編集スタッフ　齋藤

▲ma-products（マープロダクツ）

誰もが持っていそうな洋服だとしても、ジュエリーを合わせるだけで、ふいにその人らしさがあふれだす。まるでおぼろげだった輪郭が、急に鮮明になるように。

それは例え、一目惚れで選んだものでも、誰かが選んでくれたものでも、等しく。

私はなんだか宝石箱の中には、持ち主の大切な人生が詰まっているような気がしてならないのです。例えおもちゃの指輪であったとしても、何かが揺り動かされて選んだのであれば、その人にとっては何にも替えがたいもののはずだから。

あなたの宝石箱には、何が入っていますか。

そんな質問を、当店スタッフにしてみました。誰かが集めた物たちの愛しさに、ちょっとだけ、触れてみたくて。

 

Episode 07：Tanaka

まるで近所に住んでいるお姉さんのような……。

当店で編集を担当している田中。彼女に会って、昔から知っていたかのような身近さを感じた人は、きっと私だけではないはずです。

飾らない会話であるとか、すぐに思っていることが顔に出るところであるとか（本人は隠しているつもりのはず）、どうも憎めない。あまりの人間臭い姿に、生暖かい春の風に吹かれたように心がゆるみ、思わず笑ってしまう。「ちょっとお姉ちゃん！」と言ってしまいたくなる。

まるで、家族のような気持ちに人をさせてしまう人なんです。

アクセサリーには装飾品として自分を良く見せる効果もあるけれど。田中のアクセサリーの選び方はまるで自分の一部を探しているかのよう。

誰もに親近感を抱かせる、彼女ならではのもの選びな気がしました。

▲sur（サー）

 

おしゃれはしたい
でも、着け心地も大事

▲ma-products（マープロダクツ）

田中：
「私、見た目がステキで、そして付けてみたときに違和感を感じないものをずっと探しているんです。それは装飾品に限らず、洋服も。

重さだったり、触り心地だったり、なにかふとしたものが『ちょっと違うかも』に繋がると、その違和感にばかり注意が向いてしまう。

だから見た目も付け心地も、自分に無理のないものを買いたいなと思っています」

▲cicafu_metalworks（チカフメタルワークス）

田中：
「イヤーカフも指輪も、この視点を大切に選びました。

指輪はma-products（マープロダクツ）のもの。私の指に合うものがなくずっと探していたのですが、多角形がうまく指に引っかかってくれて、これなら自分の定番にできそうと思えたんです。

そしてcicafu_metalworks（チカフメタルワークス）のイヤーカフ。軽くてささやか。これなら付けていても違和感を感じなくて済みます」

 

これでも、私にとっては大振り

▲petite robe noire （プティローブノアー）

田中：
「当店でも取り扱っているpetite robe noire （プティローブノアー）。5年前くらいにバイヤーの加藤に聞いて知ったブランドです。

取材など外部の方に会う時に、ちょっと存在感があってシンプルなものが欲しいと思っていたんです。白だときちんと感が出ると思って、これにしました。

2センチくらいのピアスなんですが、私にとっては大振り。

大きな指輪やイヤリングをしている人に憧れてはいるんですが、ストールやイヤホンに引っかかりそうとか、ちょっと早歩きすると落としそうとか、日常の振る舞いがぎくしゃくてしてしまう気がして、自分にはちょっと違うかもと思ってしまうんです」

田中：
「ビーズの指輪はSUNNY CLOUDY RAINY（サニークラウディーレイニー）で購入しました。これも存在感がそんなになく、自然に身に付けられるのでお気に入り。

ビーズに対してはどうしても子どもの頃の遊んだ記憶が強く、大人っぽく付けられる気がしてなかったけれど、この指輪のおかげで印象が変わりました」

 

 

ジュエリーがくれる
小さなパワーたち

田中：
「主張がそんなにないアクセサリーばかりなので、あまり人にはわからないかもしれないですね。けれどお守りのように、自分が好きだから付けています。

西荻窪にあるセレクトショップ『ミース』で購入したブレスレットも、とても繊細。

真夏にシンプルな服装が多いので、もうちょっとおしゃれをしたいなと感じて購入しました。細くて、身に付けていて何も感じないくらいの存在感で、私に丁度良いなと思って。紐がシルクだから着け心地も良く気に入っています」

▲ma-products（マープロダクツ）

田中：
「こうして持っているものをずらっと見ると、本当に身に付けていて気にならずに済むかという視点で選んでいますね、私。

けれども何も身に付けなくて良いかというと、それも私にとっては少し違うんです。

日々に力をくれるから、おしゃれはしたい。自分の背中をプッシュしてくれるものって、とても大切。だからアクセサリーも身に付けていたいと思っています。

けれどそんなに大きな力でなくて良くて、小さな活力をくれたら良いなと思うんです。お気に入りの指輪をはめただけで、小さく『よし』と思えるような。

例えそれが自分にしかわからないくらいの存在感でも、きっと見えないところで、変化は起きているのだと思います」

 

Photo : Kazumasa Harada
Styling : Maki Taniyama

 

田中

愛知県出身。歴史と山が好き。体も心も風通しをよくしておきたいから、朝の散歩が日課。風と光が栄養源。最近丘の上の家に引越しをしたばかり。

 

もくじ

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