【あるがままなふたり】後編:洋服好きから始まって。ある日、デザイナーがやりたかったんだって気づいて(波々伯部 × 岡本)

ライター 長谷川賢人

ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は……実はそれほど多くありません。

でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。

今回は、当店にかかわるデザイン全般を手掛けるコーポレートクリエイティブ室の波々伯部(ほほかべ)と、日々発信する読みものの制作やインターネットラジオ「チャポンと行こう!」のディレクターを務めるメディア編集グループの岡本が登場。

入社して7年目になり、産休や復帰も経験してきたふたり。お互いに「働き始めてから、同じところで過ごす年月は、クラシコムが最も長くなった」と言います。どうして、そんなふうになったのかを思ってみると、「自然なままでいられること」が理由かもしれないそう。

そんな “あるがままなふたり” ですが、クラシコムで働いていくなかで、あらためて自身に「変わったこと、変わらないこと」もあるのでしょうか?

後編は岡本が主に聞き手となって、波々伯部に色々と質問してみました。

前編を読む

 

自分のやりたいことが「デザイナーだった!」と気づくまで

岡本:
デザイナーの仕事は、ずっと続けてきたんですか?学生時代から勉強していた、とか。

波々伯部:
進んだのは芸術系の大学でしたが、デザインは学んでいなくて。アートマネジメントやアートプロデュースといった分野で、アートが在る環境を整えたり、アートと社会の関わりについてを考えたりする学科にいました。自分は作品を創り続けるタイプではないとは思っていたし、そんな気概もなかったけれど、芸術には関わっていたかったんですね。

ただ、その分野で働ける人の数は多くない業界ですから、何かしら別で働かないといけないよなぁ……と、好きだったファッション系の仕事としてアパレル販売員になりました。

岡本:
私たちって、図らずも最初はファッション好きというスタートから仕事を始めたんですね! 働いてみて、どうでした?

波々伯部:
それが結構、販売員に向いていたみたい。良い会社だったと思うし、周りも良くしてくれる人が多くて、楽しかったんです。でも、やっぱりどこかで「ものづくりへの憧れ」みたいなものはずっとあって、そのうちに「自分は何が作りたくて、どういうことに関わっていきたいのか」を具体的に考えるようになりました。

頭に浮かんだのは、本や雑誌のデザインをすることと、雑貨やカフェが好きだったから「お店づくり」でした。お店は、経営よりは見た目やツールといった、ブランディングにまつわることですね。それを仕事にするなら、「あぁ、デザイナーか!」って、気づくまでがだいぶ遅かった(笑)。

岡本:
でも、きっと大事な寄り道だったんだと思いますよ。そこから、どこかで学んだんですか?

波々伯部:
時間の折り合いがつかなかったのもあってアパレル販売員は辞めて、アルバイトをしながら、とあるデザイン事務所が開講しているデザインスクールに通いました。そこでは私が関わりたいことがどちらも学べたんです。現役デザイナーの方が講師になったり、その事務所が受けている実際のお仕事を手伝えたりする機会もあって、すごく良い時間でした。

その後は、駆け出しのデザイナーとして編集プロダクションやデザイン事務所のアルバイトをしたり、広告制作会社で働いたり、フリーランスとして活動したり。それまでは大阪にいましたが、夫の仕事の関係もあって、30歳のときに東京に移りました。

岡本:
クラシコムで働くことになったきっかけは?

波々伯部:
東京でも、月に一度は関西へ戻って打ち合わせをして、大阪の仕事をフリーランスで請けていたんです。「せっかく東京にいるのに、もっと仕事を広げたいな」と考え始めたときに、働き方そのものを見直してみようと、そもそもデザイナーではなくて自分が好きなお店で働いてみる、みたいなあり方もいいなって、ゼロベースで考えました。

そんなときにクラシコムでデザイナーの求人があって、周りの人からも勧められたんです。確かに気になってはいた会社でしたけれど、クラシコムの長〜い採用ページの中で、デザイナーの仕事内容があまり具体的に記されてなかったので、何をやっているかはよくわからず(笑)。

でも、「北欧、暮らしの道具店」の世界観にデザイナーの手が加わっていることは、はっきりとわかったんです。ここなら今までとは違うことができそうで面白いですし、残業せずにみんなで一斉に退社するといった働き方でも注目されていたこともあって、すごく興味が沸いたんですよね。

 

この企画にいちばん合うデザインってなんだろう

岡本:
入社してからは、本当にいろんな仕事をされていますよね。「北欧、暮らしの道具店」のウェブサイトのことはもちろん、PB(プライベートブランド)商品の開発とか、イベントの会場設計とか。

波々伯部:
最近はPBの商品デザインも多くて、特にコスメはパッケージ周りだけではなくて、中身の開発にも携わらせてもらっています。実際にサンプルのネイルを塗ってみたり、ハンドクリームも使用感を確かめたり。開発に関わったオリジナルのアパレルは、商品ページを作るところからメンバーにも入っていて、モデルやスタイリストの人選から一緒に考えたりもしています。

岡本:
波々伯部さんとお会いした時に受ける印象とか、当店の自宅インテリア特集とかで、「好きなテイスト」があるんだろうなって感じるんです。でも、クラシコムの仕事は必ずしも同じテイストではないはず。良い塩梅にするために心がけていることって、ありますか?

