【真冬のおしゃれ道場】楽ちんに、罪悪感なく過ごしたい。悩ましい「部屋着おしゃれ対策編」
編集スタッフ 小林
おしゃれ初心者の私・スタッフ小林が、おしゃれについて学ぶ「真冬のおしゃれ道場」。
この特集では全2回にわたって、真冬のおしゃれの悩みをスタイリストの植村美智子(うえむらみちこ)さんに相談します。
本日の道場テーマは「部屋着」。とにかく楽なものしか着たくない私ですが、ふと鏡に映った自分を見て、とてつもなく落ち込んでしまうことも。
だけどせっかくのおうち時間、できるだけハッピーでいたい! というわけで今回は「おしゃれの力」で、いつもの部屋着が素敵になる方法を植村さんと探っていきます。
楽だから大好き。だけど鏡を見て落ち込みます……
お休みの日や、今日は絶対外に出ないぞ〜という日は、とことんお家時間を楽しむために楽ちんな格好をしています。
パジャマではないのですが、ほぼ寝巻きと言ってもいいほどのもの。ルームウェアといえば聞こえはいいけれど、実際に着ている姿を人に見せるのは恥ずかしい感じ。もちろん、着ていてすごく楽だから、大好きな服ではあるんです。
ただその格好で、大好物のポテトチップスを食べながらドラマを何本か観て、よいしょとトイレに行ったあと。ふと鏡に映った自分を見て、絶望的な気持ちになってしまい……。
せっかくのお休みの日、好きな時間を過ごしてハッピーなはずなのに、自分の装いひとつで落ち込んでしまうという悩みを解決したいです。
植村さん:
「私もこういった仕事をしていますが、家では本当に楽な格好しかしたくないので、その気持ちはものすごくわかります。
そもそも部屋着って、本人が心地良ければ、別に何を着たっていいと思うんです。ずっとおしゃれでいようとして苦しむよりは、無理せずに、一番リラックスできる格好で1日を過ごす。それこそとても幸せなことなんじゃないかなと、個人的には思います。
ただ小林さんの場合、好きなことをしているはずなのに落ち込んでしまうということなので、楽ちんさはそのままに、少しでも気分が上がるような解決策を考えてみましょう」
おしゃれの技・その1
– 上下セットはバラして着るべし –
恥を忍んで、頑張ります。まずは一番お気に入りの部屋着から。
上下ともにフワフワの毛布みたいな部屋着は、暖かくて楽ちんなので、昨年はほぼ毎日のように着ていました。ただしこの格好で宅配便を受け取るのは躊躇してしまいます。
なんとか今年もこれを着たいのですが、もうちょっとおしゃれな着こなしにならないものでしょうか?
植村さん:
「部屋着を少しでもおしゃれに、自信を持てるよう着こなすなら、上下セットをバラして着る、というのは一つの方法として有効だと思います」
植村さん:
「今回は上はそのままに、パンツだけ変えてみました。いわゆるルームウェアって上下セットで売られていることが多いですが、そのままセットで着ると本当に<ルームウェア感>が出やすいのも事実。
もちろん夜など、リラックスしたいときこそ上下セットで着るのがいいと思うのですが、日中に難なく郵便を受け取れるくらいの着こなしに調整したいなら、ぜひ試してみてください。
ウエストゴムや、とろみ素材でリラックスできるものなど、楽ちんなものでいいんです。頑張る必要はありません。
ひとまずセットじゃない服を合わせてみるだけで、意外とおしゃれになることがありますよ」
試しにスニーカーとバッグも合わせてみましたが、違和感なし。このコーデなら、このまま近所のスーパーへ買い物にも行けちゃいそうです……!
