰など、食料ストックを入れていますが、何がどれくらいあるか把握しておらず、同じものが出てくることがしばしば……。

下村さんの言葉を受けて、私の場合は「スムーズに家事を済ませて、じぶん時間をつくる」ことを、自分だけのゴールとしました。

それではさっそく、キッチンから片付けを始めていきます。

 


「やってよかった! 」がずっと続く
キッチンの片付け3つのステップ


調味料や食材ストックを「すべて出す」

調味料や食材ストックなど、キッチン戸棚にあるものを出す。ポイントは、「すべて」の物を出すこと。

躊躇するかもしれないが、場所を区切ってしまうと同じステップを何度も行うことになりさらに面倒に。

下村さん:
「キッチンだけでも、こんなにたくさんのものがあるのかと驚きますよね。

これらすべてを、買ったこともしまった場所も忘れずにいるというのは難しいもの。やはり仕組みづくりが必要です。

でも逆に言えば、仕組みさえ作ってしまえば、たくさんのものをしまっていてもきちんと覚えておけるんですよ」

 

4つのカテゴリーに「分ける」

出した物を4つのカテゴリーに分ける。

左上から時計回りに、使った後に「戻す」もの、「使い切る」もの、「賞味期限切れ」「ストック」。

下村さん:
「『戻す』は、使ったあとに棚に戻ってしまうものです。容器に入っている分量すべてを一度に使い切らない、例えば、ごまや乾燥わかめなどですね。出す・しまうと、2回の動作が必要なので、一番便利な場所に収納します。

『使い切り』は、取り出した分をすべて使うため、棚に戻す必要がないものです。出すだけなので、1アクションで済む、ツナ缶や粉末スープなど。

『ストック』は、日々出し入れするものではないので、優先順位は低いのですが、存在を忘れない工夫が必要です。

使いやすく分かりやすい仕組みにすることで、『賞味期限切れ』となるものをゼロにしたいですね」

 

「戻す」食材を、
取り出しやすく戻しやすい場所に収納する

▲密閉コンテナ:手前3つはフレッシュロック、奥3つはニトリのワンプッシュキャニスターです。

カテゴリー別に適所へ収納し、戻しやすく忘れにくい仕組みを作る。基本は、同じ種類や同じタイミングで使うものは、同じ場所に。

下村さん:
「まずはじめに『戻す』カテゴリーのものを、キッチンのもっとも使いやすい場所に収めましょう。

先ほどお話ししたように、この『戻す』カテゴリーは使うたびに2つの動作が発生します。面倒くさいと感じてしまうと、使うことをためらったり戻し忘れたりしてしまうので、特等席に収納するのがおすすめなんです」

岡本:
「我が家のキッチンの場合、食材ストックの特等席はコンロ右横の引き出しですね。塩、砂糖、だしなど、毎日使用する調味料類を、引き出し手前に収納しました」

▲引き出し奥には塩や砂糖などのストックを入れておくことで、残量管理と詰め替えがラクに。

 

「使い切り」食材は、
使用頻度で2ヵ所に分けて収納する

▲よく使うツナ缶を奥に、忘れがちなゼラチンなどはよく目に入る場所に置きました。

下村さん:
次に、『使い切り』カテゴリーですが、これは 1)使用頻度の高いものは、引き出しの奥に、2)使用頻度が低く忘れてしまいがちなものは、引き出し手前と、使用頻度によって2ヵ所に収納します。

あれ?普通は逆じゃないの?と思いますよね。

でも、頻繁に使うものは奥に入れたとしても絶対に忘れないんです。それに、使い切るものなので戻す必要もない。奥にあってもそれほど不便を感じないはずなんです。

もしあまり使わないけど持っておきたいスパイスなんかを、戸棚の奥にしまったらどうでしょう。きっと存在を忘れてしまいますよね。

忘れないためには、目に触れることが大切。あれ持ってたっけ?また賞味期限が切れちゃった……ということがなくなるはずです」

 

詰め替え容器に入れるメリットって?

今まで容器に詰め替え、揃えることでの一番のメリットは、見た目の良さだと思っていました。

でも今回、それ以上に実用面での良さがあることを実感しました。

下村さん:
「詰め替えると、出し入れがしやすくなり、中身が何か、残量がどれくらいか、が一目で分かります。見た目のほかにもメリットがたくさんあるんですよ。

例えば、乾燥わかめを買ってきた袋のまま収納しておくとしますよね。

毎日お味噌汁を作るとき、その都度袋から出し、ジップを閉め、元に戻すという行動は思っている以上に面倒な作業。詰め替え容器に入っていれば、フタの開け閉めもラクな上、口が広いのでわかめ自体も取り出しやすいです。この少しの変化が使い心地の良さに繋がります」

▲買った直後は使ったものの、最近出番の少なかったおから。使いやすくすることで料理に取り入れやすくなりました。

下村さん:
「必ずしも専用の詰め替え容器を用意しなくても大丈夫。空きビンなどでも代用できます。中身が見えない缶に入れる場合は、外から残量がわからないのでよく使うものをいれましょう」

《 詰め替え容器を選ぶときの3つのポイント 》
✔︎収納する棚のサイズに合うこと
✔︎口が広いものを選ぶことで、詰め替えがラクに
✔︎購入したそのままの容量が入るサイズを選ぶ

 

「調味料と食材ストック」の大掃除をしたことで、わたしの料理に対する苦手意識は、キッチンのあらゆる場所で小さく積み重なっていたモヤモヤが原因のひとつだったのかもと気づきました。

この調子でもう少しキッチンの大掃除と向き合ってみようと思います。つづく第2話では、キッチンツールの大掃除についてお届けします。

(つづく)

【写真】鍵岡龍門

もくじ

下村 志保美

投資顧問会社勤務後、出産を機に主婦に。友人へ整理・収納のアドバイスをしたことがきっかけとなり、ライフオーガナイザーの資格を取得。現在は、空間・情報・こころを整えてゆとりある暮らしをサポートする「PRECIOUS DAYS」を主宰している。夫と娘の3人暮らし。 https://rakulife.jp/

 


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