【スタッフコラム】我を忘れるって、大変だ!

商品プランナー 斉木

もう2月だというのに、いまだ箱根駅伝の熱気が冷めやりません。

なんでしょう、あの心をぎゅっと掴んでやまない選手たちのひたむきさは(同じような方がいるといいな〜)。最近は夜な夜な箱根駅伝に関する本を読みあさったり、選手たちのタイムを調べたり、なにを目指しているの?という日々を過ごしています。

思えば、物心ついた頃からスポーツ選手や芸術家、アーティストのドキュメンタリーを見たり読んだりするのが大好きでした。

この人は、こんなふうに幼少期を過ごして、挫折や葛藤があって、その先に「今」があるんだなぁ。いつかわたしだって……そんな淡い期待もあったのかもしれません。

▲フレーズを覚えてしまうくらい、くりかえし読み返している本たち

自分が「そっち側」のひとではないと気づいたのは、いつごろだったでしょうか。

おそらく、中学生くらいだったと思います。時間をかけてゆっくりと、わたしは自分のある性格に気づいていきました。

それは、『我を忘れる』ことがものすごく苦手だ、ということです。

寝食を忘れるほど何かに没頭したという経験が、わたしにはほとんどありません。心配性で、体力もあまりないので、今日はここで切り上げて、しっかり寝て……そんなふうに、いま目の前にある物事よりも、計算の方が先に立ってしまうのです。

くりかえし読んだ憧れのひとたちの物語は、決まって何かに夢中になることから始まっていました。

後先考えず突っ走る、要領なんて度外視したその姿に惹かれていたのに、どうやら自分はそのスタートラインにも立てておらず、むしろそこから一番遠いところにいるようだ。そんな自分がひどく中途半端に思えて、コンプレックスを感じるようになりました。

でも、自分にはできないからこそ、そういうものを持っている人には思う存分その才能を爆発させてほしい。いつからか、彼らが羽根を伸ばせるような環境をつくること、そしてその姿をひとりでも多くの人に届けることなら、自分にもできるのかもと思うようになりました。

なんだか壮大に聞こえますが、実際には本当に些細なことです。友達が大好きなアイドルについて目を輝かせながら話し始めたら全精力を傾けて相づちを打つとか、「すごい!」と思ったひとやモノを誰彼構わず紹介するとか。

▲モヤモヤしたとき手に取る、大好きな一冊。

もし、夢中になっていることを「ただ好きなだけだから……」なんていうひとがいたら、「それだけ好きになれるって才能だよ!」と大きな声で伝えたい。もし当店の読みものや商品で「好き」の種を見つけた人がいたら、ワッショイワッショイと応援して、全力で突っ走る手助けをしたい。

できない自分だったから、誰かを支えたい、応援したいと思えるようになったんだよなぁと思うと、憧れと現実のあいだで右往左往していた期間もムダではなかったのかもと、すこしだけ救われるような気がします。

でもやっぱり、何かに夢中になってる人って最高!わたしもそうなりたい!と、ないものねだりが止まらないのもまた事実。人よりきっと時間も勇気も必要だけれど、いつかは夢中という海に飛び込むぞ、とちいさな決意を燃やしています。

 


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