バイヤー　石谷

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「その髪型、似合ってないと思うよ。なんていうかなぁ、性格と真逆をいってるというか」

 

今思えば、なんて率直なんだろう。（笑）

もうずいぶん前のことですが、20代に突入して間もないころ、知人にそう言われました。

その頃のわたしの髪型といえば、今と同じで胸下ぐらいのロングヘア。その知人いわく、わたしは性格的に、短い髪型のほうがイメージに合うと言うのです。

その知人だけでなく、実はわたしは、知り合ってから少し経つと、かなりの確率で「第一印象と違う」と言われます。

何がどう違うのかは詳しく聞いて回ったことはないし、それは髪型のせいなのかは分からないけれど。

でも、より “自分らしい見た目” に近づけるのなら、ちょっと試しに、切ってみようかな。そんな気持ちが湧いてきて。

その数日後、髪を切りました。

それも猛烈に短く。

胸下まであったロングヘアを、耳がかぶるかかぶらないかぐらいのショートに。

 

バイト先で会った、あこがれの女性

「髪を切ったほうが良いよ」と言われて、「やっぱりそうですよね」と即決できたのには理由があって。

その時、憧れの女性がいました。バイト先でお会いした方で、年はわたしよりも10歳上。

そこにいるだけで、なんだか周りまで元気になっちゃうようなパワーがあって、立ち振る舞いがとにかく素敵なひとだった。

彼女もまた当時のわたしと同じ、胸下ぐらいのロングヘアで、仕事するときはいつも後ろで一つに結っていました。

そんな彼女が、「今月の誕生日で30歳になったから」と言って、突然髪をショートに切ってきたのです。

その姿といったらもう、格好良くって。

当時のわたしにとって相当な衝撃だったのと同時に、そこではじめて「理想の大人像」みたいなものができた気がします。

そして思ったんです。わたしも30歳になったら、髪を切ろうと。

(….. 結果的に、30歳をむかえる随分前に、一度切っちゃったわけなんですが。)

 

初めてのショートヘアは苦い思い出

話は戻って、そう、わたしが勢いよく髪を切ったとき。

それはもう、心理的にも体感的にも爽快で。景色が違って見えたのは本当。

だけど、日が経つにつれて段々と、鏡を見るたびに違和感が……。

切った直後の数日間こそ、ヘアスタイルをがらっと変えた効果からなのか、「すっきり〜！」なんて思っていましたが、冷静に見ると全然似合っていなかったのです。

他人からのイメージ、憧れのひと。色々あるけれど、なにが自分にフィットするのかを見つけるのは、時にちょっぴり難しい。

試してみないと分からないことだったけど、初めてのショートヘアは、しっかり苦い思い出となったのでした。

 

さて、なぜこんな話を始めたのかというと、「30歳になったら髪を切る！」と宣言していた、その30歳を先月むかえてしまったから。

短く切るか否か。今迷っています。

昔似合わなかったんだから…… と、封印しそうなものだけど、また試してみたくなるのが人間の不思議。

以前は前髪があったから幼っぽく見えたのかも？　当時からもう十年も経って、顔もちょっと変わってきたことだし、 またチャレンジしてみたら違うかも？　いや〜やっぱりロングの方が良いかな？

『切る？　切らない？　切る？　切らない？』なんて。

脳内花占いが止まらない今日この頃。

フィットする髪型探しは、まだしばらく続きそうです。

 

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