【158cmのおしゃれ哲学】後編:コンプレックスを抱えた20代。それを受け入れられた30代の変化
ライター 大野麻里
モデル・女優として活躍されている高山都さんに、ファッションにまつわるお話を全2話で伺っています。前編では、モデルとしては決して背が高くない158cmの高山さんだからこそ語れる、スタイルよく見せるコーディネートのコツについて聞きました。
つづく後編では、20代から30代になって大きな変化が生まれた、高山さんの価値観についてお話を伺います。
20代を振り返ると、いつもどこかにコンプレックスがあった
インスタグラムや著書を通して、仕事もプライペートも充実していることがうかがえる高山さん。以前から、そうだったのでしょうか……?
高山さん:
「いえいえ、まったく! 20代のころは、つねに誰かと自分を比べて劣等感を感じていました。モデルのなかで背が低いこともコンプレックスだったし、”かわいい”にしがみついていて。流行にも振り落とされないよう肩肘張って、とにかく心に余裕がなかったと思います。
当時は一人暮らしのワンルームに住んでいて、もので溢れていましたね。部屋に花なんて飾る余裕は、全然なかったです」
そんな高山さんに、心の変化が生まれたのは30代の半ばごろ。外へ外へと向いていた意識が少しずつ自分の内側に向くようになり、「人と比べず、自分の流れで生きていこう」と思うようになったのだといいます。
▲髪をばっさりショートにしたのも30代になってから
高山さん:
「いまでも悩みはありますよ。でも身長は変えられないし、顔立ちも変わらない。それをコンプレックスと思ってクヨクヨするよりも、どうやったらうまく付き合えるか、仲良くしていけるかを考えた方がきれいの近道になるかも、と思えるように変わりました。
それからは、体型の悩みに対しても『ロングスカートで短い足を隠しちゃおう』『身長が足りなければヒールで足すしかない!』と自分から堂々と言い切ることができるようになったんですから……大きな変化ですよね」
人生の経験を重ねて、いまの「私」を好きになれた
高山さんの中に生まれた、気持ちの変化。そんなにがらりと価値観が変わった、きっかけはなんだったのでしょう。
高山さん:
「うーん、なんだろう? シチュエーションが変わってきたから、かな。20代はみんな同じ目線で買い物したり、遊んだりすることが当たり前だったけど、30代になって友達が妻になったり、母になったり、仕事に打ち込んでいたり……。みんなの立場が変わって、それぞれの異なるライフスタイルをリスペクトできるようになったんです」
高山さん:
「仕事も同じ。20代の私は単発の仕事ばかりで、雑誌の専属モデルさんをうらやましく思って過ごしていました。私は1回1回の仕事をつなぐことに必死だったから。でも、『自分は自分』と毎回を楽しむようにしたら『これが私の仕事なんだ』と思えるようになってきて……。
いまはモデルのほかに、文章を書くこともあるし、裏方で企画をしたりいろいろな仕事をさせてもらっています。それは、過去にやってきたことの積み重ねなんですよね。だから20代のコンプレックスを超えてきて、よかったなぁと思えるようになりました」
20代でやめたこと、30代ではじめたこと
▲カジュアルコーデに女性らしさを足してくれる赤リップは、いつも2本をポーチに入れて携帯。「ポール&ジョー」の001番、「セルヴォーク」の09番がお気に入り
年齢を重ねるうちに、暮らし方やファッションに対しても心の変化があったと高山さんは話します。
高山さん:
「30代半ばを迎えたとき、流行っているものを買っては捨てる、というサイクルの速さについていけない自分がいました。そのときふと、まわりの素敵な年上の女性たちを見たら、流行にのっているわけじゃないんですよね。自分のアイデンティティをもって服を選んでいる。『誰かが着ているから買う』という基準で買い物をしていないんです。
彼女たちは『私はこれが好き』『私にはこれが似合う』という哲学をもっているように見えて、私もそうなりたいと思いました」
高山さん:
「最近は生活と心に少し余裕ができて、お花や器など、生活になくても困らないものに価値を見出すことが楽しい。朝おきて一日を気持ちよく過ごせたり、帰ってきたときに『今日も頑張った自分、おつかれさま』と感じられるものがある幸せは、30代で見出した財産です。
そして、それら1個1個が安いものではないから、いつも買うときは真剣。その付き合い方は、洋服も同じなんです。
いまでもプチプラの服も着るし、お金をためてちょっと高価な買い物をすることも。自分が納得して買ったものは、『私はこれが好きで着てるんだ』と自信を持てるようになりました。スタイルに自信がないときは、笑顔や姿勢をよくしてカバーします(笑)」
40代に向けての抱負を聞くと、「シワも増えているだろうけど、そんな悩みを笑い飛ばせる人になりたい」と、高山さんは笑いました。そして、「探究心は忘れないようにしたい」とも。
高山さんと話して、感じた印象は「気持ちのいい女性」。背筋がシャンとしていて、元気に笑う人。この日、私の着ていたワンピースを「それ◯◯のですか? 私も気になっていました!」と気さくに声をかけてくださり、自然と会話が進んだことが印象的でした。
悩みの多い20代を駆け抜けたからこそ、いまの高山さんがあるのでしょう。自信が持てないことも、周りの目が気になることも、きっと誰もが通る道。自分の弱みをポジティブに変え、洋服選びやおしゃれはもっと楽しくできるということを証明するようなその姿は、とても美しく見えました。
(おわり)
【写真】ニシウラエイコ
【ヘアメイク】渡嘉敷愛子
もくじ
高山都
1982年生まれ。大阪府出身。ビューティーモデル、ドラマや舞台の出演、ラジオ番組のパーソナリティなど幅広く活動。おいしいものと音楽、お酒とこよなく愛し、趣味はランニングと料理。日々の 美・食・姿を綴った著書は、好評につき第2弾『高山 都の 美・食・姿2 「日々のコツコツ」続いてます。』(共に双葉社)が発売中。
ライター 大野麻里
編集者、ライター。美術大学卒業後、出版社勤務を経て2006年よりフリーランス。雑誌や書籍、広告、ウェブなどで企画・編集・執筆を手がける。ジャンルは住まいやインテリア、ライフスタイルなどの暮らしまわり、旅行、デザイン関係などが中心。
▼高山都さんの著書はこちらから
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