私のためのZINE
【私のためのZINE】後編:文房具を使って手軽にできる。スタッフがZINEを作ってみました

【私のためのZINE】後編:文房具を使って手軽にできる。スタッフがZINEを作ってみました

本屋さんなどで見かける、いわゆる出版社から出版されたのではない個人発行の冊子、ZINE(ジン)

テーマも、色もサイズも、全てが自由。個性あふれる作品たちに触れるうちに、自分でも作ってみたくなりました。

とはいえ作り方は?デザインや製本はどうしたらいい?と、分からないことだらけ。

そこでZINEの制作やワークショップをされているつちや りささんにお願いして、ワークショップを開いていただきました。

つちやさん:
「家に印刷機がなければコンビニでも写真の印刷やコピーはできますし、デザインソフトを使わなくても、家にある文房具でかわいいZINEが作れますよ」

参加するのはこちらの3名。それではさっそく、ワークショップスタートです!

▲左から編集スタッフの栗村、田中、藤波



誰かの "ためになる" ものじゃなくていい

つちやさん:今日はよろしくお願いします! まず、ZINEとは何か?の説明代わりに、私が好きな2つの言葉を紹介させてください。

「あんたが私の言いたいことを聞きたいかどうかは知ったこと じゃない。どっちにしても私は言う」(アリスン・ピープマイヤー『ガール・ジン』)

「大きな資本力もコネも持たない個人が、誰にも頼まれていないけれど作らずにはいられなくて作ってきた「小さなメディア」」(野中モモ『野中モモの「ZINE」小さなわたしのメディアを作る』)

私は、誰でも今すぐに、思ったことを思ったままに表現できるのがZINEの良いところだと思っていて、今日はぜひ自分が作りたいものを素直に表現してみてもらえたら嬉しいです。

藤波:普段編集の仕事をしていると、つい読む人の存在や気持ちを想像したくなりますが、ZINEの基本姿勢は "自分が言いたいことを言う" でいいんですね。それを聞いて、普段スマホにメモしているようなことを題材にしてもいいのかも、と思い始めました。

つちやさん:すごくいいと思います! たとえ他の人には伝わらなくても、書きたいものを書いてるから自分が楽しい。それでいいのがZINEなんです。



テーマは「雑談しながら」決めるのもおすすめです

つちやさん:まずはテーマを決めて、どんな作品にするか具体的にイメージしていきます。

最近気になっているトピックを誰かと話してみるのはおすすめです。何も思いついていない場合も、やりたいことがある場合も、「それ面白そう!」「どういうこと?」など相手から反応をもらって気づくこともあるし、言葉にすることでイメージが膨らむこともあります。

今日は自己紹介がてら、皆さんが最近考えていることについて雑談できたら嬉しいです。



覚えておきたい心のメモも、息子との休日も、一人旅の思い出も……

つちやさん:さっき藤波さんが言っていたスマホのメモにどんなことを書いているのか気になりました。

藤波:これが美味しかった!みたいなちょっとしたことから、子供が生まれてからのこと、モヤモヤしたことまで、普段生活する中で覚えておきたい自分の気持ちを「めも、気付き」というファイルにまとめています。

あとは最近 "友だち" って難しいなと思っていて。少し前、ずっと仲の良かった友人とすれ違いで距離が離れてしまったんです。ぐるぐる考えたり、そっとAIに話して気持ちを整理しようとしたりしましたが、すごく寂しくていまだに胸に残っています。

つちやさん:それは寂しいですね……。もし題材にするなら、スマホのメモやAIとのやりとりをスクリーンショットしてZINEにするという方法もあります。そうすると、そのときの日付や時間、文章の温度感もより伝わるかもしれません。

まとめ方も必ずしも本の形にする必要はないので、リアルなメモのように左上をホチキスで留めるなど、テーマに合った形や綴じ方を考えるのも面白いかもしれませんね。

藤波:良いですね。今回はスマホに書き溜めている日々の気づきメモでZINEを作ってみようかな?

▲田中「街歩きのリトルプレスや地域のフリーペーパーも好きで、参考になりそうなものを持ってきてみました」

田中:最近、以前から好きな料理スタイリストの堀井和子さんの本を久しぶりに読み返しました。堀井さんの描く線画や写真のコラージュがとても素敵なんです。私もイラストが趣味なので、今日は久々に何か描いたり、写真をコラージュしたりしたいな〜と思っていました。

つちやさん:田中さんはどんな絵を描かれるんですか?

田中:日々何かおもしろい出来事があると、忘れないうちにイラストで残しておきたいなと思うんです。例えばこれは最近の息子とのやりとり。4コマ漫画にしてみました。

田中:息子はとにかく乗り物好きで、休日はよく2人で電車やバスに乗ったり、車両の連結を見に行ったりするんです。私は自分の楽しみも挟めないかと、電車が見えるコーヒーショップを探すとかして。

そういう息子とのお出かけの定番コースや、休憩に立ち寄るカフェのこと、卵アレルギーの息子でも食べられるおやつのメニューなどを、手書きの地図やイラストを交えながらまとめても面白いのかも?

