【しろうとからのふたり】後編:「その人らしい暮らし」を支えたい、という思いは一緒でした(菅野 × 藤波)

ライター 長谷川賢人

ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は……実はそれほど多くありません。

でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。

今回は、お店に並べる商品をバイヤーとして仕入れる「MDチーム」の菅野と、日々お届けする読みものをつくる「メディア編集グループ」の藤波が登場。

入社して4年目の菅野と、もうすぐ3年目に入る藤波。お互いに「まったく違う仕事からの転職」という共通点があります。菅野は栄養士やカフェ店員、藤波は看護師という前職を経験しています。ふたりの変化の起点、それからの日々について、聞いてみました。

素手で、素顔で。そして素直に。そんな「素人(しろうと)」からスタートしたふたりが、クラシコムで働いていくなかで、「変わったこと、変わらないこと」はあるのでしょうか?

後編は菅野が主に聞き役となって、藤波に色々と質問してみました。

 

人と関わることが好きで、看護師を選びました

藤波:
私、最初に菅野さんが話しているのを見たときから、「こういう落ち着きが欲しい!」って思ってたんです。なんだか、ずっと日々慌てているので……。昔からそうだったんですか?

菅野:
えっ、自分ではそうは思ってないですよ。私からしたら、藤波さんがいると、一気にあたりが照らされるような明るさが羨ましいです。

藤波:
えー!そんなふうに思ってもらえるなんて!

菅野:
その明るさの源が気になります。藤波さんは、クラシコムに入る前は看護師として働いていたんですよね。

藤波:
私は4人姉弟の長女で、犬や猫も飼っていて、とても賑やかな家庭でした。看護師を仕事にしたのは、なった先のことはどうなるかわからないし、一人でも地に足をつけて生きていけるようになりたかったから。それに、せっかく手に職をつけるなら、人と関わることが好きだから、そういう仕事がいいなと思って。

志望は、小児科の看護師。子どもがとっても好きで、大学時代にも小児科のゼミに入っていたくらいでした。ただ、勤め先では診療科の希望は出せても叶うわけではなくて、小児科に入れなかったんです。

菅野:
どんな診療科に?

藤波:
勤め先は大学病院の内科混合病棟で3年間働きました。メインは神経内科と腎臓内科で、腎不全で透析中の方や、ALSやパーキンソン病といった神経難病を持つ方など、ケア度が高い患者さんも比較的多い病棟でした。勤務していた時期は初期のコロナ禍とも重なっていたので、やりがいはありつつも、ヘトヘトな毎日でしたね……。

 

気持ちの「切り替え下手」だったけれど

菅野:
そういった厳しい環境も経て、次の進路を考えるようになったんですか?

藤波:
それもあります。働いた期間は3年でしたし、全てを見切れたなんてとても思いませんが、様々な人生を垣間見る中で、自分や家族の将来についても考えさせられました。仕事はやりがいがあって楽しかったんですが、ある時に「もう限界だ」とも感じたんです。一度そう思ったら、辞めようと決めていました。

菅野:
看護師としてのやりがいと、挫折から始まる違和感との両方があったんですね。

藤波:
そうなんです。どこか「看護師」としての役割を演じているような感覚、というか……。でも、そうしないと心が壊れちゃう。人が亡くなったり、人生の大変な状況に立ち会ったりすることもあります。そういう時は「私は看護師です」と自分に言い聞かせないと、自分の足で立っていられないような感覚があって。

菅野:
わかります。私もカフェのお客様に通院している方がいて、接し方を気をつけないといけない、とよく気を張っていました。そういうとき、より役割を演じる感覚はあって。

藤波:
あと、自分はあまり気持ちの切り替えが得意じゃないな、とも感じていました。だから、何かショックなできごとがあると引きずってしまう……。

菅野:
そうそう。切り替えが上手な方もいて、私も尊敬していました。

藤波:
それを羨ましく思うこともあったけれど、まずは受け入れてみようと。「働くこと」と「暮らし」が全く別物になってしまっているし、役割を演じるのではなくて、切り替えなしに「自分の好きなものを仕事にする」という経験もしてみたくて。

看護の仕事が嫌いになったわけではないから、在宅の看護師になろうかな、とも考えていたんです。でも、せっかくだから、もし機会があったら別の仕事もしてみようと。その時に、ちょうどクラシコムで経験不問の募集が出ていて、駄目でもともとのつもりで受けたんです。

 

「その人らしい暮らし」に思いを馳せる、という共通点

菅野:
「北欧、暮らしの道具店」のことは、看護師時代からよく見ていたんですか?

藤波:
看護師になる時に寮生活で、初めて一人暮らしをすることになって色々調べていたら、『「おくすり袋も見やすくスッキリ」木の薬箱』に出合って一目惚れしました! それまで薬は「棚に雑多に押し込められたもの」というイメージだったのが、この素敵な木箱があるだけで、暮らしの何気ない風景に馴染んでくれる。

自分の身の回りの物が、こんなふうに「衝撃的に良い!」って思えるもので溢れたら幸せだな、そういう「暮らし」ってあったんだな、と知ったきっかけです。そこから、日々の読みものや動画コンテンツにも触れていきました。

菅野:
面接ではどんな話をしましたか?

