【暮らしのみずうみ – 松本便り】第9話:我が家の小さなテレビ革命。
ライター 桒原さやか
「ここにテレビがなかったら、いいのにねぇ」
夫と家の話になると、よく話していることです。
リビングにあるのは、横幅90センチほどのテレビ。ここにあると、置きたい場所に家具が配置できず、どうしてもインテリアの自由度が減るんです。でも、映画を見るのが夫婦揃っての楽しみでもあるので、テレビをなくすほどの勇気もありません。そんなわけで、大きな黒い画面を目にするたびに、ちょっとうらめしい気持ちになっていました。
「リビングにあるテレビ、プロジェクターにするのはどう?」
ある朝、夫のこの一言を聞いて、スッと目の前が明るくなったのでした。
もしテレビをプロジェクターに置き換えることができたら、インテリアの悩みは解決するし、さらに、今より大きな画面で映画も見られるようになる。これで悩みが全部解決するかもれしない。そんな期待を胸に、調べてみることに。
設置位置はどうするか、明るい部屋でもちゃんと見られるのか、スクリーンの選び方も重要らしい……。考えることがたくさんあり悩んでいたところ、ちょうど検討中だったプロジェクターの貸し出しサービスを発見。早速、お願いしてみることにしました。
試しに設置してみると、迫力満点の大画面に夫もわたしも大興奮!
横では、子どもたちがわーー!と拍手しています。
一番明るい時間帯でなければ、昼間でも十分楽しめることもわかりました。昼はほとんどテレビを見ない我が家にはちょうど良さそうです。こうして、とんとん拍子で、プロジェクターが我が家にやってくることが決まったのでした。
使い始めて、2ヶ月。
嬉しい変化がいろいろ起きています。
まずは、映像に向き合う気持ちが以前と違うのです。大きなスクリーンを前にすると、「今は映像に集中する時間」という感覚になります。
「暇だから、なんとなく見る」から、「見たいものがあるときだけ見る」というように、家族の意識が変わったのです。スクリーンを片付けると、視界にテレビが見えないというのも大きいかもしれません。
以前は家事をしている時間、子どもたちにテレビを見ていてもらうことが多かったところ、今では「絵の具でねこの絵をかくー!」とか、「ブロックでお城をつくるー!」といった具合に自分たちで遊びを考えるように。こんなふうに時間を過ごすことができたんだ……!と、親の方がビックリしています。
また、もともとテレビが置いてあった場所には、あたらしくソファを迎えることに。お茶を飲んだり、のんびりしたりして、家族でここで過ごす時間が増えました。
選ぶ道具によって、こんなに生活って変わるものなんだ。
プロジェクターが我が家にやってきてから、毎日のように感じていることです。
でもよく考えると、今住んでいる家も、仕事も、毎日の生活も、小さな選択の積み重ねで出来ているんだな、とも。選ぶって全部に繋がっているのかもしれません。プロジェクターをきっかけに、そんなことが頭をぐるぐると巡っています。
さて、テレビがひと段落ついたところで、次に気になっているのは冷蔵庫。我が家にあるのは二人暮らし時代から使っていた、150センチほどの小さなもの。まだまだ使えるので買い換えるのは先になりそうですが、大きな冷蔵庫がやってきたら、生活もまたガラッと変わりそうな気がしています。
ライター・エッセイスト。岐阜県出身。『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていたスタッフ。退職後、ノルウェーにある北極圏の街、トロムソに住んでいた。現在は長野県松本市でスウェーデン人の夫と2歳と4歳の子どもの4人暮らし。
著書は2023年4月に発売の「北欧の日常、自分の暮らし- 居心地のいい場所は自分でつくる -」(ワニブックス)。その他、「北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし」(ワニブックス)、「家族が笑顔になる北欧流の暮らし方」(オレンジページ)がある。
instagram:@kuwabarasayaka
撮影:清水美由紀
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