【私たちの常連店】カフェ「ベルク」前編:“素” の自分にもどれる時間。
編集スタッフ 二本柳
ここに来れば自分に帰れる、そんな常連店がほしい。
私たちは普段いくつの顔を持っているのでしょうか。
職場の顔、妻の顔、母の顔。もっと具体的なところまでいけば、表参道を颯爽と歩く顔(笑)、友達とランチへ行く顔なども知らず知らずのうちに使い分けているかもしれません。
あるカフェのオーナーは「トイレに入る時、人は一番 “素” の顔だ」と話していました。なるほど!確かに……
今回スタートするシリーズ『私たちの常連店』は、私たち自身の「 “素” になれる場所、ほしいな」という素朴な思いからスタートしました。
10分でもいいから立ち寄って、本来の自分を取り戻す。そんな常連店がほしいな、と。
これから不定期で、実際に私たちスタッフが頼りにしているお店のことをお届けしていきたいと思います。
“素” になる時間は何のため?
ここで本題に入る前に、そもそもどうして “素” の自分でいる時間が必要なの?という話をさせてください。
私はこれを考えたとき、高校3年のクラスを思い出しました。
それまでは同じ足並みで、テストならテストに向けて、文化祭なら文化祭に向けて一緒に道を歩んできた私たちが、いよいよ各自の人生を選ぶとき。
堂々と「自分」というものをさらけ出すことが難しくなるのは、「人と違う」ことを受け入れる勇気がなくなる時なのかもしれません。
当時の私は、誰もが受験モードに入っているなかギリギリまで部活を続けている少数派な生徒でした。だから皆とは違う自分が不安で、誰がどの将来を進もうとしているのかを知るのを避けていました。
「部活がんばってね!」と声をかけてから予備校に行くクラスメイトたちが、もしかしたら同じ大学を目指しているかもしれない。
その事実に直面する勇気がなく、“素” の自分をごまかしていたんです。
そんな難しい高校3年の時期、ある担任の一言がきっかけでクラスの景色ががらりと変わりました。
「どうして赤本を隠す?自分が行きたい大学くらい堂々と見せていられる関係でいようよ」
“赤本” と呼ばれる参考書の表紙には、大きな文字で大学名が書かれています。それはすなわち、誰がどんな将来を目指しているのか?が一目瞭然になることでもありました。
でもこの一言で赤本が机の上に積み上げてある光景が普通になると、意外にも私の気持ちはラクになりました。
部活の分だけ遅れがあるという事実をただ受け止めて、それならどうすればいいのか?を考えられるようになった。
何もごまかさず “素” の自分に向き合った時、はじめて私たちは次の一歩を踏み出す準備が整うのかもしれない。そんなことに気づいた瞬間でした。
お客さんが無愛想な顔でやってくる店があるらしい。
果たして大人になった私は、高校時代とちがって色々な顔を持つ必要もあったりします。そして時々、ふと自分らしさが分からなくなることがあります。
そんな時に10分でも立ち寄って、素に戻れる場所を持てるといいかもな……と思うようになりました。
そしてその頃、店長佐藤によって『ベルク』というお店の存在を知らされたんです。
職場ではスタッフをまとめる“店長”という顔、家庭では“母”という顔を持つ佐藤が、「ここに来ると不思議なくらい素の自分になれる」と言うお店。
「自分を必要以上に良く見せたり、背筋をのばしたり、オシャレを気取ったりしなくていい。本来の自分に戻っていく感覚が心地いい」そう話していました。
そしてそのお店こそ、「トイレに入る時、人は一番 “素” の顔だ」と話してくれた店主のいるお店です。
シリーズ第1回は、新宿駅東口に佇む小さなビア&カフェ『ベルク』をご紹介します。
朝から晩まで客足の絶えない、この人気店は、ある人に「この店に来る人たちは皆、無愛想な顔をしている」と評されたことがあるそうです。
そんな言葉を受けて、店長の井野さんと副店長の迫川さんは満足気。
「本当に気を抜いていたりリラックスしている時っていうのは、人は誰しも無表情なはずなんですよ」そう笑っていました。
左が店長の井野朋也さん、右が副店長の迫川尚子さん
当店の佐藤も大好きというこちらのお店、いわゆるスッキリとおしゃれなタイプのお店ではありません。
でもここでコーヒーを飲み、パンを一口かじっていると不思議なくらいに心がほぐれていくんです。
私たちを “素” に戻す、あの居心地のよさは何なのでしょう。
後編でそのあたりの謎を紐解いていきたいと思います。
お店情報
【ビア&カフェBERG(ベルク)】
・住所:東京都新宿区新宿3-38-1 ルミネエスト新宿店 B1F
・営業時間:7:00〜23:00(無休)
・URL:http://www.berg.jp/index.htm
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