ライター　桒原さやか

「キャンプはいいよ〜。子どもも大人も楽しめるしね」

友人のこの言葉を聞いた瞬間、これだ！と思いました。
週末になると、子どもたちとひたすら公園を走りまわり、うどんを食べて帰ってくる。これがお決まりのコース。それはそれで良かったものの、ちょっとマンネリ化していたところでした。

思い立ったが吉日。エイッ！と思い切ってキャンプグッズ一式を注文したのは、今年の春ごろのこと。そこからすっかりハマッてしまい、今でも月に二度ほどのペースで続いています。

キャンプへ向かう日の朝は、いつも大忙しです。

チェックリストを片手にあれこれ必要なものを準備し、子どもたちが走り回る中、ヨイショヨイショと荷物の積み込み。キャンプ場へ着いたら着いたで、タープやテントの設営が待っています。

それでも、ここまで完了してしまえば、もう後は楽しむだけ。

あたりを見渡すと、大きな山と緑の景色。いつもの街の風景も、すっかり小さく見えます。

最高の眺めを前に、大人は昼間からプシュッとビールを開けたりして。その横で、子どもたちはお友だちを見つけて、「挨拶してくるー！」と言って出かけていきます。

子どもをきっかけに親同士もおしゃべりが始まり、いっしょに食事をしたり、お酒を飲んだりすることも。ここで会う方たちは「一緒にこの場所を楽しむ仲間」のようにも感じて、不思議と自然に会話がはじまることも多いのです。

そして、メインイベントは、やっぱりご飯でしょうか。

夜のお酒と料理も楽しみですが、朝ごはんはまた格別なのです。
眠い目をこすりながら、火を起こし、焚き火がパチパチはぜる音を聞きながら、コーヒーを淹れたり、ソーセージやマフィンを焼いたり。

自然の中で食べるごはんは、シンプルな料理でも体に滲み入るようにしみじみ美味しい。ああ、キャンプっていいなあと思う瞬間です。

少し前、平日にポンと休みが出来て、急遽キャンプに出かけたことがありました。

お昼前にはテントも張り終え、ゆっくりしていたところ、しばらくしても他の宿泊者がなかなか来ません。子どもたちからも「お友だちはどこ？」と聞かれる中、その日は誰も来ないまま暗くなっていきました。

大自然を独り占め出来てラッキー！となるかと思いきや、なんとなく心細く、物足りないような気分。帰りの車の中で「今度来るときは土日がやっぱりいいかもね」と夫と話していたほどです。

いつの間にか、我が家なりのキャンプの楽しみが出来ていたことに気がついたのでした。

寒さも本格的になってきて、そろそろ今年もキャンプ終いの時期が近づいてきたようです。お世話になった道具たちをピカピカに磨いて棚にしまおうと思います。

また来年もよろしく！

 

桒原さやか

ライター・エッセイスト。岐阜県出身。『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていたスタッフ。退職後、ノルウェーにある北極圏の街、トロムソに住んでいた。現在は長野県松本市でスウェーデン人の夫と2歳と4歳の子どもの4人暮らし。
著書は2023年4月に発売の「北欧の日常、自分の暮らし- 居心地のいい場所は自分でつくる -」（ワニブックス）。その他、「北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし」（ワニブックス）、「家族が笑顔になる北欧流の暮らし方」（オレンジページ）がある。
instagram：@kuwabarasayaka

 

撮影：清水美由紀
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