藤波:
正直、特にアピールするようなスキルはなかったんです。だから「素の自分」でいくしかない、面接でも何でも素直に答えようと思っていました。でも、そもそもが「素の自分でいいよ」と言ってくれる場所で働きたかったですし、わからないことは「わからない」と素直に話しました。

面接で覚えているのは、感謝を伝えたことですかね。それこそコロナ病棟で働いていたときは、好きだった映画鑑賞も頭に入ってこないし、趣味を楽しむこともできないくらいに、どこか追い詰められていたこともありました……。

そんなときに「暮らし」があったから、かろうじて自分を保てていたんです。「北欧、暮らしの道具店」に出会って、自分の好きなように暮らしを整える楽しさ、小さな工夫やアイデアをもらうこと、すぐ試せるおいしいレシピを知ったこと……私にも「フィットする暮らし」があることが支えになってくれたことに、ありがとう、って言いたくて。

菅野:
でも、看護師とは仕事の内容は大きく異なりますよね。心配はなかったですか?

藤波:
もちろんありました。でも、看護師とクラシコムはすごく離れているように見えて、私の中では結構近しい部分があるんです。看護師時代に私が一番やりたかったのは、目の前にいる人がその人らしく生きていくことを、ちょっとでも支えること。日常生活に困難がある患者さんが、入院中や退院後の生活を「その人らしく」過ごすために、自分になにができるのかなって。

「北欧、暮らしの道具店」がしているのも、「その人らしい暮らし」にちょっと気づいてもらったり、すこし手を差し伸べる機会をつくったりすることなんだろうなと。職種は全然違いますけど、それは近しいかな、と思ったんですよね。

菅野:
入社してみて、どうでしたか?

藤波:
最初はチームのミーティングに出ても、飛び交う「言葉」が分からなくて、2ヶ月目くらいまでは必死でした。最初はレシピやインテリアの特集を担当することが多くあり、もともと料理好きだったのでレシピはまだしも、インテリアは知識も経験も全然足りなくて。

でも、半年くらい経つと、だんだん仕事が掴めてきて、看護師時代と「一緒なんだな」と思えることもありました。たとえば、取材先との向き合い方。はじめは取材をする際も萎縮してしまって、相手を「自分とは遠い世界の素敵な人」、と捉えてしまい、フラットにお話を聞けなかったんです。きっと、相手だって話しづらいはずで、申し訳なく感じていました。

看護師をしていたとき、「看護師」と「患者」である前に「人と人」の関係であることを大事にしたい、と思っていました。それが「ライター」と「取材対象者」に変わっただけで、自分のほうに経験がどれだけ少なくても、「人と人」の関係であることを忘れてはいけないなと。その共通点に気づいてからは、仕事がしやすくなりましたね。初心を忘れず、いきたいです。

 

私が出会った魅力を、真っ直ぐ伝えられる人になりたい

菅野:
「人と人」の関係に気づけた、良いきっかけになった読みものはありますか?

藤波:
「自分だけのスイッチ」というテーマで、江古田にある古本屋「snowdrop」の南由紀さんの記事をつくったことでした。

初めて訪れた時の居心地の良さが忘れられなくて、インタビューのお題をもらった時に「行きたい!」と手を挙げました。「なぜ行きたいのか」をチームマネージャーの齋藤さんが向き合って聞いてくれたので、ようやく言語化できたんです。人生の先輩の話を聞きに行く気持ちで、「働くとは何か」というモヤモヤしたした疑問にヒントを得たかったんだなと。

南さんが年下の私に対しても率直に、フラットに話してくださったおかげで、自分にとっても大事な記事になりました。いろんな世代のお客さまから反響をいただいたことも嬉しかったです。

「ありのままの自分」でも誰かの心に響くものを作れることもあるんだ、と自信を持てた読みものになりましたね。もちろん毎回うまくいくとは限らないけれど……でも、これも齋藤さんに言われたことで「今の藤波さんにしか感じられないことが絶対にあるよ!」って。それから、自分を偽るでもなく、萎縮するでもなく、素のままで向き合おうと思えました。

菅野:
その人の感じたことや、その人のフィルターを通して、モノを見たいと思うのは、バイヤーとしての商品選びにも近いなぁ、と感じました。商品そのものの魅力はもちろんありますけど、それを選んだ人の個性も見えてくると、より魅力的に思えるというか。

藤波:
取材するにも、ただ話を聞くだけじゃなくて、「人となり」を記事を通して伝えたいと思っています。読者の方にも、それを感じていただけたら嬉しいですし、自分自身の励みにもなります。

それに、読みもの制作では、当店の商品を紹介したり、スタッフが奮闘する様子に触れたりする記事も多くあるので、お客さんとお店を繋ぐ役割を任せていただいているのだな、それっていい意味でかなり重大責任だなと感じています。開発担当スタッフからもらった熱い思いのバトンをなんとか画面のむこうのお客さまにも繋げられたら……という気持ちです。

最近は、読者の方から感想をいただく機会も増えてきて、実際にお会いすることはできなくても、みなさんがどんな暮らしぶりの中で読んでくださっているのか、想像できるようにもなってきました。自分の暮らしも規則正しくなったし、好きなことを仕事にするストレスは全くないんです。ただ、経験はまだまだ必要だなと感じています。

菅野:
どんなことを学びたいと思っていますか?

藤波:
取材させていただく時間がとても貴重だからこそ、その素敵さをそのまま伝えたいんです。もちろん毎回、ベストは尽くしているつもりでも、自分の経験不足や文章力の乏しさが理由で、もっと「できたはず」と感じてしまうのはもどかしいです。

読みもの一つを作るには、取材で聞く、それを書くだけでなく、企画もディレクションも、様々なスキルが必要。もっとそれぞれを高めて、深めていきたいです。

取材相手の方にも、「取材を受けてよかった」と思ってもらえるような聞く力を身につけたいですし、読者の方にも納得のいく記事を届けたい。素敵な人やモノのよさを、スムーズに繋げられるようになることが目標ですね。「かっこよく書きたい」とかではなくて、私が出会った魅力を、真っ直ぐ伝えられる人になりたいです。

【写真】川村恵理
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