【理由のある料理】前編:平日夜でも焦らない!ふんわりジューシーな「鶏の唐揚げ」と「万能ナムル」
忙しい日々のやりくりのなかで、料理をいかに手際良く、おいしく作るか。それが両立すれば嬉しいけれど、なかなかそうもいきません。
私に足りてないものはきっと、ちょっとしたコツや手際のよさ、そしてどうやって「献立」を考えていくかの軸のようなもの。そんな道しるべがほしいと思い続けてきたときに出合ったのが、料理家、上田淳子さんの著書『レシピ以前の料理の心得』(青幻舎)です。
何気なく作るのではなく、コツを意識してつくること。何皿もおかずが並ぶような食卓でなくても、現実的で栄養バランスもいい一食が叶うこと。そういった心得があれば、いつもより前向きに料理とも向き合えそうです。
そこで、上田さんを訪ねて、おなじみの定番メニューと副菜のレシピを教えてもらうことになりました。
ポイントを押さえて、定番もごちそうに
今回、教えてもらう料理はどれも手軽においしくできるものばかり。しかし、上田さん自身は、調理の学校で学び、同校で研究員も勤めた理論派。フランスで修業を積んで正統派のフランス料理もお得意です。そんな素地があって作るからこそ、おいしくなる理由や、省いてもいい工程を親切にわかりやすく教えられるのでしょう。
上田さん:
「唐揚げは、簡単にみえて、おいしく作るコツがいろいろある料理なので、失敗しないやり方を知ってもらいたいです。みんな、大好きな料理ですしね。私も昔、子どもの部活に2kg揚げて差し入れたりしてました(笑)。
私は、下味に1時間以上漬け込めるときと、すぐに揚げたいときとで作り分けています。後者の場合は、水分が多いと味がぼやけるので酒やみりんなどは入れずに、醤油だけ。衣に卵を入れることで少しふんわりするし、鶏肉がまとった味を閉じ込めてくれます。今日はこちらを作ります」
柔らか&ジューシーな感触に舌鼓
時短モードの鶏の唐揚げ
材料(2人分)
鶏もも肉(唐揚げ用)…10個(300g程度)
醤油…大さじ1
おろししょうが…小さじ1
おろしにんにく…小さじ1/3
卵…1/2個
片栗粉…大さじ4
揚げ油…適量
作り方
1.鶏肉に醤油、しょうが、にんにくを加え、汁けがなくなるまでもみ込む
2.1に卵を入れてからめ、さらに片栗粉を加えて粉気がなくなるまで混ぜる
▲卵が全体に絡んだところに、片栗粉を入れる
上田さん:
「衣はさくっと軽くなる片栗粉を好んで使っていますが、もうちょっとガリっとした食感にしたい場合は小麦粉を加えるといいですよ」
上田さん:
「衣が薄くて心配になるかもしれませんが、片栗粉も卵もかたまりやすい素材。揚げたときに剥がれにくいのも特徴なので、安心してください」
3.鶏肉全体が浸るくらいの量の油で、1分半ほど揚げる
上田さん:
「鶏肉がひたひたになるくらいの揚げ油を中温(170℃程度)にして、まずは半量の鶏肉を入れます。入れたら触らず、1分半ほど揚げます。このときの見た目の目安は外側が固まってきたな、と感じるくらいで大丈夫です。
揚げ物のハードルを下げるには、まずは小さくて深い鍋を使うこと。きれいに洗うことを考えたら、味噌汁用の小鍋でもいいんです。鍋の半分くらいの油のかさなら、油ハネもないから、コンロの掃除もすごく楽です」
4.3分ほど休ませたら、もう一度揚げる
上田さん:
「最初に入れた半分の鶏肉を引き上げたら、残りの鶏肉を同じように1分半ほど揚げます。
二度揚げまでの間隔は3分くらいあればいいと思います。その間に中に火が通っていて、中の水分は外に出てきます」
5.最初の鶏肉を再度揚げ鍋に入れて、全体に火を通す
上田さん:
「休ませておいた鶏肉を再度鍋へ。2度目に油に入れたときに水蒸気が上がるのは、表面の水分が蒸発するから。最初は触らず、1分ほどして鶏肉に少し色がついてきたら、箸で転がしながら全体に均一な色がつくように、さらに1~2分ほど揚げて取り出します。鍋の上で振って、しっかり油を切るのも忘れずに。
続いて2回目の鶏肉も揚げれば完成です」
おさらいすると、1分半揚げる→3分休ませる→3分揚げる(焼き色を見ながら)。余熱を使うと揚げている時間自体はコンパクトに効率よく揚げていけます。
次に、唐揚に合う副菜の作り方を教えてもらいました。
手で和えるのがおいしさの秘訣
あり合わせ野菜のナムル
材料(2人分)
野菜(写真は、にんじん、もやし、小松菜)…合わせて300g
A
白すりごま…大さじ2
おろしにんにく…少量
ごま油…大さじ1と1/2
塩…小さじ1/4
作り方
1.野菜を切って、レンジ(600w)に4〜5分かける
にんじんは千切りスライサーで細切り、小松菜は4〜5㎝長さに切り、もやしは洗った後にしっかり水気を切っておきます。
同じくらいの時間で火が通る野菜なら、一緒に耐熱容器に入れてふんわりラップをして電子レンジへ。
2.ボウルにAを入れてよく混ぜ、1の野菜の水気をしっかり切って加える。手でよく和えて完成!
上田さん:
「一番のポイントは、手でよく和えること。野菜のすみずみ、葉の裏まで調味料をまとわせるとおいしくなります。今回は、1食分で摂りたい野菜の量を意識して、2人分300gの野菜で作っています。野菜は何でもOK。今日は加熱が必要なもので作りましたが、トマトやきゅうりならそのまま和えてもいいですね。
ツナ缶などで、たんぱく質をプラスしちゃうのもあり。手軽にできる副菜のレシピとして、アレンジして使ってもらえたら嬉しいです。
私も含め、取材スタッフたちが、撮影から間もなく早速唐揚げを作ってみると、「自分史上一番柔らかい唐揚げができた」とみんな大喜び。私は、上田さんの教えの通り、深く小さな片手鍋を使ったら、油ハネというストレスもなく、揚げ物革命が起きた気持ちです。
ナムルは、野菜が足りないと思ったら「とりあえず作るもの」と決めてみました。そうするととても気が楽で、野菜を変えれば、飽きるということもありません。
こうやって、一つひとつ思い込みがはずれていく料理って楽しい。次回も、なるほどと気持ちが軽くなる八宝菜ならぬ四宝菜と、缶詰を上手に使った手軽な大根のサラダのレシピをお届けします。
【写真】上原朋也
もくじ
上田淳子
辻学園調理技術専門学校卒業後、同校の西洋料理研究職員を経て渡欧。スイスのホテルやベッカライ、フランスの星つきレストランなどで修行を積む。現在は料理研究家として独立し、テレビや雑誌などで活躍。著書に『フランス人は、3つの調理法で野菜を食べる。』(誠文堂新光社)、『レシピ以前の料理の心得』(青幻舎)など多数。ポッドキャスト番組「料理楽しくなる相談室」も人気。
Instagram:@ju.cook
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