【44歳のじゆう帖】情報を発信すること、受け取ること
ビューティライターAYANA
テイラー・スウィフトに憧れて
先日、テイラー・スウィフトのドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』が見たくて、ついに禁断のNetflixに加入してしまいました。
テイラーは世界でもっとも有名なシンガー・ソングライターのひとりであり、今はかなりスタイリッシュなイメージですが、もともとは保守的なテネシー州出身のカントリーシンガー。彼女自身「昔から誰から見てもグッドガールであるように振る舞っていた」と言います。
そんな彼女が、エンタメの世界で波風立てないようニコニコ笑ったり、素敵に見えるよう過激なダイエットをしたりして、周りが求める自分像を必死に作っていく。そうしてポップスターとしての地位を築いたときにふと、自分自身を大切にしていなかったことに気づくのです。
そこで、本当はおかしいと思うことを言わずに飲み込む必要はないし、食事は生きるためのエネルギーであるべきだし、嬉しいことがあったとき、そばにわかちあえる人がいるのが幸せ。そういうことにどんどん思い至っていく。
いろいろな歪みに気づいた今のテイラーは、歌う内容も変わり、SNSで政治のことも臆せず発信しています。『ミス・アメリカーナ』には、彼女がそこに至るまでの成長が描かれているんです。
彼女はもともと非常に思慮深くて賢い人。だから感情のままに発信なんてしない。自分の影響力をわかっていて、それをどう使うかを熟考し、言葉を選んで、その上で戦っていく。正直に生きるその姿は、多くの現代人を励ますもので、なんてかっこいいんだろうと憧れてしまいます。
情報とのつきあいかたを考える
我が家にはテレビがありませんので、世の中のニュースはネットから仕入れます。なかでも私がよく使っているのがTwitterです。
Twitterに流れていく情報は玉石混淆で、そこはいち個人が感情をぶちまけたものと公的機関の公式発表が同じタイムラインに並ぶカオスな世界。精神の健康や情報リテラシーが問われる部分も非常に大きいですが、だからこそすごく面白いと思っています。
ここ数ヶ月は、首相や都知事の会見を含めた様々なニュースをTwitterで確認することができて、本当に便利で助かりましたし、時代は変わったなぁと思いました。昔は「渋谷なう」とかつぶやくようなパーソナルなSNSだったんですが。
テレビで、雑誌で、新聞で、こんなことが報道されていたという情報もよくあがってきます。そこで改めて「どのメディアも同じように情報リテラシーを問われるのだな」としみじみしてしまいました。
テレビのワイドショーで喋っているコメンテイターは本当にその道のプロなのか。扱われている画像は故意に切り取られたものではないのか。情報のソースは信用できるものなのか。そういったことを巧みに判別する力が問われている。
それはおそらく今にはじまったことではないのですが、目の前に出された情報を疑ってみることを、これまでの私たちは習慣としてまだまだ持っていなかった、ということなのかもしれません。
完全なものは存在しないからこそ
SNSやメディアを見ていると、人は「完全なる正義」や「誰もが納得できる正解」や「隠された真実」への憧れをどこかに抱く生き物なのかもしれない、と思います。
特に先行きのわからない不安な日々のなかでは、その色彩は色濃く出てきやすい。私もそうです。「わからない」という状況はあまりにもつらいから。
でも本当は、正義と悪はきれいに線引きできるものではないし、ものごとはそう単純にはできていない。歳を重ねるたびに実感します。完全にいい人はいない、ということは完全に悪い人も?
SNSやメディアで取り上げられるトピックス。例えば「この国は」「男は/女は」「シングルマザーは」「育児は」「今年の流行は」「若者は/高齢者は」「恋愛は/結婚は」。これらの大きな主語には、ある種理想の形があるように語られることも多いものです。
しかしその中身は実は意外と多彩であって、その定義を言い切ることは非常に難しく、その難しさを抱えながら、それでも自分の足で、自分の目の前に広がる景色を大切に、ひとりひとりが歩いていかなければならないのだな、と思うのです。
だからこそ、自分で考えて自分の足で歩いているテイラーが眩しく見えるんですよね。
【写真】本多康司
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram:@tw0lipswithfang http://www.ayana.tokyo/
▼AYANAさんに参加してもらい開発した、オリジナルのメイクアップシリーズ
KURASHI&Trips PUBLISHING
メイクアップシリーズ
▼AYANAさんも立ち会って制作した、スタッフのメイク体験スペシャルムービー
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