【暮らしのみずうみ – 松本便り】第10話:全部が思い通り、ではないけれど。
ライター 桒原さやか
以前から気になっていたのが、庭にあるコンクリートスペース。我が家は坂の途中に建っていることもあり、ここは傾斜があるんです。
椅子を置こうにも、斜めになっているおかげでどうも安定せず。それならば、芝生はどうかと考えてみるも、コンクリートなのでそれも難しい。もっと使いやすく、居心地よくするにはどうしたらいいのか? いいアイデアがなかなか浮かばず、後回しになっていた場所でした。
引っ越して2年半ほど過ぎ、家の中もだいぶ落ち着いてきた今、ようやくこのスペースに真正面から向き合うタイミングがきたようです。
さて、この場所をどうしようか?
連日、うーんうーんと夫と腕組みながら話し合った結果、ウッドデッキを作ることにしました。
いちばんの理由は、ウッドデッキにすることで、傾斜部分をフラットにできること。今まで使えなかったスペースが、テーブルや椅子を置いて、家族で過ごせる場所になったらいいなと思ったのです。
▲近くにあるホームセンターで資材を調達
まず最初に取り掛かったのはオイル塗り。塗っては乾くのを待つ。これを繰り返すこと、3回。地味に大変で時間もかかりますが、大事な作業です。
次は土台部分を作っていきます。ここが一番時間がかかった作業。傾斜があるので、土台は高さの調節が必要です。ひとつひとつ高さを変えないといけません。
▲右下がりに傾斜がついています
土台が出来たら、あっという間。板を並べて、次から次へとギュイーンとビスを打っていくだけ。今まで大変だったのがウソみたいに、土台が出来上がってからは、驚く速さで完成したのでした。
天気がよくあたたかい日はここに椅子を持ってきて、コーヒーを飲んだりおやつを食べたり。子どもたちは外で食べるのがとにかく楽しいようで、カレーライスやスープなどの簡単な食事もここでよく食べるようになりました。
ウッドデッキの奥にある部屋は、夫と私のオフィスがあるのですが、仕事に疲れたら休憩がてら外に出るように。気軽に外が味わえるので、家が広くなったような気分です。
我が家は築43年、純和風の中古物件。
引っ越してからは、夫と私のふたりで少しずつ家を直しながら住んでます。
中古物件ということもあり、全部が思い通りというわけでもなくて。正直こうだったらいいのになぁと思うこともよくあります。でも、自分たちでうーんと悩んで試行錯誤した部屋で過ごしていると、なかなか悪くないなぁ、むしろ、けっこういいじゃん、と思う日もあるのです。
「家は少しずつ良くしていけばいいよ」
私がぶつぶつ言っていると、夫がよくこんなことを言うんです。最近になってようやく、この言葉の意味がわかってきたような気がしています。
ちなみに、DIYに関して、お互いが担当したところは口出ししないのが我が家のルール。もちろんプロの仕上がりとは違うのですが、すごいすごい!とお互いの苦労を褒め合いながら、家づくりを続けています。
ライター・エッセイスト。岐阜県出身。『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていたスタッフ。退職後、ノルウェーにある北極圏の街、トロムソに住んでいた。現在は長野県松本市でスウェーデン人の夫と2歳と4歳の子どもの4人暮らし。
著書は2023年4月に発売の「北欧の日常、自分の暮らし- 居心地のいい場所は自分でつくる -」(ワニブックス)。その他、「北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし」(ワニブックス)、「家族が笑顔になる北欧流の暮らし方」(オレンジページ)がある。
instagram:@kuwabarasayaka
撮影:清水美由紀(2〜4枚目:桒原さやか)
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