【真夏のおしゃれ道場】おしゃれの肝は小物にあり。カジュアル迷子さん必見「小物づかい入門編」
編集スタッフ 小林
本当はもっとおしゃれを楽しみたいけれど、そもそもどうしたらいい感じになるのかわからない……!
そこでこの特集では、大人のおしゃれのコツを、プロに教えていただく「真夏のおしゃれ道場」を開催。
スタイリストの植村美智子(うえむらみちこ)さんに、わたし・小林が弟子入りし、おしゃれの基本を全3話で伝授いただいています。
第1話は「Tシャツ入門」、第2話は「ワンピース入門」と続いてきた道場ですが、ここまできて気がつきました。
「あれ、洋服が同じでも、小物でかなりおしゃれ度が変わるのでは?」
そこでこの最終話では、小物づかいについて、師匠の技を学びます。気になる植村さんの私物もたくさん見せていただきましたよ。
「なんだか素敵」の鍵は小物にあり?
▲2話目で実践したワンピース。どちらもサンダルとカゴバッグの組み合わせなのに、全く違う着こなしに!
ここまで「ラフなのに、なんだか素敵」な人を目指して稽古を受けてきましたが、「なんだか素敵」の部分には小物のパワーがあるような気がしてなりません……!
植村さん:
「確かに小物づかいで、だいぶ変わります。これは靴の例が一番わかりやすいかもしれません。シンプルなTシャツとジーンズの組み合わせでも、革靴、サンダル、スニーカーで、それぞれ全然違う印象になりますよね。
さらにサンダルといっても、いろいろな種類のものがあります。素材や色、形などそれぞれに違う個性があり、小さな差でも、どれを選ぶかで印象がガラリと変わるもの」
植村さん:
「それが靴だけでなく、カバンや、アクセサリー、眼鏡やスカーフなど、多岐にわたるからこそ悩みも尽きないのですが、小物選びひとつで、自分の身体や気分の変化に合わせた着こなしができるようになります。
今回は小林さんの理想である『ラフなのに、なんだか素敵』な人に近づくために、おすすめできそうな小物選びの技をいくつかご紹介しますね」
おしゃれの技・その1
– ラフな服に効果てきめん「華奢サンダル」-
植村さん:
「ラフな服装に上品さを足したい、ということであれば、サンダルは華奢なものがおすすめ。ここでいう華奢というのは、『靴底の面積が小さい』もののことです。
ここにあるサンダルは、実際に履いてみたとき、限りなく靴底の存在感がありません。自分の足の形よりも、靴底の方が細身になっていると言うと、よりわかりやすいでしょうか。
全く同じサイズでも、実は靴底の形には違いがあるもの。ついデザインに目が行きがちですが、実は靴底の形ひとつでも印象が変わります。つま先が丸い靴と、尖った靴で印象が変わるのと同じですね。
たとえヒールが無くても、靴底が華奢なものであればあるほど、より繊細で、大人っぽい印象になります。逆に自分の足よりも靴底の方が大きく、存在感が強いものを選べば、カジュアルな印象に近づけることができますよ」
おしゃれの技・その2
– きちんと感アップの「眼鏡とスカーフ」-
植村さん:
「ビッグTシャツを着たときにも登場しましたが、眼鏡ってものすごく使えます。
ちょっとカジュアルすぎるかな?と思うときは眼鏡をかけると、コーデが一気に引き締まりますし、気をつかっている感じが出ますよ。
わたしが持っているのはこの2つだけですが、それでも十分。複数買う場合は、かけたときに、それぞれ違う印象になるものを持っていると役立ちます。色や形はお好みのもの、ご自身に似合うものでいいと思いますが、少し主張のあるものがオススメ。OFF感が出ないデザインがいいと思います。
またわたしの場合、スカーフは首元に巻いたり、ヘアバンドのように頭に巻いたりして使うことが多いです。
色や柄も様々なので、自分好みのものがきっと見つかりますし、ラフな服に合わせると艶っぽさを足してくれるので便利。意外と相性がいいので、是非試してみてください」
おしゃれの技・その3
– 大人カジュアルには「繊細アクセサリー」を-
植村さん:
「アクセサリーの色や形などは、あくまで好みが分かれると思うのですが、カジュアルな洋服に繊細なものを合わせるのはおすすめです。
デザインが凝っているものでも、線が細いものを選ぶとよりシックな印象になります。またガラス素材のものは顔まわりを明るくし、透明感引き出してくれるので、個人的にも重宝しています。
わたしは顔だちがコンサバなのですが、カジュアルな服装が好き。なので普段の買い物では『さりげない存在感』をテーマに、カジュアルな服装と自分の顔だちを繋げてくれるものを買うよう心がけています」
どんな人になりたい?が、おしゃれの一番のコツ
植村さん:
「今回こうしてお話していますが、わたしも今までたくさん失敗してきました。本当におしゃれって、正解がない。変わっていくからこそ難しいなと思います。
けれどたくさん迷ってきて思うのは、どんなテクニックよりも『自分がどんな人になりたいか』を考えることが、おしゃれの一番大事なコツだということ。
憧れの女優さんでもいいし、小説の中のキャラクターでもいいんです。そして買い物をするときに『憧れのあの人はこれを買うかな?』と考えてみる。
今はブランドものを買わないとおしゃれではない、という時代では決してありません。そして世の中は本当に数多くの、素敵なもので溢れています。
だからこそ、その中から、自分が心から素敵だなと思えるものを選べようになること。そしてそれを自分らしく身につけるために、考えること。おしゃれとは何かと言われたら、それに尽きると思います」
植村さん:
「正直、極端なことを言ってしまえば、おしゃれに気をつかわなくとも生きていけるし、困ることはありません。
けれど、自分が素敵だなと思う洋服を身につけたときや、なんか今日の自分好きだなと思えるその一瞬が、ともすると自分の人生を大きく救うことだってあるかもしれない。
それを知っているからこそ、難しいなと思っても、おしゃれは辞められないし、楽しくてしょうがないんですよね」
今回のおしゃれ道場を終えてから、以前は考えていなかった洋服の組み合わせがぐんと増えました。
飛び級でおしゃれにはなれないので、あくまでも自己満足のようなレベルです。そして特別、誰かに褒められることだってありません。
けれど本当に、すごく楽しいです。今まで自分のために、自分がどうなりたいかを真剣に考えることが、意外となかったから。
8月に入ったとはいえ、夏はまだまだこれから。皆さんにも、自分のための、とびっきりのおしゃれを楽しんでいただけたら嬉しいです。
Photo:濱津和貴
もくじ
植村美智子
スタイリスト。雑誌や広告などで活躍し、2010年より個人向けファッションコーディネートサービス「Liltin’(リルティン)」もスタート。著書に『洋服の選び方』(マイナビ出版)、『「今の自分」に似合う服』(天然生活ブックス)などがある。
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