【がんばらない片付け&収納】第2話:谷山彩子さん「片付けは好き、収納は苦手。やりやすいことからやっています」

ライター 片田理恵

年末年始の忙しなさを過ぎたあと、いつもの日常に戻ってひと息つく。そんな2月の頭に迎えるのが「立春」です。暦の上ではこの日から春。新しい季節の始まりに、ゆっくりと部屋の片付けや収納の見直しをしてみるのはどうでしょうか。

さて、この「片付け」と「収納」という言葉。同時に使われることも多いですが、実は意味は違います。片付けは「散らかっている場所をきれいに整えること」で、収納は「箱や棚にものを収めること」。

部屋の中を快適に使いやすく整えるためには、この片付けと収納を両方行う必要があるけれど、一方だけが得意だったり、苦手だったりと、当然ながら人によって違いが生まれますよね。

私はどちらが好きだろう? どちらが負担なくできるだろう? それを意識することで、自分に合った片付け・収納のヒントが見つかるかもしれない。今回の特集「がんばらない片付け&収納」では、取材した先輩たちにそんな疑問もぶつけてみました。

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台所なら「コツコツ」できる

二人目に登場いただくのは、イラストレーターの谷山彩子(たにやま あやこ)さん

片付けと収納の違いについてお話しすると「片付けは好きだけど、収納は苦手だと気づきました」との答え。いわく「部屋は片付いているけど、クローゼットや引き出しの中は……」という状況だそう。

谷山さん:
「収納が苦手とはいえ、やらないで済むわけじゃないんですよね。

だから具体的にそれぞれの場所を思い浮かべて、実際に自分がどうやっているか考えてみたんです。

それでわかったのは、私がコツコツできるのは台所だってこと。冷蔵庫の中の片付けとストック食材の管理は、私にとってはやりやすいみたい」

 

よく使う場所ほど、きれいに整とんしたい

毎日の食事の支度をする中で、特に使用頻度が高いという野菜室を見せてもらいました。

野菜が入ったビニールをそのまま庫内に入れるのではなく、紙袋や、ネットで調べて自作した新聞紙の箱で引き出しの中を区切っています。

谷山さん:
「冷蔵庫のすみに玉ねぎやニンニクの皮が落ちていることってあるでしょう? あれがストレスだなと思って、紙の袋や箱を使うようになりました。

おかげで庫内のゴミがなくなったし、へたってきたらすぐに取り替えられるから衛生的なんです。広いスペースを種類別に区切ることで、使いやすさもアップ! よく使う場所ほど、きれいだと気持ちがいいですよね」

▲野菜室の上段(写真上)と下段(写真下)。紙袋や新聞紙のケースで見やすく整理整とんしています

谷山さん:
「上段に入っているのが、ニンニクやショウガ、柑橘類といった香りのある野菜と、ドライイーストや酒粕などの冷蔵保存したい調味料。

下の段は、左から根菜、新品、使いかけと、自分で決めたジャンルごとに分けて保存しています。

この “使いかけ” が便利なんですよ。以前は冷蔵庫の奥の方から傷んだほうれん草が出てきて、『あちゃー』なんてこともあったんですけど、定位置を決めてからはなくなりました。

野菜室を開けたらまず “使いかけ” に何があるかを見て、作る料理を考えます」

 

冷蔵庫脇のスペースにうす型ラックを導入

夫婦そろって料理も食べることも大好きという谷山さん。

先日ご主人が、ストック食材を収納しておくための新しいアイテムを購入してきたといいます。

それが冷蔵庫と壁の間に置くうす型ラック。猫たちがこのすき間に入り込んで遊ぶのをなんとかしたいと思っていたこともあり、まさに絶好のタイミング! 炭酸水や調味料、お酒などを収納するのに役立っているそう。

谷山さん:
「夫は几帳面なタイプで、ストックがなくなる前に次を買ってきて補充をしてくれるんです。

それはすごーく助かるんだけど、いつも同じ銘柄が並ぶんですよね。私は新しいものも試してみたい冒険派なので、ごま油は次こそあれを買うぞ!なんて、心の中では思っています(笑)」

 

苦手なクローゼットの収納を見直せた理由

次は、最も苦手と称するクローゼットへ。

2年前、谷山さんは大がかりな洋服の整理と処分に挑戦しました。新しく家族に迎えた2匹の猫が粗相してしまい、就寝時以外は布団をしまっておく必要が出てきたからです。

布団を入れるスペースを確保するため、洋服でいっぱいだったクローゼットの中を見直すことになりました。

谷山さん:
「目標として掲げたのが『服を半量に減らす』こと。

私の場合、まずはちょっとしたよそゆきを手放すことから始めました。ホテルのレストランやカジュアルなパーティに着て行っていたような、ワンピースやスカート、ジャケット。

コロナ禍を経てそういう服を身につける機会がそもそも少なくなったし、今の自分には合わないものもあって、結構思い切れたんです」

谷山さん:
「以前は何がどこにあるか自分でもわからない状態で、それが余計な服を増やすことにつながっていたと思います。

でも今は、スペースこそ小さくなったけれど、新しく始めた山登りのためのウェアや、筋トレをする時の運動着、着用頻度は低いけれど大切にしている『お楽しみ服』のスペースも確保できている。

今の私にとっての着心地のいい服、必要な服がわかって、とても使いやすくなりました。半分に減らすという目標? 達成しましたよ!」

 

なりたい自分と、現実の自分

苦手なことに挑戦するって、とてもパワーが要ります。

一度始めてしまうと引き返すのは難しいとわかっているから、そもそも踏み出すこと自体ができなかったり。谷山さんに、当時の思いきった気持ちを聞いてみました。

谷山さん:
「この服を着たらなりたい自分に近づけそう! そう思って買い物をしても、実生活とうまく噛み合わないことが多かったんです。袖のたっぷりしたブラウスはすてきだけれど、仕事や家事をするのにはやっぱり邪魔で、結局着なくなってしまう。

でもだんだん歳を重ねて、理想と現実の線引きができるようになってきたんでしょうね。服をそろえてもなりたい自分になれるわけではないと気づいた。それが服を減らせた最大の理由かな。

今の私に必要なのは、今の暮らしにあった服。それを自分らしく楽しんで着たいです」

片付けと収納を経て、今の自分の「好き」や「心地いい」を知る。暮らしは、手と心の動きがつながって生まれているんだと、改めて感じることのできた取材でした。

そしてもうひとつ気づいたこと。先輩たちの暮らしがまぶしく見えるのは、苦手なことにもきちんと向き合って挑戦し続けているからなのかもしれません。私は何から始めよう。今、そんな気持ちです。

明日は三人目の先輩、建築家の井手しのぶさんとのおしゃべりをお届けします。

(つづく)

 

【写真】神ノ川智早


もくじ

 

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谷山彩子

イラストレーター。東京都出身。セツ・モードセミナー卒業。HBギャラリー勤務を経て、フリーのイラストレーターに。雑誌・書籍の挿画や広告の分野で幅広く活躍。著書に『漢字なりたち絵本』(あすなろ書房)『ごちそうごよみ』(小学館)などがある。
https://www.taniyama3.com/
Instagram:@a.taniyama3

 

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