【あのひとの子育て】本多さおりさん〈前編〉どうしてうまくいかないかではなく、どうしたらうまくいくかを考える。
ライター 片田理恵
子育てに正解はないといいます。でも新米のお父さんお母さんにとって、不安はまさにそこ。自分を形作ってきたものを子どもにどう伝えるのか。正直、わかりませんよね。
だから私たちは、さまざまな仕事をされているお父さんお母さんに聞いてみることにしました。誰かのようにではなく、自分らしい子育てを楽しんでいる〝あのひと〟に。
連載第19回でお迎えしたのは、整理収納コンサルタントの本多さおりさん。7歳と5歳、ふたりの男の子を育てるお母さんとして格闘する日々のお話を伺います。
家にいたい子どもと、出かけたい私
平日の午後。日当たりのいいリビングダイニングには、たくさんの植物と、同じくらいたくさんの「子どもたちの痕跡」が並んでいました。虫、恐竜、作文、絵、ポケモン、七五三の写真。兄弟が小学校と保育園から帰宅するまでの、静かなひとときです。
夫とふたりの息子たちとの暮らしを、SNSや書籍を通じて発信している本多さん。新著『旅は暮らしの深呼吸』では、子どもと一緒に親も楽しむがんばらない旅のススメをつづりました。
本多さん:
「息子たちは家が大好き。旅に出たいのは私と夫、親の方なんです。
リビングを走り回って大騒ぎ、かと思えば兄弟喧嘩で大泣き、家事は一向に進まず、部屋はどんどん荒れていく……という状況に耐えきれず、『もう無理! 外に行こう!』というのがいつものパターン。
『やだ!』と言うのをなだめすかして、あれがあるよこれもあるよ楽しいよと気分を盛り上げ、なんとか連れ出しています」
どうしたらうまくいくんだろう
意外! そして、同感! そんなふうに思った方も多いのではないでしょうか。穏やかな笑顔で話してくれる本多さんですが、この数年はまさに子育て と「格闘」する毎日なのだそう。
本多さん:
「特に下の息子には対応の難しさを感じることが多いんです。いろいろな場面でこだわりがあるので、こちらのペースで物事が進められない。それでつい怒ってしまうことも多いんですが、そうすると余計に言うことを聞かないし、イヤと言って逃げ回るんですよね」
特に起き抜けは機嫌が悪くなりがちで、なかなか朝の支度が進まないのが悩みだったとか。起こす時にひときわやさしい声を出してみたり、好きなDVDを流したりと、さまざまな方法を試す中でようやく成功したのが「これなーんだ?」遊びでした。
本多さん:
「おはよう、朝だよと声をかけながら、手のひらに入るくらいのおもちゃを布団の中で握らせるんです。『これなーんだ?』と聞くと、ポケモンでもミニカーでも、結構な確率で当てるんですよ。本人もおもしろかったみたいで、気づいたら機嫌よく起きられているという(笑)」
急がば回れで見つけたもの
決まった時間に起きて、着替えて顔を洗い、朝ごはんを食べる。荷物を持って、登園のバスに間に合うように家を出る。なるほどよく考えてみれば、それはなかなか大変なことです。まして幼い子どもが、大人のペースに合わせて時に急かされつつ、やらなければならないとしたら。
本多さん:
「少し前までは、玄関で靴を履かせるのもひと苦労でした。家中を走り回って逃げる息子を夫とふたりで追いかけて、親子とも朝からヘトヘト。『早く早く』が結果として遠回りになっていたんです。
突破口になったのは『靴を履く前に、玄関で絵本を1冊読み聞かせる』ようにしたこと。短すぎると納得しないので5分くらいかけてそこそこの長さの本を読むんですが、この方がずっとタイパがいい。何より本人の気持ちが満足するみたいで、機嫌よく登園できる日が増えたんです」
ああ、お母さんってすごいな。「その親子だけの特別なやり方」の話を聞かせてもらうと、いつもそんなふうに感じます。
「これなーんだ?」も、「玄関で絵本」も、試行錯誤を繰り返しながら親子が一緒に作り出した、本多さんと息子さんだけの方法だから。そしてそれはどちらか一方にではなく、ふたりともにとって、いいものだから。
笑顔の子育てをあきらめない
どうしてうまくいかないのかを考えるのではなくて、どうしたらうまくいくかを考える。笑顔でいってらっしゃいが言える朝を過ごすために、思いついたことはどんどん試していこうという本多さんの姿勢に、家族を思うお母さんの強さとやさしさを感じました。
後編では、真逆のようで実は似ている!? 子育てと収納には共通するところがあるという本多さんのユニークな発想力を探ります。
(つづく)
【写真】神ノ川智早
本多さおり
整理収納コンサルタント。夫と長男、次男との4人暮らし。片付けや収納を中心に、家づくり、子育て、無印良品などのテーマで執筆・発信を行うほか、2021年からはオンライン収納相談も本格スタート。9月に発売になった新刊『旅は暮らしの深呼吸』ほか、著書多数。
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