【44歳のじゆう帖】「自分らしさ」と「人目が気になる」の狭間で
ビューティライターAYANA
「人目が気になる」っていけないことですか
日本人は個よりも集団を重んじる……みたいな定説、ないですか。「和をもって尊しとなす」という聖徳太子の言葉がよく引き合いに出されるように、日本人は周りに合わせることを美徳とする。
それゆえに、自分らしさよりも周りの目を気にしてしまう、自分の意見を通さずに周りにあわせてしまう……みたいに言われがち。
まるで、本当は自分らしさを堂々と出したほうがかっこいいのに、みたいな文脈。
これ、本当にそうなのでしょうか? というか、自分らしさを追求することと、人の目を気にすることって、相反することでは決してないような。人の目を気にしながら自分らしさを追求してもいいのでは、と思ってしまいます。
人からどう思われるのかってすごく大切です。
人はひとりでは生きていけないから、いや、究極は生きていけるのかもしれないけど、これだけ人間が存在している世界で、ひとりきりの人生なんてほとんどありえません。
他者から見た自分という人間の印象は、他者にしか決められないもの。それを意識することはごく自然だし、ある種この世界で生きていく大人としての責任、という気もします。
ひとりで決められないのが「自分らしさ」
対して「自分らしさ」っていうのも結構あいまいな言葉です。
みんなそれぞれ個性を持っているのは事実だけれど、その個性にあぐらをかく生き方っていうのもかっこ悪いし、個性を磨いていくにあたってもやはり他者の存在が不可欠になりますよね。
周りを気にせず自分らしさを貫く、というとなんだかかっこいいように聞こえるけど、あの人空気読めないよね、みたいな話と紙一重じゃない?とも思いますし。難しいですよね塩梅が。
そもそもその人らしさって、他者の評価や物差しで決まることのほうが多いような気もします。というのは、他者との関係性のなかで有効なものだから。
親戚の集まりなんかに行くと「世間の目を気にせず好きなように生きてていいわね」みたいに言われることがあるんですが(本当に)、私としては結構人の目を気にしてビクビク人生過ごしてきているので「おっ、そう見えちゃう?」と思います。
たしかに、離婚を2回してシングルマザーでフリーランスで生きていて、みたいな字面だけ見ると、なんか令和っぽ〜い!とか思いますけど、好きでこうなったわけではなく……という感じです。不思議ですよね。
どんな人になりたい?理想を胸に抱くこと
結論としては、自分らしさを追求する気持ちと、人目を気にする気持ち、両方持ってる人がかっこいいんじゃないでしょうか?
で、思います。「自分が人にどう見られたいか」という像を明確に自分のなかに持っていると強いんじゃないか、と。これってつまり「自分はどんな人間になりたいか(理想像)」ということであるし、自分らしさを追求することにも、人目を気にすることにも関係してきます。
理想は崇高なものであってもいいし、ささやかなものでもいいと思う。憧れの人を目指してもいいし、小さな習慣を自分で決めてもいい。
ただ、どうしてそうなりたいの?ってところまで明確にしておいたほうがよくて、その気持ちには嘘をつかないこと。
思えば、私が人目を気にしてビクビクしてたのは「どう思われてるかな」という曖昧なものというよりも「私の理想はこうなんだけど、どう見えてるかな」みたいな感情によるものという気がします。
自分の理想と現実の自分との解離に悩んで、オドオドしていました。そういう傾向は今もあるのですが、昔に比べるとずいぶん減ったなぁと思います。
自分という乗り物の舵のとりかたも少しわかってきたし、理想を目指すにはどうしたらいいか、という道のりも多少見えているからなのかな。
本当は左へ行きたいのに、周りがみんな右へ行くから仕方なく右へ行く、みたいなシチュエーションってあると思うのですが、私はそういうとき、自分がなりたい人はこんなときどうするのだろう?と一度自分のなかで考えてみるようにしています。
そうすると「自分であって自分でないものによる導かれた答え」が見えたりする。結果右を選んだとしても、自分の選択を他者のせいにすることは少なくなるような気がします。
この世のすべては移ろってゆくもの。自分らしさだって人目を気にする意識だって、時とともに磨かれていくものだと思います。
【写真】本多康司
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram:@tw0lipswithfang http://www.ayana.tokyo/
▼44歳のじゆう帖
▼AYANAさんがスタッフの悩み相談に応える連載「メイク迷子のための往復書簡」
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