一同:(拍手)

田中:折りたたむのが好きなので、お散歩マップみたいなイメージで四つ折りのZINEにしてみようかな。

▲フィンランド旅、1年目につけていた絵日記

栗村:最近「もしかして今、短歌詠めちゃう?」という瞬間が訪れることがあって。それは例えば、日常の些細なことだけど忘れたくない気持ちとか、説明しづらいけれど誰かに知らせたい状況とか。本当に詠むかは別として、暮らしの杭を打つ気持ちで、そういう瞬間を集めておきたいなと思ったりします。

つちやさん:短歌にしたいと思った瞬間集」ですね。面白そう〜!

栗村:あとは去年まで3年連続でフィンランドへひとり旅に行っていたのですが、その記録をどこにも残していなくて。写真だけは小さなチェキに印刷してあって、いつかまとめたいなと思っていました。

ちなみに1年目は最初の方だけiPadで絵日記も描いていて、2年目は写真だけ、3年目はAIと話しながら旅していました。

AIとは旅の中で感じたことを話していて、今見てみたらそのときのチャットに「フィンランド人、森と鳥が好きすぎる。俺もだけど」っていうタイトルがつけられていました(笑)

つちやさん:最高ですね!(笑)チェキのサイズ感がすごくかわいいので、もはやこのままでも良いくらいですが、ずらっと並べてポスターみたいに印刷したり、絵日記やAIとの会話も含め冊子にまとめて、ミニ写真集を作ったりしても楽しいかも。

栗村:ミニ写真集、いいかもしれないです!



いざ、作業開始!


アイデアがまとまったところで、いよいよ作業開始。

3人それぞれの制作の様子を順番にご紹介します。



- スタッフ藤波 -

スマホのメモをZINEに

◎テーマ……頭の中のメモ
形式:A4サイズを手紙風に折りたたむ



①メモのスクリーンショットを印刷してカットし、折り目を考慮しながら配置を決める
▲藤波「ライトな内容のメモは、折り畳んだとき外側にくるように、中を開いていくにつれて切実な内容になるように並べてみました」

②マスキングテープでメモを貼り、クレヨンで折り線を描く

③原本をカラーコピーして手紙風に折る

\ 完成!/




- スタッフ田中 -

イラストと写真でお出かけマップ作り

◎テーマ……親子2人の休日お出かけコース
形式:A4サイズを四つ折りにする



①下書きしてレイアウトを決める

②清書して写真を貼る

▲裏は全面を使って、お散歩マップを書くことに

③カラー用紙にコピーして四つ折りにする

\ 完成!/




- スタッフ栗村 -

旅のミニ写真集を作ります

◎テーマ……3年間のフィンランドひとり旅
形式:A5サイズの冊子



①A5用紙に写真をスキャンする

②カラー用紙で表紙をつけ、ホチキスと製本テープで綴じる
▲製本テープは100円ショップや文具店で購入できます。太いマスキングテープで代用しても◎

③白紙にしておいたスペースに文字を書く

▲AIとの会話を印刷して貼り付けました

\ 完成!/



完成しました!

作業時間は3時間ほど、テーマ決めから完成までは4時間ほどでそれぞれのZINEが完成しました。

つちやさん:わ〜出来上がりましたね! 作ってみてどうでしたか?

藤波:誰にも見せないつもりのメモなので恥ずかしい気持ちもあったのですが、読んでもらえて「あ、ここわかる」って共感してもらえて嬉しかったです。今日参加しなかったらずっとスマホに眠ったままだったと思うので。

田中:楽しかったです!毎日があっという間に過ぎていく子育ての日々をこうやって切り取れると、その時は疲れていても、いい思い出になるなと思いました。

栗村:こういうのって、ちゃんと作らなきゃ!と思いがちですが、そうじゃなくて良いんだなと思えました。手軽だし、手作り感がむしろ味になるのが良いなって。

「他の人が読みたいかではなく、自分が言いたいことを言えばいい」というつちやさんの言葉から始まったこのワークショップ。

自分だけが見るメモの内容や、何気ない日常の一コマなど、普段の会話では聞けなかったかもしれない話がZINEの中で読めるのが嬉しく、なんだか元気が出ました。

形や、選ぶ紙の色など、文章や写真以外の部分にも作る人の個性が出るのも面白かったです。

この夏は、私もZINE作りにチャレンジしてみたいと思います。


【写真】上原朋也



目次

つちやりさ

熱くないけどぬるくあたたかく。特別じゃないけどちいさくほっと。そんな時間をみんなといっしょに過ごしたくて、『つちや温水プール』というなまえであそぶように飛びまわっています」

「もぐる会」と題したおしゃべりの会や読書会、SNOW SHOVELINGでの「火曜日のリサ」、「出張温水プール」の開催、zine『まじめ通信』『Swimmers 』『温水日和』『もうほかのひとと約束しないという約束』『わたしはおかねではかれない』『swim to wherever you want』『きみにできること / Already in You 』(いい風)の制作、Podcast「ぷかぷかぷかぷかうきうきうきわラヂオ」「onmywayhome」の配信、演劇・映画への出演などを行っている。

Instagram:@tsuchiya.onsui.poolWebsite:https://tsuchiya-onsui-pool.studio.site/

感想を送る