どうやらアイテムの色がまとまっているのも、スッキリおしゃれに見える秘訣なんだそう。
今回はインナーに着ていた白スウェットに合わせて、パンツを白に変えたことで、ごちゃっとせずにスッキリ。大人っぽく着られるようになりました。
ちなみにこのパンツは元々、外出着として購入したもの。
けれどウエストゴムで幅もたっぷりあるから、お家でゴロゴロするのに意外とぴったり。手持ちの楽ちんな洋服を、部屋着と組み合わせて使えばいいんだ!と、なんとも嬉しい発見でした。
おしゃれの技・その2
– スウェットパンツは「柄や羽織」を足して –
次は定番だけど、なかなか難しい部屋着。シンプルな、上下セットのスウェットです。
先ほどの教えから、上下別々に着ればおしゃれになれそう!ということはわかりました。とはいえこのスウェットパンツには一体何を合わせたらいいのか、とんと見当がつきません……。
植村さん:
「スウェットパンツは本来合わせるもので、印象が大きく変わるアイテム。もしも外出着として考えるならば、少しきれい目のものを合わせるといいと思います。
ただ今回は部屋着として、楽ちんさはそのままに少しOFF感を減らす、というテーマ。であればトップスは、カジュアルで楽な素材・シルエットのものがいいですよね。
なのであまり細かいことは気にせず、まず柄物のトップスに変えてみましょう。それだけでも顔まわりに活気が出て、ぼんやりした印象を避けられると思います」
植村さん:
「さらに上からカーディガンなどを羽織ると、着こなしにリズムが生まれ、ちゃんとおしゃれに気を遣っている感がでます。
今回はロングカーディガンで、縦にすらっと見えるようにしました。パンツの見える面積が減ったことで、寝巻きっぽさもより減ったかなと思います。
羽織るものはご自身のお好みでいいと思うのですが、少し上品な質感の生地を選ぶと、こうした上下共にカジュアルな部屋着でも上手にカバーしてくれるので重宝すると思います」
おしゃれの技・その3
– ニットスカートを取り入れてみよう –
もしも今年、何かおしゃれな部屋着アイテムを買い足すなら、おすすめなどはありますか?
植村さん:
「部屋着って動きやすさからパンツを選ぶことも多いのですが、ボトムスをスカートに変えるだけで、すごく寝巻き感が減ると思います。
特に私が実際に重宝しているアイテムでいうと『ニットスカート』がおすすめ。
主に外出着として買う方が多いと思うのですが、部屋着としても非常に優秀。ちゃんと暖かくて、楽ちん、可愛い、シワもあまり気にならない、といいことづくめです」
▲ウエストもこのように伸びるものが多く、見た目以上に楽ちんなのだそう!
植村さん:
「ちょっとした外出着としても着られますし、なんならペチコートのように、ワンピースや他のスカートの下に仕込んで防寒対策アイテムとしても使えます。
最近はいろいろなお店で取り扱っているので、色・柄・かたちなど幅広く見つかると思いますが、なるべく長めの丈を選ぶと今っぽいおしゃれになると思います。もちろん暖かさの点でも、長めの丈を選ぶのが個人的におすすめです」
おしゃれ道場を経た週末。やはりどっぷり疲れていたので、ゴロゴロしながら時折柿ピーをつまみ、撮り貯めておいたドラマを観て、1日が終わりました。
ちょっと前だったら「ああ〜やってしまった」と、自分が好きでしたことにも関わらずズーンと気分が重くなっていたのですが、格好が変わるってすごいです。
ふとしたときに出しっぱなしの本をしまうとか、次のトイレットペーパー出しておくとか。ほんのちょっとのことができる、エネルギーが湧く。結果、だらだらしていたけれど、なんだかほんのり達成感がありました。
本当におしゃれの力はすごい。頑張りたいときも、疲れているときも、もちろん気温や体調の変化にだって。毎日の暮らしに寄り添って、いつでも私たちの心をひっそり支えている。
だからやっぱり上手くできなくたって、流行を知らなくたって、「おしゃれ」はやめられない。
皆さんにもぜひ「真冬のおしゃれ」を楽しんでいただけたら、嬉しいです!
(おわり)
Photo:濱津和貴
もくじ
植村美智子
スタイリスト。雑誌や広告などで活躍し、2010年より個人向けファッションコーディネートサービス「Liltin’(リルティン)」もスタート。著書に『洋服の選び方』(マイナビ出版)、『「今の自分」に似合う服』(天然生活ブックス)などがある。
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