【親子で取りくむ収納】第4話:春から入学。学用品の収納で準備しておきたいものは?

ライター 嶌陽子

子どもの収納について整理収納アドバイザーの水谷妙子(みずたに・たえこ)さんに教わる特集。

第1話では水谷さんが様々な経験の末に辿り着いた「無理をしない収納」について、第2話ではおもちゃ、第3話では衣類の整理収納アイデアを紹介しました。最終話の今回は、学用品編をお届けします。

この春から我が家の子どもも小学生に。どれくらいものが増えるのかな、どんなふうに収納するのがいいんだろう……。何もかもが未知の世界だけに、漠然とした不安を感じています。

そんな私に水谷さんがくれたのは、実用的かつ肩の力が抜ける温かいアドバイスでした。
第1話第2話第3話

 

事前の準備はしすぎなくてOK。まずはスペースだけ用意

▲小学生の長女の学用品スペース。上段は日々使う学校の教科書やノート、ドリル、習い事のグッズ。下段は学期末に持ち帰る鍵盤ハーモニカや絵の具、お道具箱などの置き場所

教科書やノート、ランドセルなど、いろいろなものが一気に増えそうな春。これさえ準備しておけば安心!というような収納グッズはあるのでしょうか。

水谷さん:
「何をどうやって収納するのかは、学校が始まってしばらく経ってみないとわからないもの。事前に準備しすぎず、ひとまずスペースだけ作っておけばいいと思います。

娘が小学生になった時の経験から言えば、1年生はそれほど教科書の量も多くないので、たまに持って帰る絵の具やお道具箱などの置き場も含め、目安としてカラーボックス2台分ほどのスペースがあるといいかもしれません。

ランドセルは、我が家では教科書などを置いている棚の側面にフックをかけて収納。この周りに帽子、上着、水筒など、毎朝持っていくものをまとめています。こうすると朝の身支度がスムーズなんです」

 

学期末が収納を整えるベストタイミング

▲学期末に絵の具を持ち帰った時点で減り具合をチェック。買い足すものを子ども自身に書き出してもらう

水谷さん:
「学校生活を送るにつれ、 『毎日こんなものを持って帰るんだ 』『こうやって分類すれば便利かも 』ということが少しずつ分かってくると思います。

1学期が終わった時がよいタイミング。1学期のものを整理して、2学期に向けて足りないものを補充したりしつつ、どんなふうに仕分けると使いやすいか、子どもと一緒に考えながら収納を整えるのがおすすめです」

▲分類するジャンルを決め、ファイルボックスに分けて収納。ラベルはマスキングテープにペンで書くだけ。子どもが自分で書いた。

仕分けのラベル、補充リストも子ども自身に書いてもらうのが水谷さんの流儀。ノートを見せてもらっていたら、こんなかわいい工夫も発見。

水谷さん:
「気がつくとノートが残り0ページになっていて、夜に言われて困ったことが。それ以来、残り5ページくらいのところにリマインドの付箋を貼るようにしたんです。

言葉は娘が自分で考えて書きました。そのほうが心に残るし、自分ごとになるかなと思って」

どんな小さなことでも子どもと一緒に。それが子どもの生活力を育てることにもなりそうです。

 

プリントは、子どもがもらった時に仕分け

▲学校で保護者向けのプリントをもらったらその場で青の専用ファイルに分けて入れるというのが水谷家の仕組み。

子どもの学習用、保護者向けなど、数も種類も多そうな学校のプリント。水谷さんはどうやって管理しているのでしょうか。

水谷さん:
「娘が学校でプリントをもらった時点で、保護者向けのプリントは別ファイルに分けてもらうようにしています。

帰宅した時に保護者向けのプリントを親に渡すのが習慣。もらった時点である程度仕分けしておくと後がスムーズです。

子どもからもらった保護者向けプリントは学校、学童保育、習い事など、ジャンル別に色で分けてバインダーに。私が長時間過ごすダイニングテーブルからすぐ手の届く場所に置いています」

▲見終わっても取っておくプリントは椅子のすぐ後ろの戸棚にあるファイルにしまう。全てが座ったままでできるから無理なく続く。

水谷さん:
「子どもの使用済み学習プリントもたくさん発生するので、それを入れておくファイルボックスもひとつあるといいと思います。

我が家では、学年末のタイミングで取っておきたい教科書、プリント類をまとめて扉つき収納の中の2軍コーナーにしまっています。輪ゴムで束ねて付箋をつけるだけというシンプルな収納法です」

こうしたアイデアの数々も、しばらく学校生活を送りながらいろいろ試してたどり着いたもの。

水谷さん:
「入学してすぐは、子どもも新しい環境に慣れるのに必死。整理収納や片づけができなくて当たり前です。最初から多くを求めすぎず、のんびりやっていけばいいと思います。2学期くらいからできるようになれば上出来だと思いますよ!」

 

整理と収納は、子どもや暮らしとじっくり向き合う行為

全4回にわたってお届けした、子どもの収納に関するノウハウ。

整理収納の正解はひとつではなく、家族の暮らし方や子どもの成長に合わせて何通りもあること。失敗しながらその時のベストを探っていくのが大事だということ。そんな水谷さんの話が深く心に残りました。

水谷さん:
「雑誌やSNSに載っている美しく整った収納だけ見ると、最初から完璧にできると錯覚してしまいがち。

でも本当に大事なのは、そこに至るまでにトライアンドエラーを繰り返しながら、どうやってモノと向き合っていくかを一人ひとりが考えることだと思うんです」

ひとりで抱え込まず、家族と一緒に無理なく続けられる収納をゆっくり作っていけばいい。そう思うと、面倒だと思っていた整理収納が少し楽しみになってきました。

春から新生活。焦らずのんびり、整理収納や片づけを通じて子どもと向き合っていきたいと思います。

 

【写真】大森忠明

 

もくじ

 

 

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水谷 妙子

整理収納アドバイザー。夫、8歳の娘、5歳と3歳の息子の5人暮らし。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務める。手がけた商品は500点超、調べた他社商品は5000 点超。2018 年に起業し、雑誌やテレビなどで活躍中。著書に「水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び」(主婦の友社)など。WEBサイト:「ものとかぞく」http://taekomizutani.com/ Instagram:monotokazoku

 

ライター 嶌陽子

編集者、ライター。大学卒業後、フリーランスでの映像翻訳や国際NGO職員を経た後、2007年から出版社での編集業務に携わる。2013年からフリーランスで活動を始め、現在は暮らしまわりの記事や人物インタビューなどを手がける。執筆媒体は『天然生活』『クロワッサン』『日経ウーマン』など。プライベートでは1児の母として奮闘中。


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