COLUMN
【スタッフコラム】はじめまして、編集チームに入った斉木です！
商品プランナー 斉木
みなさま、はじめまして。あたらしく編集チームに加わりました、斉木です。こうやってみなさまにご挨拶できる日を（ドキドキしながら）こころ待ちにしてきました。
いまは、商品の撮影をしたり、文章を書いたり……先輩スタッフの背中を追いかけ、日々奮闘中です。
入社前は、ファッション誌の編集者のもとで働いていました。映画『プラダを着た悪魔』でアン・ハサウェイが演じたアンドレアのような……と言ったら想像がつきますでしょうか。
目が回るような毎日のなか、「あれ、わたしどこに向かっていたんだっけ？」と迷子になるたびに、当店の読みものを読んでは「そうだ、わたしが行きたいのはココだった」と思い出させてもらっていました。
そしてその気もちはいつしか、「北欧、暮らしの道具店」で働きたい、という気もちに変わっていったのです。
「生真面目すぎる」自分にトホホ。
▲増え続ける雑誌は定期的にスクラップ。資料に使うときわかりやすいよう、見返しそうな企画には付せんをつけて……（真面目か！）
幼いころから雑誌や本などの読みものがだいすきで、「いつかはコレを届ける側になりたいなぁ」と夢みていました。
「好き！」と思うとまっしぐら、後先考えずとりあえずやってみよう！ という威勢のよさを、オリンピックくらいの周期で発揮するのですが、基本的には石橋を叩いて壊すタイプ。何ごとも熟考、準備、熟考……（以下無限ループ）というじれったい人間です。
ですが、先日読んだ雑誌にそんな自分をかえりみる、目からウロコのコラムがあったんです。
「眠気」も芸術の一部になっている、 “能” の世界。
みなさんは、 “能” を観たことはありますか？
わたしは小学校の修学旅行で一度だけ観たことがあるのですが、記憶に残っているのは、はずかしながら「眠かった」ということだけ……。しかしその雑誌には、この「眠かった」という感想すらも、しっかりと能を感じられた証拠だと記されていたのです。
能では、小鼓や太鼓などのお囃子、謡、台詞すべてが腹式呼吸とおなじリズムに統一されているそうです。そのゆったりとした心地よいリズムに揺られ、観客は次第にリラックスして、眠たくなっていきます。
そんな夢うつつの状態で見る能面の役者のすがたは、意識が覚醒しているときよりもずっと想像力をかき立て、能の描く幽玄の世界を映し出します。
眠気も、能を完成させるうえで、大切な要素なんですね。（例え完全に寝入ってしまっても、そのとき見ている夢さえも能の世界、とされるそうですよ）
“粋な大人” って、どんな人だろう？
この話を読んだとき、わたしはなんだか、とてもはずかしくなったのです。
もしわたしが演者なら、舞台で発表する自分を一から十まで（なんなら百まで）しっかりと観てほしいと思うでしょう。
念入りに準備をしないと不安でしかたのないわたしは、完璧さを求めるがゆえに、一切遊びのない、見ている側まで緊張するような、ガチガチの空間を作っていました。それは、ひどく独りよがりな世界です。
一方、「寝てていいよ」とうながす余裕、それすらも芸術の一部にいれてしまう能のふところの深さ。受け取る人のことを信じて、なにより自分を信じて、あえて手を入れない余白を作る。それは、完璧さを求めて何かに取り組むことよりも、ずっと難しく、ずっと成熟した振る舞いです。
そしてわたしは、そんなふうに相手を信じて、大切な部分を託せる人間に、なりたいんだと思います。
▲幼い頃から続けている書道。師事している先生も「余白を大事にしなさい」といつもおっしゃっていました。
一足飛びに大人にはなれないけれど。
とはいえ、きっとわたしはこれからも幾度となく石橋を壊し、その瓦礫の山を見下ろしては、「あぁ、粋な大人になりたい……」と思うのでしょう。大人への道のりは険しい。
でも、この「北欧、暮らしの道具店」を通して、すこしずつ思い描く大人に近づけたら。そして、そんなわたしのがむしゃらな、ある意味では格好悪い姿が、みなさんの人生のふとした瞬間と化学反応を起こし、何かが動き出したら。そんな幸せなことはありません。
▲今までしたことのなかった一眼レフでの撮影も、筋肉痛になりつつたのしんでいます。
そんなすてきな巡り合わせを願って。これから、どうぞよろしくお願いします！
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