波々伯部:
PB商品のメンバーと話していてよく思うのは、みんな自分の中から動機を見つけて、自分が欲しいと思えるものを必ず作っていますよね。岡本さんも、自分の中から読みものの企画を立てているように。だから、私にデザインの依頼が来る時点では、「私が欲しいもの」や「好きなもの」から出発するわけでは、そもそもないという違いがあります。

ただ、デザインに関して委ねてくれる部分も大きいからだとは思うのですが、担当者から思いやコンセプトを受け取って、自分のフィルターを通してみると、なんだかんだ言って個性はにじみ出るような気はしています。だから、良い塩梅を意識している感じも、それほどないんです。

岡本:
自分の好みだけで創るのでもなく、「お客さまが好きそうなものに寄せよう」とするのでもなく、当店らしさは踏まえた上で、波々伯部さんの中から自然な流れでデザインが出てきている、という感じですか。

波々伯部:
そうですね。個人的な性格の問題もありますけれど、「当てにいこう」とすると、仕上がりが良くならないんですよね。自分の価値観で一番良いものを出すような作家としてではなく、一人のデザイナーとして、その企画に最も合うデザインを時々で表しているつもりです。

 

「できない」とは言いたくなくても

岡本:
波々伯部さんも産休と復帰を経ていますが、それで何か変わったことって、ありますか?

波々伯部:
仕事の都合で、夫が保育園の送り迎えに行けないこともあって、仕事ができる時間がしっかり決まったんです。その分、マネージャーともっとコミュニケーションをとって、スケジュールや工数を前よりも細かく管理するクセがつきました。

本心を言うと「できない」とは言いたくないことであっても、それで周りに迷惑をかけてしまうほうがよくないなあと、割り切って「自分がやれるところ」を見極めていくようになりましたね。その分、周りにフォローしてもらうことも増えますし、感謝の気持ちでいっぱいなんですけど、それを「申し訳ない」とは考えないようにしよう、とは思っています。

もし、申し訳なさを感じながら仕事をしている姿勢が見えると、他の人も同じように考えてしまうんじゃないかなって。うちのチームも産休や育休から復帰した人も増えてきましたし、そう思わせてしまうほうが申し訳ないなと。「チームで仕事をしている」という考えに頭を切り替えるように心がけています。

 

いつも、心の「凪」を意識しています

岡本:
お子さんが生まれて、波々伯部さんが創るものにも何か影響は感じますか?

波々伯部:
商品開発で「こちらの方が子どもがいる人も使いやすいよね」といった目線はちょっと増えたかもしれませんけど……うーん、私の場合は、今のところはアウトプットもあまり変わっていない気がします。

岡本:
私は出産や育児で、暮らしも自分も結構変わったなぁ、と思っているんです。でも、波々伯部さんは職場が変わっても、子どもが生まれても、一貫している軸のようなものが変わらずにあって。良い意味で、波々伯部さんの心にある「凪」を感じるんです。

波々伯部:
そうですね、「凪」の状態は意識しているところもあります。できるだけ、特に仕事中は、常にニュートラルでいたいです。ものづくりやデザインに対する情熱はあっても、それだけで突き進むのはちょっと怖いですから。いつも客観視できる自分をそばに置いて、できるだけ広い視野で見られるようにしたいんですね。

クラシコムは「やりたい、気になる」といった本人の動機を大事にする風土もありますから、より自然な状態でいられるというか。それも、この仕事が長く続けられている理由かもしれません。

 

いつか自分が、心底まで満足してみたい

岡本:
私たちって同期ですから、もう勤め始めて7年くらいですよね。

波々伯部:
私自身は、一つのことを突き詰めていくような職人タイプではなくて、いろんなことを手広くやるのが好きなんです。だから最初は「北欧、暮らしの道具店」のテイストの中で仕事を続けていくことを心配していました。

岡本:
作り続けると、飽きみたいのがきちゃうかもしれない、とかですか?

波々伯部:
そうですね。でも、クラシコムって、本当に日々変化していく会社でした。常に新しいことばかりで全然飽きません。

岡本:
そのうえで、これからもっとやってみたいこととかって、ありますか?

波々伯部:
3年後か、5年後なのか、もっと先の話かもしれないんですけど、将来的にはデザイナーを卒業したいとは思うんですよ。

岡本:
えっ! そうなんですか?

波々伯部:
デザインという仕事は好きですし、その時々でベストを尽くしているけれども、今も続けている原動力は「自分がまだまだできていないと思えるから」なんだと考えていて。だから、次に作るものも、いつでもベストを尽くしていける。

いつか、「これでもう心底まで満足した!」なんて思ってデザインを辞められたらいいなって。

岡本:
波々伯部さんにとっての理想型や終着駅みたいなものにたどり着くような、その境地まで見てみたい、ということなんですね。

波々伯部:
そんな心持ちで、これからもやっていきたいです。この話を他のデザイナーにしてみると、「そんなところまでたどり着くのは無理なんじゃない?」と言われることもありますが(笑)、そういうふうに思えるほどのものを、自分自身で見てみたいのでしょうね。

 

【写真】川村恵理
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